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2011年11月17日 イイね!

こんなメーカーをご存じですか?

こんなメーカーをご存じですか?近年は中国やインドといった新興国の経済活性化に伴い、これらの国や地域ではモータリゼーションの普及も加速しています。当然、自動車生産も盛んになってきており、例えばインド最大の自動車メーカーである「タタ・モーターズ」は、格安小型車の「ナノ」については日本でも報道などで話題を集めましたし、なにより今日ではジャガー・ランドローバー」の親会社としても存在感を見せています。
中国やインドなどには実に多くの自動車メーカーが存在しており、さすがに全貌は全く把握するに至っていません。もっと言えば乗用車のみならず、商用車のメーカーも少なくないわけで、こうした国々では日本で全くその存在を知られていない自動車にめぐり合うことも珍しくありません。

そんな中から今回ご紹介してみようと思ったのは、「Lanka Ashok Leyland (ランカ・アショック・レイランド)」というメーカーです。こちらはインド洋に浮かぶ島国、スリランカにある自動車メーカー。紅茶で有名なこの国は日本やイギリスと同じ左側通行、ゆえに乗用車は日本車が高いシェアを有しています。その内容も新旧さまざまで、もう日本ではお目にかかることのほとんどない30年以上前の大衆車やライトバンから、最新のモデルまで多種多彩な日本車が街中を駆けています。

一方でバスやトラックについては、Lanka Ashok Leyland製の車両を見かける機会が多くあります。同社は1982年に設立されましたが、ベースとなっているのがインドにある「Ashok Leyland (アショック・レイランド)」というメーカー。この会社とスリランカ政府による合弁事業として立ち上げられたものであり、インドのAshok Leylandが28%の株式を保有しています。
そこでAshok Leylandという会社について見てみると、同社は1948年に設立されたインド最大の商用車メーカーであり、バスやトラックに加えて軍用車の生産なども手がけています。本社はインド南東部の港湾都市・チェンナイに置かれ、ルノー・日産グループとの提携関係も有しています。さらにこのメーカーは1987年以降はイギリスに本拠を置くHindujaグループに属していて、最近の年間生産台数は84,000台となっています。また、Lanka Ashok Leylandと合わせてスリランカでの大型車市場では65%程度、同じように中東のドバイでも大型車市場の半数以上のシェアを持っているとのことです。

実際にスリランカやインドに行くと、両社のバスやトラックを頻繁に見かけます。特に大型路線バスは最新モデルでも古典的なデザインが採用されており、恐らくは長年に渡ってモデルチェンジを施されていないようなので、一見すると全てが古い車両に見えてしまいます。実際には相当の年数と距離を経た個体も多いようで、道路の真ん中で立ち往生している場面に出くわすこともありました。
さすがにトラックはもちろん、バスについてもLanka Ashok LeylandとAshok Leylandの車両に乗る機会までは無かったのですが、スリランカやインドを訪れて両社のバスが街中を走り回っている姿はとても印象に残っていますので、こうしてご紹介してみた次第です。
 
2011年11月10日 イイね!

視野に入ってきたハイブリッド

視野に入ってきたハイブリッド自動車の世界で、近年その存在感を高めている存在といえば「ハイブリッドカー」。1997年に初代のトヨタ・プリウスが登場、当時はその先進性を讃える声がある一方で、ハイブリッドは環境対応車の本流にはなり得ないという意見もあり、その後の市場での受け入れられ方には注目が集まりました。その結果がどうなったのかは、皆さんがご承知の通り。まだまだ車種の数は限られるものの、プリウスに至っては月間の銘柄別販売ランキングで何回も首位に立ち、ハイブリッドカーはすっかり街中で頻繁に見かける光景のひとつになりました。

