東京 → 長野県大町市

朝9時すぎに社員嬢とともに社用車1号機(日産フーガ 350XV)で東京を出発。
八王子から中央自動車道で西に向かい、岡谷JCTから長野自動車道へ。

快調に走って到着したのは長野県・松本市。

市内を移動して車はカーナビゲーションで経由地に設定してある、お昼ごはんを食べることにしているお店へ。
この店、社員嬢が見つけたのですが、場所は完全に住宅街の中。まず"通りすがり"で立ち寄ることはなさそうなお店です。
しかも、店構えもこぢんまりとしています。

このお店はお蕎麦屋さん。
「そば処 井川城」は小さなお店ですが、御夫婦が本当に美味しい蕎麦を追求している姿勢が伝わってくるお店です。
昼時の訪問ゆえ、平日とはいえ店内は混雑気味。もっとも3～4組を収容すれば満席となる小さなお店ゆえに、これは致し方のないところ。
焦らずしばし待つと奥様が注文を取りにきたので、二種類の蕎麦を楽しめるセットを注文。ご主人の仕事場である厨房は客から全てが見えますが、これは職人気質の仕事ぶりを目の当たりにできるので、より蕎麦への期待と店への信頼が高まります。

そしてまず運ばれてきたのは十割蕎麦。蕎麦の香りが食欲を刺激しますが、これをまずは岩塩で食べることを店は勧めています。
そこで従ってみたのですが、これが絶品！
偶然にもこの日から新蕎麦になったとのこと、そのせいもあるのかもしれませんが、とにかく蕎麦本来の味を実感出来る美味しさです。
さらに続いて大名蕎麦と名付けられた白く甘みと食感のある蕎麦もいただきましたが、こちらはツユとの相性が抜群。
久しぶりに蕎麦の美味しさを堪能させていただきました。

食後に向かったのは北アルプスの麓にある「大町温泉郷」。
今宵の宿は「仁科の宿 松延」という温泉旅館、温泉街のもっとも奥まった場所に位置しています。
古風な旅館ですが、リニューアルを経ているようで館内は清潔感にあふれています。バリアフリーという観点から見ると廊下や部屋の"段差"が気になる部分もありますが、これは元々の建物が歴史あるものだからではないかと想像します。

お風呂は弱アルカリの単純泉で、無色無臭という感じの癖がないお湯。
温度はややぬるめですが、夕方までは林檎を浮かべた"果実風呂"、夜は檜の板を浮かべた"飛騨檜板の湯"を楽しめます。さらに気の利いたサービスとしてお湯の中でも読める本と、日本酒が用意されています。こうした気遣いは日本旅館ならではのサービスゆえに嬉しいですね。

そしてお楽しみの夕食。
館内の食事処へ移動していただきますが、半個室になっているので落ち着いた中で味わうことが出来ます。
内容は会席料理ですが、例えば番茶で地鶏や野菜を蒸しあげる「立山室堂噴泉蒸し」や、秋茄子をイタリアン風にアレンジした「秋茄子と玉そぼろの博多蒸し 菊花あん トマト味噌」など、オリジナリティの高いメニューも興味をそそります。そしてどれもが美味しい。聞くと料理人はまだ若いそうですが、味はもちろん盛りつけやアレンジになかなかの良いセンスを伺わせてくれます。

そういえばこの夕食で、ついうっかりしてワイングラスを床に落として割ってしまいました。
完全に私の不注意だったのですが、仲居さんがすぐに駆けつけてくれ、破片の片づけはもちろんのこと、絆創膏を持ってきてくれたり、浴衣やスリッパの替えを用意してくれたりと、親身な対応をしてくれました。
さらにちょっとだけ硝子の破片で怪我をしたのですが、食事を終えて部屋に戻って5分ほどすると電話があり「絆創膏は足りていますか」とさらに気遣いをいただき、このあたりにも日本旅館ならではの良質なサービスを感じさせてくれました。

松本市｜そば処 井川城