MiniCar|KYOSHO トヨタチェイサー2.5ツアラーV (JNX100 1998年型)
投稿日 : 2008年10月14日
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今や死語になった「ハイソカー・ブーム」。
1980年代後半をピークに、幅広い年齢層に高級パーソナルサルーンがもてはやされた時代がありました。
その頃に誕生した名フレーズが「いつかはクラウン」。
トヨタの場合クラウンを頂点にした"車種ヒエラルキー・ピラミッド"が見事に構築されており、クラウンは憧れの対象だったのです。
しかしさすがに高価ゆえにそうそう手を出せません。そこで人気の的となったのが"マークII三兄弟"。
普遍的な高級車の香りが強いマークII、若々しいイメージのチェイサー、そして大人びた独特のセンスを持つクレスタ。
プラットフォームを共用しながら、巧みなキャラクター展開を図り、圧倒的な支持を集めていきました。
チェイサーは三兄弟の中でマークIIに次ぐ歴史の持ち主。
1977年に登場、当時は4ドアセダンと2ドアハードトップをラインナップ。パッと見ではマークIIと余り外観上の差はありませんでしたが、例えばフロント周りではスモールランプ、リアではテールランプの位置やデザインに違いがありました。
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今回モデル化されたのは1996年に登場した六代目のJZX100型。チェイサーとしては最終型となったモデルです。
このひとつ前の型(X90系)では三兄弟が揃って完全な3ナンバー化を果たしました。
1988年に登場したX80系から排気量3,000ccや2,500ccのエンジンを搭載、サイドモールやバンパーの拡大でボディサイズ的にも3ナンバーの類別を展開していましたが、あくまでもボディそのものは5ナンバー車との共用。ゆえに室内空間はルーフの低いハードトップスタイルだったこともあり、決して広くはありませんでした。
ちなみに今回リリースされたモデル、少々ボディ側面が"ポッテリ"とした印象。特にフロントフェンダーあたりは"ボリューム感過多"のような気もします。
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ツアラーシリーズは特に走りを重視した類別。
1984年に登場したX70系のマイナーチェンジでツインターボエンジンが搭載されたマークII三兄弟、X80系ではツインターボに加えてスーパーチャージャーもラインナップ。
X90系以降は再びツインターボのみとなりましたが、この時に"ツアラー・シリーズ"が誕生。
その最高峰に位置するのが今回モデル化された「ツアラーV」、JZX100では排気量2,491ccの直列6気筒エンジンにターボを組み合わせて最高出力280ps/6200rpmを実現。
ちなみにX90系まではツインターボでしたが、X100系ではシングルターボに改められています。その代わり、といっては何ですが可変バルブタイミング機構"VVT-i"が組み合わされました。
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ツアラーVには電子制御4速オートマチック「ECT-iE」に加えて、5速マニュアルも設定されていました。
また、最高出力200psの2491ccノンターボエンジンを搭載した「ツアラーS」もシリーズとしてラインナップされ、こちらには電子制御4速オートマチックのみを設定。
装備類ではツアラーVのマニュアル車に「トルセンLSD」を装備(オートマチック車にはメーカーオプション)、両ミッション共通で「電子制御スロットル(ETCS)」が備わっていました。
またタイヤはツアラー系以外が類別によって60、65、70偏平だったのに対して、ツアラーSは前後とも205/55R16サイズにアルミホイールを装備、ツアラーVはフロントが205/55R16、リアが225/50R16の前後別サイズでアルミホイールとの組み合わせ、となっていました。
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2000年にマークIIが9代目にモデルチェンジしますが、チェイサーは継続販売とされました。
そして2001年の夏にクレスタと共に生産を終了、24年の歴史に幕を下ろしました。
残念ながらセダン市場は急速に縮小、ミニバンやSUVの台頭、さらには景気悪化に伴うコンパクトカーへの需要の変動が生じて、「ハイソカー・ブーム」も遠い昔の話となってしまいました。
2008年秋の今日、残念ながらトヨタブランドには魅力的な若々しくも気品あるサルーンというのは存在していないように感じます。
こうした需要を求める層は、現在の日本市場ではBMWやアルファロメオなどの欧州勢に流れて行ってしまっているのではないでしょうか。
自動車への需要が多様化を極める中、今改めて魅力的なサルーンの登場にも期待するところです。
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