ここで興味深い資料を見てみましょう。
総務省統計局が2010年7月に公表した全国消費実態調査によると、2人以上の世帯における自動車の普及率は2009(平成21)年の時点で85.5%。ちなみに2004(平成16)年は86.2%でしたから、0.7%の減少となっています。そして2009年の国産ハイブリッド車・電気自動車の普及率は、同じく2人以上世帯で1.9%。数字としては小さいものですが、自動車全体に対する普及率として見れば納得のいく数字でもあります。
ちなみに国産ハイブリッド車・電気自動車の普及率を地域別に見ると、4.0%と圧倒的にトップなのが栃木県。2位は3.5%の茨城県、3位が3.2%の愛知県、そして4位は2.9%の岐阜県。要するに自家用車通勤をしている方が多い自動車メーカーや関連企業の立地している地域で、多く普及しているという現状を読み取ることが出来ます。また、逆に普及率が低いのは、長崎県が0.8%、沖縄県・和歌山県・大阪府・長野県が1.0%、青森県が1.1%といったところです。

さて、今後ますます普及が進むと見られるハイブリッド車ですが、最近になってニューモデルが誕生しました。トヨタが9月5日に発表・発売した「カムリ」です。
このブランドネームも、気がつけば初代FFカムリの誕生から30年ほどが過ぎており、今回で9代目への進化となりました。なお、さらにルーツをさかのぼると1980年に登場したFR(後輪駆動)の4ドアセダンであり、セリカやカリーナと兄弟関係にある「セリカ・カムリ」にたどりつきます。このモデルはやや硬派な感じでしたが、1982年にFF化されて以降はルーミーで使い勝手の良いファミリー向けセダンとして、また北米を中心とした世界各地の市場に供給する世界戦略車というキャラクターになっています。

もっとも、日本では5代目までが5ナンバーサイズ、6代目以降は3ナンバーサイズのボディをまといましたが、カローラやコロナ、マークIIといった身内のライバルに対してブランドバリューが高いとは言えず、あまり目立たない存在であり続けました。特にミニバンの普及と比例するように4ドアセダン市場が冷え込んできた近年では街中で見かける機会もめっきり減ってしまい、実際の数字を見ても2010年のデータで、北米でカムリは全体の52%を販売しているのに対して、日本は市場規模の小さいいくつかの地域と合わせても僅かに全体の約1%に過ぎないのです。

そんなカムリは北米では日本でいう往年のカローラのような存在で、ポピュラーなファミリーセダンとして絶大な人気を誇ります。実に13年間も全米での販売台数1位を続けてきたことで、その事実は明らかです。また、最近では経済発展が著しい中国やロシアの市場でも人気を高めています。これらの地域では日本でいうクラウンのような存在価値があり、後席にゲストを招くような使われ方もしています。

もちろん9代目となった新型の「カムリ」も世界戦略車という位置づけは従来同様。ただし、北米市場向けは若干テイストを違えた独自のデザインを採用して、それ以外の市場向けとは変化をつけてきました。そして日本市場向けに対しては、ハイブリッド専用車という大胆な展開で打って出てきました。
もっとも考えてみればこれはなかなか的を射たもので、このクラスのセダンでハイブリッドは皆無でした。トヨタでは「SAI」が価格帯などで近い立ち位置ですが、あちらはコンパクトな高級車というコンセプトも掲げており、内外装ともに意欲的なチャレンジを見せています。逆に言えばこの時代にセダンを選ぶ保守的なユーザー層や高齢者には抵抗を感じる人も少なからずいるわけで、こうした客層に「カムリ」がピタリとマッチしてくるわけです。

先に埼玉県内のショッピングモールで実車を見てきましたが、デザインは中国市場の好みもそれなりに反映させた感じを受けるところ。保守的な中に、ディテールで車格相応の存在感を出していこうという意図が見えるように思えます。
この展示場はトヨタ系列の各車が隣同士に並んでいるので、まとめて似たようなポジショニングの車とも比較してみました。対象は「SAI」と「マークX」ですが、改めて座り比べてみると確実にそこには差を見いだすことが出来ます。

