
876,062台。この数字が何を表しているのか、皆さんお判りになりますでしょうか。
実はこの台数は、2010年度の
阪神高速道路における、1日の平均交通量なのです。参考に
首都高速道路で同様の数字を見ると、こちらは1,113,870台となっています。
阪神高速道路についてもう少し詳しく見てみると、今年の4月1日現在で営業延長距離は245.7km。阪神都市圏全体の貨物輸送量の49.6%、交通量(走行台キロ)の15.3%を担っている、まさに大動脈のひとつと言える道路です。
この道路について、利用者として知っておきたい発表がありました。
●阪神高速道路(阪神圏)における「ETCマイレージサービス」のポイント発行終了について
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ETCマイレージサービス
ノンストップで料金所を通過できる「
ETC」。料金所通過や料金精算における高い利便性に加え、割引料金の適用などが普及を進めた結果、
阪神高速道路では2001年7月の一般運用開始から約6年を経た2007年6月に利用率が70%を超えました。その後は利用率が急速に上昇し、2009年1月に80%、2010年5月には85%をオーバーしています。
そんな「
ETC」にある料金割引サービスのうちのひとつが「
ETCマイレージサービス」。事前に登録しておくことで利用料金に応じたマイレージポイントが付与され、溜まったポイントに応じて利用料金の無料還元を受けることが出来ます。基本的に還元率はハイウェイカード時代と同じですが、注意すべきはポイントの有効期限が設定されていること。一定のポイントがたまらなければ還元を受けられませんので、それなりの利用頻度があるユーザー向けのサービスとも言えます。
またポイント付与や利用料還元については事業社ごとにわかれているので、高速道路や有料道路で「
ETC」を利用した分が全てまとめて対象になるわけではありません。
具体的には「NEXCO(東日本/中日本/西日本)」、「本四高速」、「阪神高速」、「名古屋高速」、「愛知有料道路」、「福岡北九州高速」、「広島高速」、「神戸道路公社」に別れており、利用ごとにポイントが各社の枠ごとに溜まっていき、還元を受けた場合も枠に応じて通行料がポイント還元されるという流れになります。そして、この中には「首都高速道路」が入っていませんが、サービスが開始される段階から加盟せずに今日に至っています。
さて、先ほどのリリースは、この「
ETCマイレージサービス」から
阪神高速道路が脱退することを伝える内容です。
その背景には、やはりこれがありました。
●平成24年1月1日午前0時 阪神高速は「距離料金」へ。
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阪神高速道路
2012(平成24)年の1月1日から
首都高速道路で適用されることになった「距離制料金」を、
阪神高速道路も導入することになりました。
内容は両社共通で、これまでの料金圏別均一料金を廃して、全線を通じて距離に応じたいくつかの段階料金を適用するというもの。最短の6kmまでの利用なら乗用車で500円、24kmを超える利用は上限となる900円が
ETC搭載車両には課せられることになります。
短距離の利用については確かに値下げとなるケースもありますが、概ね値上げと捉えてよさそうな感じの料金改定。さらに現金払いの場合は距離の確認をする術がないので、利用距離に関わらず上限である900円(乗用車)が適用されることとなるので、これは否応無しに値上げとなるわけです。
都市高速道路の「距離制料金」は、首都高速/阪神高速ともに実現が悲願だったようです。数年前に導入一歩手前まで行ったことがありますが、時の自民党・麻生政権が「安心実現のための緊急総合対策」の一環として導入を先送りされたことがありました。この時点で時限的な導入見送りであったことは事実ですが、では東日本大震災なども発生した今日に導入されるというのは"安心実現"が、当初は高速道路の無料化を高らかに叫んで多数を得た現政権の下で形になったからとでも言うのでしょうか。
そもそも2008年の導入に向けて、学識経験者やジャーナリストを称する面々を集めたお手盛りの審議会を設け、当初は上限料金を1,200円としたいと発表した道路会社に対して、半年ほどの期間で一般の意見を公募したり審議会の答申を受ける形で、現在の700円との折半とも言える上限900円という料金設定になったという経緯があります。この流れ自体がなんとも"自作自演"の雰囲気を感じさせるもので、道路会社などは最初から900円への"実質値上げ"を狙っていたように見えてなりません。
●橋下維新の提言、利用者は「パフォーマンスだ」 阪神高速距離別料金案に反対
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Sankei Biz 2011年9月2日 15時16分
阪神高速道路の距離別料金への移行については、「大阪維新の会」の府議団が反対を表明しており、さらなるコスト削減や合理化を道路会社に求めています。
残念ながら一足先に導入される東京ではそのような声は聞こえてきませんが、果たして真摯な議論を積み重ねた結果の距離別料金導入なのか疑問を拭えません。
確かに受益者負担の原則からすれば、距離別料金はとても理に適っています。さらに
首都高速道路で言えば現在の普通車700円という料金が設定されたのは1994年5月のことであり、既に17年の長きに渡って料金は据え置かれたままの状態です。'87年以前の料金改定頻度に比べると圧倒的に長いのですが、景気や物価の変動を見たときに、'94年以前と以降の違いは考慮に入れる必要があるでしょう。消費者物価指数を見ても、1994年までは右肩上がりという表現が正しい推移を見せていましたが、バブル経済崩壊の影響などを端緒にそれ以降は停滞が続いてしまっているのですから。
ただし、一方ではこの間に中央環状線をはじめとした新規路線の開通などがあったことも忘れるわけにはいきません。また、路線の中には老朽化が進んでいる箇所も増えており、これらの補修や維持にかかる費用も増えていくことは予想されます。
とは言うものの、安全で快適な交通環境を構築するという道路インフラ会社の使命をしっかり守ってもらうことは当然の前提として、その上でまだまだ合理化やコスト削減を行う余地はあるように見受けられます。例えば広報用のパンフレットをひとつとっても、紙質や印刷がとても高品質な内容となっています。しかし、そんなパンフレットを実際にどれだけの人が手にとって見ているのでしょうか。
さらに近年は積極的にイベントを開催するようになっていますが、安全運転の啓蒙活動などはあって然るべきと思いますが、そこにエンターテイメント性を過分に盛り込む必要は感じられません。どうにも広告代理店やイベント会社の言うがままに開催しているものもあるように感じられますし、変にジャーナリストを称するような面々を呼んで出演料を支払うよりも、もっと効果的で実践的な安全啓蒙のやり方があるように思った催しもありました。
取り敢えず現時点では
首都高速道路の距離別料金以降は行われることになるでしょうが、果たして維新の会が勢力を伸ばしている大阪を中心としている
阪神高速道路では、導入後にどのような展開が待っているのかに注目していきたいと思います。
Posted at 2011/12/08 22:49:32 | |
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