昨年4月に転勤との辞令を受け、研修医時代に使う暇が無さ過ぎるくらいクソ忙しい日々で身体を削って得た資金で、念願のBCNR33を購入した。
思えば中二の夏にBNR34のV-specに横乗りしてからずっと、将来はスポーツカー以外は選択肢に無かった。
購入に当たり、候補となった車は4種。とは言え昔からずっと候補に上がっていた車+αである。
BCNR33、FD3S、80スープラ、BRZ
4人以上乗車可能である事が先ず必須条件であった。
「何でも1台でこなせる車」
を探していた。
廃車にでもならない限りは只管メンテナンスをして乗り続ける予定であったから。
しかし、燃費の壁や、価格から色々と脱落していき、取り敢えず第二世代GT-Rが選択肢となった。
最も広く、最もGTに最適な車、となると33Rしか残らなかった。価格もこなれていた。
湾岸MIDNIGHTの黒木のセリフがカッコよかった。
実際その言葉は今身に沁みて感じている。
最初のチューニングは当然ながらセキュリティだった。大阪に住んでいたのでどう考えても付けないとヤバい。
最近また盗難多発であるようだが、全国的にセキュリティは必須のようだ。他に金を出す前に車が無くなったらどうしようもないので先ずセキュリティを付けた。
そして、車検に必ず通り、改造申請も要らない範囲でガンガン給料を注ぎ込み、自分自身はカップ麺(汁捨て)生活をずっと続けていた。
そんな中、GT-RマガジンでRiOを知り、R35セットの流用とカムシャフト交換を依頼した。最初は怖かったが、踏めるようになるともっとパワーを、と思い始め、オリフィスを抜いて自分でブーストを上げた。
20年前の車には辛かったようで、インテークパイプのガスケットが抜けて不調になった。やっちまった…と思った。
途中、一つの大きな選択が必要であった。
ピストンを交換するか否か。
鍛造ピストンに交換すると、更なるブーストアップが可能となりパワーは得られる。
しかし、それと引き換えに街乗りをある程度犠牲にする必要がある。
ブロックをN1にするかどうかも迷った。
しかし、何でもこなせる車、としてピストンはノーマルにする事に決めた。
約500馬力が限界とあるが、そうそう500馬力を簡単に出す車も無いし、レスポンスという観点、乗り易さという観点からすると小径タービンで下から回す方がよっぽど楽だし、何でもこなせる、と判断した。
RiOの大西さんには非常にお世話になった。
このパーツはどうだ、このパーツは交換した方がいいか、こういう方向で考えている、等と何度も電話を掛けた。迷惑を掛けた。
しかし、大西さんの考えているRの方向性と私のRへの方向性がほぼ一致し、また資金は何とかなる事から、
「とにかく必要なところは全部やって下さい」
という事になった。
今年4月に計画を練り始め、8月にエンジン、駆動系が完成。
ダウンサイジングターボ等の最新の技術からのフィードバックも投入されたGTIII-SSタービン、バルタイのリニア変化を可能にし、全域でのパワーと環境性能を獲得するV CAM
最新車であるR35のインジェクター、コイル、エアフロ等々、
そして大西さんが得意とする、リーンバーン等も上手く使って、現代の車に近づけたクリーン性能とパワーを両立したセッティング。
500馬力だとクラッチも当然保たない。ドラシャ等もちゃんと交換。
性能を上げるパーツでも、これは高いけどやっておいた方がいい、これは高いけどあまりよくない、これはこういうデメリットがあるからオススメしない、等色々とアドバイスをもらってパーツを選択していった。
東京まで走らせた時、そのパワーの出方に感動した。
荒っぽさが無い。大排気量のNAエンジンのようなレスポンス。
500馬力とは思えないような、フラットにパワーが出て扱いやすく、ジェントルなエンジンだった。暴力的なところは一切無く、ただ只管紳士だった。
ボディは地元の腕の良い自動車屋で地道に固めていった。
がっちりサポートは感動した。
そして10月。
リジカラ等の新しい概念のパーツ等も全て組み込んで足回りが完成した。
自転車で遠乗りをしていたので、硬い足回りに慣れていたのと、
妥協はしない
という目的で硬い方の足回りを選択した。
ただ、R33そのものも十分に剛性としては優れている事と、しっかりとボディを補強した事から、大丈夫だろう、とは思っていた。
20年の歴史はやはり重く、程度良好なブレーキキャリパーではあったが、フロントのピストンは計8個中4つが半固着していた。タッチの悪化や効きの悪化は確実に起こしていた。すんでのところでOHしたため、ピストン交換を行わずに済んで費用的には非常に助かった。10年に1度くらいはOHすべきであるとの事。
広島から帰る途中は再度感動した。
先ずは停車時からノイズや振動が明らかに減っている。それに伴ってエンジン自体も滑らかになったような感覚があった。
段差を「タンっ」といなす。硬さは感じるが、しっかり収束するドイツ車のような乗り心地。フラットかつ俊敏。
ワインディングロードではまだ自分がGに付いていけないくらい、気持ち悪いくらい滑らかにコーナーを回っていく。バンクやレールに乗っているような気分。
エンジンとボディと足周りが一体になったような塊感。
こういうスポーツカーは今後出ないだろうと思っているが、そういうスポーツカーを現代の手法で再生しつつ、生まれ変わらせる事に成功した。
外観は20年前、距離は3万キロ追加して10万キロ。

だが中身は現代的なモンスター。
車を維持する上でも、兎に角今後もずっと気持ち良く、安心して乗れるようにするためにも、車全体のフルリフレッシュが完了した。
後の写真は、年始辺りに移転するRiOの新店舗の予定地。もうガレージ等を作り始めている。