まず「SAI」について言えば、独特な主張を持つインテリアに対しては、他の2台と比較することの意味を持たないことが改めてわかります。インテリアについて言えば、この主張に共感できるか否か。これだけでも購入するかどうかの動機として成立するでしょう。パッケージングは3台の中でもっともコンパクトなボディですが、なかなか効率は良さそうです。前後席ともに頭上空間の余裕もあるので理想的なドライビングポジションをとれますし、後席でも大人が寛ぐことが可能です。なによりも、この扱いやすいボディサイズは魅力的であり、住環境的にあまり大きい車を持ちたくないという方には理想的な選択肢です。

次に「マークX」。3台を比較してみると、全体的に低さが目立ちます。ゆえにスポーティさは一番ですが、逆に乗降性という面では3台の中でワーストと言わざるを得ません。昔ながらのスタイルで乗り込むモデルは、ミニバンなどに慣れた方には厳しい評価をされる可能性があります。特に高齢の方は乗降時の腰の上げ下げが大きいために、敬遠するというケースも少なくないでしょう。その一方でスポーティさと並んで、3台の中で群を抜いているのが内装の豪華さ。手に触れる部分、目につく部分の演出や細かい作り込みの巧さは、往年のマークIIにも通じるところでトヨタのお家芸が健在であることを改めて確認できました。

これらと比べて「カムリ」の内装。写真にもあるようにT字型の全体造形は昔からのセダンユーザーでも違和感無く受け入れられる落ち着いたもの。シルバーやカーボン調の加飾パーツはやや存在感が大きすぎるような気もしますが、この辺りも年配のユーザーにとっては豪華さを感じられる部分になってくるのでしょう。
個人的にはマークXには一歩譲る豪華さや造り込みが、とてもトヨタらしいと感じたポイントです。昔からそうですが、例えば往年のクラウン、マークII、コロナ、カローラといったセダンのラインナップは、厳然たるヒエラルキーの下に商品展開がなされており、確実に車格に応じた豪華さを誰もが感じられたものです。それも巧みなところで、例えばコロナに乗っていても決して不満は出ることがないレベル。ただ、カローラと比べれば満足度や優越感を覚えられ、その反面でマークIIには「コロナよりはいいな」という手の届く範囲での羨望を抱かせるわけです。その上、クラウンとなると「コロナとは別格、かなりいいな」と思うわけですが、決して現実離れしているわけではないので、マークIIのユーザーになるとクラウンは「マークIIよりはいいな」という手の届くところに見えてくるのです。

この「カムリ」もまさにそうで、マークX以下、プレミオ以上。これは決して悪い意味で言っているのではなく、耐久消費財、工業製品である自動車として、巧みな造り込みとマーケティングが健在であることに感服した次第です。最近のトヨタは意味不明なマーケティング展開をしてみたり、らしくない車種を開発してみたりという"迷走"も見受けられますが、やはりその底力は侮れないと思ったところ。

さて、話を「カムリ」に戻すと、今回のトピックスとしてはハイブリッドの4ドアセダンで初めて「トランクスルー」が装備されました。ただし、一般的なトランクスルーとは異なり、右側のみで開口部も小さめではありますが、電池を背負うという宿命を持っているハイブリッド車としては画期的な出来事です。巨大なものは無理ですが、そこそこの長尺物ならばOK。

