
ドタバタとした慌ただしい日々を送っている間にも、ついつい深夜に仕事の合間で“ポチッ”としてしまったミニチュアカー達が、続々と宅配便で届けられています。なかなか整理する時間もなく、最近ではコレクションノート的に使っているブログのアルバムに載せるための写真すら撮れていない始末。
そんな状況ではありますが、先にコレクションに加わった一台、それの久しぶりに“フツーの乗用車”のミニチュアカーをご紹介していきましょう。
そのモデルとは、
インターアライドが展開する「
Hi-Story」のラインナップから、1989年型の日産セドリック・4ドアハードトップ・グランツーリスモSVです。
このシリーズは、ちょっと懐かしい車種の中から、渋いチョイスのモデルをミニチュア化していますが、ダイキャストではなくレジン樹脂製の少量生産モデル。しかし、細部に至って精密に作られており、完成度も高いのでコレクションとしての満足度も充実する内容です。
さて、日産セドリックは1960年に初代が登場、最終モデルのY34型が2004年に生産を終えるまで、日産自動車の高級サルーンの顔と言えるモデルとして君臨してきました。実は現在も営業車としては地味に生き残っているのですが、一般需要としては2004年に新しく生まれたブランドであるフーガにその座を譲っています。
セドリックといえば、その歴史はトヨタの高級サルーンとして誰もがその名を知っているクラウンと、常に宿命のライバル関係にありました。歴史的にはスピンドル・シェイプを採用した6代目のクラウンが先鋭的なデザインでユーザーが離れてしまった時期に、販売台数で逆転した時期もありました。しかしこの限られた時期を除いてはクラウンが圧倒的な強さを見せ続け、セドリックのコンセプトやテイストもやや一貫性に欠ける嫌いがあったと言えるでしょう。
そんなセドリックにとって、1983年に登場した6代目のY30型はひとつの大きな転換点でした。この代で主力の6気筒エンジンを直列からV型に置換、当時のパンフレットには「ヨーロッパの高級車と同じV6エンジン」を高らかに謳っていました。
そして、続くY31型が1987年に誕生。日本はバブル景気の入り口といったタイミング、ゆえに高級車市場の拡大が見込まれた上に、それまでよりも若年層の新しいユーザーも増加傾向にありました。そんな中でY31型はY30型から一変して、当時の国産高級サルーンとしてはシンプル&クリーンなデザインを採用。基本的なテイストは430型から続くものでしたが、一気に近代化を図った上で、4ドアハードトップと4ドアセダンをラインナップしていました。
さらに注目を集めたのが、走りを訴求する若々しい「グランツーリスモ」シリーズの登場。排気量2,000ccのターボエンジンを搭載する「グランツーリスモSV」とノンターボエンジンを搭載した「グランツーリスモ」をラインナップ、専用のフロントエアダムバンパーや3本スポークステアリングが、高級志向のブロアム系や量販類別のクラシック系とは一線を画す存在感を見せていました。
当初は4ドアハードトップボディのみでしたが、1988年には4ドアセダンも追加。そして1989年のマイナーチェンジではグランツーリスモシリーズも大幅に商品力を高めます。まずエンジンはVG20DETで変わらないものの、インタークーラーが追加され、タービンの軸受部をボールベアリング式に変更。シリーズ中で唯一のハイオクガソリン指定とされ、最高出力は前期型の185ps/6800rpmから215ps/6800rpmへとアップされました(ネット値)。
また、トランスミッションもターボエンジン車には量産乗用車で世界初となる5速オートマチックを搭載。ワイドレンジとハイパワーエンジンの組み合わせは俊敏な走りを実現し、ライバルのクラウンには無い個性が高い支持を集めました。
その結果、「グランツーリスモ」は、旧来からの「ブロアム」と双璧を成す存在となり、以降のY32型では丸目4灯ヘッドライトを採用してブロアム系との差別化をさらに拡大。Y33型でも同様に設定され、幅広い客層から人気を博しました。
一方でクラウン陣営もこれを黙って見過ごすわけにはいかず、1991年に登場した9代目では走りを訴求した「ロイヤルツーリング」を設定。これに加えて同年「アリスト」も登場、若々しい走りを前面に押し出した高級車市場に本格的に打って出たのです。クラウンについてはさらに、1999年のデビューとなった11代目で現在につながる「アスリート」シリーズが誕生。
これほどまでにトヨタを本気にさせた存在、そのルーツがY31型の日産セドリック(グロリア)・グランツーリスモだったのです。
MiniCar|Hi-Story 日産セドリック 4ドアハードトップ グランツーリスモSV
Posted at 2011/12/06 23:43:23 | |
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