宇宙開発の礎が築かれた地

【2008年8月12日　12時15分／秋田県由利本荘市岩城勝手】

国道7号を走っていると"アイス売り"に目が行ってしまいがちですが、進む先を良く見ているとこんな看板が目に入ってきました。

「日本ロケット発祥記念之碑」。

国道から1km入った場所は日本海を望む海岸線、この地で日本の宇宙開発黎明期に何かが行なわれていたことは容易に想像がつきます。

そこで調べてみました。

この地では1955(昭和30)年8月に、日本で初めてのペンシルロケット打ち上げ実験が行なわれたのです。
日本の宇宙開発黎明期、研究開発が進に連れてロケット発射実験場の確保が課題となりました。
しかし当時は敗戦の影響から日本の海岸線はほとんどをアメリカに占領されていて自由に使えなかったのです。

しかしその中で男鹿半島は使用が可能だったため、ほど近いこの地が実験場に選ばれたのです。
そして前述の日本初の打ち上げ実験にこぎつけますが、実はこの記念すべき第1回の実験ではカウントダウンが進んで「5...4...3...2...1...ゼロ！」となった瞬間に発射台から全長30cmのペンシルロケットが転げ落ちて、砂浜をネズミ花火のようにのたうち回った、というコントのようなエピソードが残されています。

当日、やり直しの実験で見事に発射成功、その後もロケット研究開発に大いに活用されました。

ところが研究開発を進めるに従ってロケットは大型化、1962(昭和37)年の事故発生を機にこの地での発射実験は終了となり、偶然にも事故発生の3ヶ月前に着工していた新しい実験施設へと移行されました。

その新しい実験施設は現在の「宇宙航空研究開発機構(JAXA)・内之浦宇宙空間観測所」。
かの地には私も昨年末に訪れていますが、今回その歴史に通じる場所を発見できるとは思ってもいませんでした。

なお現在も県内には「能代多目的実験場」が設けられており、こちらは事前予約制で場内見学も可能ということです。

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