もっとも、本当の意味で長尺物を積むための「トランクスルー」であれば、助手席スペースも使える方がベスト。しかしこの車、右側のみ、つまり日本市場では運転席側にしか開口部がありません。この件とあわせて気になったのは、バッテリーの冷却風取り入れ口が後席脇に設けられていますが、それはシートの左端に設けられています。つまり左側通行の日本市場では左右のうち圧倒的に使用頻度の高い左側のリアドアを使って乗降するたびに、この存在を気にすることになります。もっと言えば乗降時に手をつきたい位置に開口部があるので、はっきり言って邪魔と思うユーザーがほとんどでしょう。
そうです、この開口部も北米などの右側通行・左ハンドル市場に行くと、全く問題がないわけです。ハイブリッド仕様も北米では販売されますから、トランクスルーと冷却開口部の存在から、「カムリ」が世界戦略車であると同時に、日本の市場規模は決して大きくないことも改めて思い知らされるのです。
ところでトランクスペースそのものは、なかなか広め。VDA方式で440Literという容量は、ガソリンエンジンの同クラスと比較すれば狭いですが、ハイブリッドとして見れば驚きの広さです。深さや幅も余裕があり、ゴルフバッグ4つを呑み込むスペースは、ゴルフをしないユーザーにとっても魅力的なポイントになるでしょう。

今回は展示車を短時間でチェックしてみただけですが、「カムリ」の商品価値はまずまず悪くないと思います。
私自身も購入検討対象として考えてみたい一台ですが、ちょっと残念なのはクルーズコントロールが最上級仕様でしか装着されないことと、上級仕様にはパワーシートが備わっているのにメモリー機能がないこと。あとはステアリングのデザインがちょっと煩雑に思えることと、インテリアカラーがブラックのみ、というあたりでしょうか。
 
2011年11月06日 イイね!

気になる完成度

気になる完成度1987年の秋に開催された第27回・東京モーターショー。いま振り返ってみると、これが晴海の見本市会場で開催された最後のモーターショーになりました。
その年、空路で東京入りした私は、東京国際空港から東京モノレールに乗って浜松町まで移動。そこから日の出桟橋まで歩き、水上バスに乗って晴海へ移動したことを覚えています。

そして会場内を見て回ったわけですが、当時はスポーツカーが花形でパワーウォーズの幕開けともいえる時代。時代背景的には立て続けの公定歩合引き下げなどもあり、株式や不動産への投機にお金が集中しました。世に言う「バブル景気」は既に東京を中心に始まっており、ゴッホの「ひまわり」を58億円で日本企業が購入したのが'87年のことでした。ちなみに10月にはアメリカで「ブラックマンデー」と呼ばれる株価大暴落が発生しましたが、逆にこの影響を最小限に抑えた日本経済には世界中の信用が集まり、投資先として注目を集める結果にもなりました。
高級品への購買力も高まり、さらに自動車を取り巻くところでは'87年の消費税導入とあわせて自動車物品税が廃止されました。また、この2年後の'89年には自動車税が改正され、大排気量車の税額が引き下げられ、3ナンバー車の市場拡大が始まります。

こうした世相の中、モーターショーの会場で最も私の目を惹いた車が、初代・日産シーマの参考出品車でした。Y31型のセドリック/グロリアをベースに、完全に専用の3ナンバーボディを架装。そのデザインは当時の日本製高級車としては異例なシンプル&クリーンさ、虚飾を配して面の造形を見せるテイストが新鮮に映りました。内装は基本的にY31セドリック/グロリアと共通のイメージでしたが、細かい部分で上質感を演出。エンジンは3,000ccのみの設定で、ノンターボとターボの2種類をラインナップしていました。駆動方式はFR(後輪駆動)のみ、ミッションは全車が4速オートマチックとなっています。

さて、このシーマですが、年が明けて'88年の1月に市販が開始されました。販売系列によって「セドリック・シーマ」と「グロリア・シーマ」がありましたが、両者の差はエンブレム程度であり、同一の車と捉えて何も問題はないでしょう。意外にもショーの会場ではMID4などのスポーツ系コンセプトカーに比べて扱いは地味で、スポーツカー偏重が強い自動車メディアでの露出も小さいものでした。
しかし、私自身はショー会場で実車を目の当たりにして、その斬新なデザインテイストやコンセプトに共感を覚えたものです。ただ、まさか後に「シーマ現象」なる言葉を生むほどの大ヒット商品になろうとは夢にも思いませんでした。なぜなら当時の新車価格、セドリック/グロリアの最高価格グレードであった「4ドアハードトップ・3000V6ターボ・ブロアムVIP」が438.3万円でした。それに対してセドリック/グロリア・シーマの最高価格グレード「3000V6ターボ・タイプIIリミテッド」は510.0万円というプライスタグを掲げていたのですから。

