【ECU】現状のTurbo Dynamics設定によるログと問題点
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もう随分前に設定したまま長いこと放置しているTurbo Dynamics関係のパラメータ。
・Turbo Dynamics Proportional
比例ゲイン
・Turbo Dynamics Integral Positive
+方向の積分ゲイン
・Turbo Dynamics Integral Negative
-方向の積分ゲイン
Turbo Dynamics = ブーストのPI制御。
目標ブースト(Target Boost)に対して計測されたManifold Absolute PressureをフィードバックしてWastegate Dutyを±し、目標ブーストに近づけるための制御アルゴリズム。
PIコントローラの積分制御(I制御)の設定パラメータとしては「積分ゲイン」ではなく、「積分時間」(ステップ状偏差が入ったときI制御出力がP制御出力と同じ値になるまでの時間)が設定値となっているコントローラの方が一般的には多いと思うが、スバル+デンソーのECUでは積分ゲインがパラメータとなっている。
ログと照らし合わせてのセッティングがしやすいので、このパラメータの在り方はこれでOKだと思う。
私のブーストセッティングの思想は、TD制御が介入しなくてもなるべくTarget Boost = Manifold Absolute Pressure(計測値)となるよう、実走ログとにらめっこして、Initial Wastegate Dutyマップを煮詰めてきた。
TD制御のそれぞれのゲインは下げて影響力を減らしている。
これは、TDによるフィードバック制御が遅いために起きるオーバーシュートやハンチングを嫌ってのもの。
特に3ポートソレノイドに換えてからは、2ポートよりも微細なWastegate Duty制御でのブーストへの影響が大きいため、各Turbo Dynamicsのゲインは小さく抑える必要がある。
2
これも長いこと放置したままの
・TD Activation Thresholds (Target Boost)
TD制御を有効とする、目標ブーストの閾値。
・TD Integral Cumulative Range (WGDC Range)
積分制御の累積をどこまで許容するかの設定値。
3
2速WOTのデータ。
ハードウェアは
・HKSレーシングサクション
・プロドライブ 3ポートソレノイドバルブ
・純正タービン(三菱重工 TD04HLA-19T)
・純正インタークーラ
・純正エキマニ
・HKS メタキャタ付フロントパイプ
・HKS ステンレスセンターパイプ
・HKS ESプレミアム(マフラー)
Boost Errorは、本来は
Target Boost > Manifold Absolute Pressure
時が負値となるが、わかりやすいように
Target Boost < Manifold Absolute Pressure
を負値で表現するよう、ここでは(×-1)している。
スロットルをガバッと開いたとき、大きいBoost Errorに対し比例制御が働き、Turbo Dynamics Proptionalで設定している最大値2.49となっている(赤線の最初のピーク)。
オーバーシュートが小さいので、Turbo Dynamics Proportionalは適切にも思える。が、より応答性を高める(つまりターボラグを減らす)には、もう少し+しても良いかもしれない。
あるいは、Turbo Dynamics Proportionalを現状維持とし、Turbo Dynamics Proportionalが動作開始するポイントを早めてやるために、TD Activation Thresholds (Target Boost)のEnable Above値をもっと低くすべきとも考えられる(実際、ノーマルRONの設定値はもっと低い)。
比例制御2.49に伴い、わずかにオーバーシュート、Boost Error(紺線)が0を通過するポイントで積分制御(黄色線)が始まっている。
5000[rpm]以上では、積分制御(黄色線)が全く働いておらず、比例制御だけでなんとかしようとしているのがわかる。
これはTD Integral Cumulative Range (WGDC Range)の上限値を0に設定したことによるミス。過ブーストを嫌っての設定としていたが、定常状態でManifold Absolute PressureがTarget Boostに満たないときにI制御が働いていない。
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3速WOTのデータ。
ハードウェア構成は2速のデータと同じ。
問題点は2速のときと同じように以下。
・オーバーシュートしていないのは好ましいが、レスポンスUPのために、Turbo Dynamics Proportionalを気持ち増量するか、TD Activation Thresholds (Target Boost)のEnable Above値をもっと低くすべき
・TD Integral Cumulative Range (WGDC Range)の上限値を0に設定していることに起因してI制御が+方向に働いていない問題
5
4速WOTのデータ。
ハードウェア構成は2速のデータと同じ。
2速のデータとほぼ同じ傾向。
負荷状態が異なるので若干の違いはあるが、傾向と対策は同様。
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