この当時、例えば同じ日産で見ると、マーチの最上級仕様だった「3ドア・1000G」は3速オートマチック車で87.9万円、サニーの普及グレード「4ドアセダン・1500EXサルーン」の3速オートマチック車が115.8万円、"セブンス"と呼ばれていたスカイラインの「4ドアハードトップ・2000GTパサージュ(ノンターボ)」は4速オートマチック車で202.8万円という価格でした。
定価で500万超えというのはトヨタで言えばクラウンやソアラにも無く、唯一センチュリーのみ。日産でもプレジデントとセドリック/グロリアのロイヤルリムジンのみであり、一般ユーザーが購入対象となる乗用車では国産最高価格をつけていたということになるのです。
しかし、輸入高級車よりは割安で、かつアフターサービスネットワークの充実度なども大きなメリットとなり、この初代シーマは飛ぶように売れました。ちなみに今でも当時新車で買った個体を大切に乗り続けている人としては、女優の伊藤かずえさんが広く知られています。

シーマというブランドは1991年と1996年、そして2001年にモデルチェンジを行い、4世代が生産・販売されました。しかし、二代目以降は存在感が薄く、クラウン・マジェスタやセルシオといった強力なライバルに販売の面では惨敗という結果に終わり、2010年の夏に歴史の終止符を打っていました。

●日産シーマ、ハイブリッドで復活…来春にも発売
YOMIURI ONLINE(読売新聞)  2011年11月6日 3時02分

そんなシーマのブランドが、また復活することになるようです。記事にもあるように、フーガ・ハイブリッドをベースとするそうですが、ボディサイズも拡大するとありますから、デザインの共通性がどこまで残されるのかが気になるところ。コスト的にはドアを共用してくるでしょうが、現行のフーガと巧く差別化を図れるのかが注目点となりそうです。

逆に機構的なものは完全に共用となるでしょうから、こちらはそんなに見るべきところは無いかもしれません。もちろん日進月歩のハイブリッド技術ですから、いまよりも多少は燃費性能を上げてくるでしょうし、タイミング的にはフーガフーガ・ハイブリッドのマイナーチェンジに合わせてのデビューとなるのかもしれません。
内装についてもコスト的な制約から完全オリジナルにはならないでしょう。、フーガ・ハイブリッドをベースに、どのように変化をつけてくるのか。単に表皮や加飾を高級なものにするだけでは、さすがに期待外れと思ってしまう結果になるでしょう。

過去に日産はインフィニティQ45ベースやシーマをベースに、非常に安直に最高級車であるプレジデントを作り出してきたという前歴がありますから、どうにもこのニュースを見て「期待半分、不安半分」という思いにかられてしまう自分がいます。
 
2011年06月04日 イイね!

新型ルノー・メガーヌ (5ドアハッチバック)・後編

新型ルノー・メガーヌ (5ドアハッチバック)・後編新型ルノー・メガーヌ(5ドアハッチバック)」をご紹介するエントリの後編。
今回発表された「メガーヌ」ですが、前回の記事で車体サイズについてのスペックはご紹介しているので、今度はもう少し細かい部分のスペックを見ていきたいと思います。
とは言っても、テクニカルなスペックとしてはシンプルそのもの。
ボディスタイルは5ドアハッチバックのみ、組み合わされるエンジンは日産自動車との共同開発で生まれた、排気量1,997ccのM4R型のみとなり、ミッションも唯一6速マニュアルモード付のCVTが組み合わされます。駆動方式はFF(前輪駆動)で、ステアリング位置は右ハンドルのみ。要するに、基本的なスペックについては全く選択の余地がないのです。

しかしバリエーションは2つの類別が用意されています。
ひとつは、グリカシオペという濃密なブルーグレー色をまとう写真を掲載した「プレミアムライン」。そしてもうひとつが鮮やかなオレンジ色、オランジュカイエンのボディカラーをペイントされた写真の「GTライン」です。
ネーミングからも想像できるように、前者は快適性を、後者はスポーツ性を重視したグレード。顔つきがそれぞれ異なり、当然ですが「GTライン」の方がアグレッシブな雰囲気を強くしています。しかし、それ以外ではリアディフューザーなどの備えはあるものの、ド派手な巨大エアロパーツをこれ見よがしに装備するようなこともなく。機能パーツであるタイヤとホイールが、「プレミアムライン」の205/55R16に対して、「GTライン」は205/50R17と若干ですが大径でファットなものにされている程度なのです。

内装に目を移すと、「プレミアムライン」は上品なベージュの配色、対する「GTライン」はちょっと硬派なブラック。フロントシートはサポート性をアップさせるためにサイドが張り出した形状のシートが奢られており、インテリアの雰囲気をスポーティにするのはもちろん、コーナーリング時などには高いサポート性でドライバーの求める走りをしっかり支えます。

また、メーターパネルも両者ではことなっており、「プレミアムライン」はデジタル・スピードメーターとタコメーターをはじめとしたアナログメーターを組み合わせたものを採用。これにはメーター外縁が光る仕掛けが組み込まれていて、走行状態によって光り方や色合いを変えてドライバーの注意を促すというデバイスにもなっています。一方の「GTライン」には、「メガーヌ・ルノースポール」と同じタイプのアナログメーターを採用。これは否が応にもスポーツムードを高めてくれるポイントになります。

このように見ていくと、ふたつのグレードで装備差はあるものの、前述の通りエンジンやミッションは完全に共通。そうなると、早とちりな人は「単にタイヤやホイール、シートや内装色を変えただけの“なんちゃってスポーツ”か」と思われるかもしれません。ところがカタログの装備一覧を良く見ていただくとわかるのですが、「GTライン」のみの装備品として「GTライン専用シャシー」という記述があります。
果たしてシャシーを“装備品”と紹介して良いのかは置いておくとして、両者の決定的な違いがここにあります。元々、この「新型ルノー・メガーヌ(5ドアハッチバック)」ではシャシーの性能が飛躍的に高められているのですが、さらに「GTライン」ではルノー・スポールがチューイングを施してスプリングレートやダンパー減衰力をセットアップ、全高もローダウンされたシャシーが用意されているのです。
先行発売された「メガーヌ・ルノースポール」でも、自動車の基本骨格となるシャシーの素晴らしさには共感を覚えましたが、あそこまでスポーツ性能だけを追求したものではないでしょうが、こちらの5ドアハッチバックモデルのシャシーについても完成度が高いであろうことは容易に想像がつきます。今回は残念ながら実際に運転する機会はなかったので詳細はお伝えできませんが、ぜひ可能であれば販売店で両者を試乗して乗り比べてみることをお薦めします。


ここからは「プレミアムライン」と「GTライン」に共通する装備群について見ていきましょう。
エアコンやオーディオ、パワーウィンドゥなどは当たり前ですが標準装備。エアコンは左右独立温度調整式で、「プレミアムライン」ではセンターコンソール後端に後席乗員の上半身に冷風を送るエアベントも備わっています。
そしてヨーロッパ車らしい美点が、安全装備や運転を支える機能装備の充実ぶり。まずステアリングにはチルトのみならず前後方向の調整もできるテレスコピック機能を搭載。ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)、EBD(横滑り防止装置)、EBD(電子制御制動力配分装置)などが標準装備。エアバッグは運転席&助手席はあたり前として、前席サイドやカーテンエアバッグも用意しており、シャシーやボディなどの基本的な安全性能の高さをさらにサポートしています。

さらに特記しておきたいのが、安全運転をサポートする利便性の高い機能装備群。
ヘッドライトはバイキセノン式で、かつコーナーリングに連動して進行方向を照らすAFS機能も有しています。このヘッドライト、ならびにワイパーにはオート機能も搭載。トンネルなどでも瞬時にライトを点灯してくれますが、薄暮時の点灯タイミングは適切と言えない場合もあるので、この点についてのみ注意しましょう。
ややボディサイズが大きくなりましたが、車庫入れなどの強い味方になるのがフロントソナー&バックソナー。これは「プレミアムライン」のみの装備となりますが、バックモニターまでは奢られていないものの、狭い場所での転回や車庫入れでは充分に強い味方になってくれます。


このように充実した装備を備え、かつオーナーの個性や嗜好にあわせて2つの選択肢が用意されている「新型ルノー・メガーヌ(5ドアハッチバック)」。もっとも、マニュアルミッションの導入を望むコアなユーザーもいるでしょうが、まずは基本的な性能が高いこの2つのモデルで認知度とブランド力を日本において一層高めることこそ、ルノーにとっては喫緊の課題であるはず。そしてこれらの課題はクリアされていくことで、ユーザーサービスの充実や向上など、既存のルノーファンにも多大なメリットがあるはずなのです。

最後に希望小売価格をご紹介すると、「プレミアムライン」が268万円、「GTライン」が275万円。前者は7色、後者には5色のボディカラーが設定されており、このボディカラーの豊富なラインナップもルノーの大きな美点です。
果たしてどちらがお薦めなのか?
これは、正直なところ今回は発表会のみだったので試乗が叶っていないので、今の段階ではなんとも言えません。ただ、間違いなく言えることは、自動車というものに少しだけでも趣味的な要素を覚える方であれば、ポピュラーカーであるCセグメントであっても「新型ルノー・メガーヌ(5ドアハッチバック)」が新しいカーライフを楽しませてくれる存在になるであろうということ。

これは私自身がフランス車を所有し、最近になって初めてドイツ車のオーナーとなって感じたことでもあるのですが、古典的な価値観なのかもしれませんがドイツ車は質実剛健で道具としての出来ばえには文句のつけようがありませんが、あくまで縁の下の力持ち的にライフスタイルを支えてくれる存在であるという印象があります。出しゃばらなくて良い部分もありますが、所有しているだけでは何の不満もないかわりに、劇的な変化もカーライフスタイルに起こりません。その点、フランス車というのは判官贔屓があるかもしれませんが、どこかカーライフを明るくしてくれる存在であり、縁の下の力持ちではなく隣に並んでいる友達のような感覚があるのです。

自動車という商品を生産国やメーカーの拠点地域で語ることは少々時代錯誤な感じもあるのですが、やはりルノーにはフランスの血がしっかり流れていることだけは間違いないでしょう。
 
2011年06月03日 イイね!

新型ルノー・メガーヌ (5ドアハッチバック)・前編

新型ルノー・メガーヌ (5ドアハッチバック)・前編去る5月26日、ルノー・ジャポンは三代目となる「新型ルノー・メガーヌ(5ドアハッチバック)」を発表、同日から販売を開始しました。この日、二子玉川ライズで開催された報道関係者向け発表会にお邪魔してきましたので、今回はこのニューモデルについてご紹介します。


創立から110年を超える歴史を誇る老舗自動車メーカーであるルノー。フランスを代表する、いや正確には“ヨーロッパを代表する”自動車メーカーであり、その販売ボリュームは日本でお馴染みのフォルクスワーゲンに全く引けをとりません。
そんなルノーの中核車種がメガーヌ。1995年に誕生、それまでのルノーは数字の車名が主流でしたが、このころから明確に個別のネーミングを与えるようになりました。カテゴリーとしては最量販クラスであるCセグメントに属し、最大のライバルはフォルクスワーゲンゴルフ。日本では正直なところ販売台数も知名度も大きく水を空けられてしまっていますが、世界的に見るとむしろ「メガーヌ」が販売台数で勝っていたことも多かったのです。

メガーヌ」は量販車種ということでエンジンやボディのバリエーションが多彩なのですが、日本市場では一足先に「メガーヌ・ルノースポール」が導入されています。こちらは3ドアのクーペタイプでスポーツドライビングに最適化されたシャシーを筆頭に優れたパフォーマンスが特徴のモデル。2010年12月に記したエントリではそのインプレッションをお伝えしていますが、これに続いて今度は普及仕様とも言える5ドアハッチバックモデルの導入が始まりました。


まず全体像としては全長4,325mm×全幅1,810mm×全高1,470mm(プレミアムライン)/1,460mm(GTライン)というディメンションは、現代のCセグメントのド真ん中という感じのもの。ちなみにフォルクスワーゲンゴルフと比較すると、全長+115mm×全幅+20mm×全高-15mm(プレミアムラインとTSIコンフォートライン比)/±0mm(GTラインとGTI比)となり、若干「新型ルノー・メガーヌ(5ドアハッチバック)」の方が大きい寸法となっています。
日本での使い勝手を考えると全幅が1,800mmを超えてしまったことはとても残念ですが、運転席に座った感じでは大きなサイドミラーをはじめ視界が良かったので、取り回し性はそれほど悪く無さそうなのが幸いでした。

全体的なデザインですが、先代がとても個性的だっただけに新型での展開が気になるところでした。
実際にお目にかかった個人的な印象では、先代と初対面したときほどのインパクトはありませんでした。しかし、適度にグラマラスな量感が信頼を寄せられる安定感につながっている上に、前後方向のみならずショルダーからボンネットやリアハッチをぐるりと取り囲むように流れているプレスラインが躍動感を演出しています。さらに細部の造り込みが向上していることもあり、先代モデルよりも1ランク以上車格がアップしたような印象さえ感じさせました。


室内については最近流行りの翼を拡げたようなインパネ上面が浮いているようなデザインで、高い質感と広々感を見せています。サイズアップされたのですから広くなっていて当然という話もありますが、時代が求めている安全性能を確保した上で、室内は前後左右方向にしっかり大人4人がくつろげる余裕を持たせてあり、かつ単に“だだっ広い”のではなく、セグメントに相応しいかそれ以上のしっとりした包まれ感が心地よい空間です。

もちろんユーティリティ性もフランス車らしくしっかり煮詰められており、例えばリアハッチを開けると現れるカーゴスペースの容量はリアシートを使用した4~5人乗車時でさえ372Literの大容量。さらに分割可倒式リアシートが採用されているので、シチュエーションにあわせて便利に使うことが出来ます。もちろんヨーロッパ車らしく、荷室の床面はスクエアなデザインとされているので、大型のスーツケースからアウトレットショップでの買い物まで、効率的に積載することが出来るでしょう。
一方で運転席まわりの小物入れは日本車より少なめですが、助手席前のグローブボックスにはじまり、蓋付きのセンターコンソールボックス、カップホルダーなど必要充分なものは揃っています。

このようなアウトラインの「新型ルノー・メガーヌ(5ドアハッチバック)」。次回はふたつのラインナップの相違点をはじめ、もう少し細かくバイヤーズガイド的にチェックしてみようと思います。
 

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各種取材やウェブサイトを中心とした制作業務を行なっています。 主なテリトリーは自動車/モータースポーツ、飛行機などの交通関係。 自動車は乗用車からトラッ...
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