
お待たせしました、続きでございます。
作業そのものは昨日行いました。
…特にトラブルが起きたわけではないのですが、疲れて寝ちゃった+今日は試乗三昧だったので(笑)
【前回までのあらすじ】
みんカラお友達の
コア@青い鰤さんと物々交換したオグラクラッチ製409CCカーボンシングルクラッチの取り付けに着手しました。
高々とジャッキアップされたV35、次々に取り外れる周辺部品群、ついに分離したミッションユニット。
嫁さんと協力してクラッチ本体までは取り付け完了!さて、ミッションは無事元通りに装着できるのか??
…って、初めて読んだ方はひとつ下のブログから読んだ方が早いです(笑)
ここから続きです。
クラッチ本体の相手部品、ベアリング&スリーブ他をチェック&グリスアップから始めます。
ベアリング&スリーブとはこんな部品です
左が純正部品、右がカーボンクラッチ付属の専用部品です。
これらがミッションユニット側に装着され、スライド。
先端がクラッチのダイアフラム(トビラ写真の中央部、くしの歯みたいになっている部分です)を押し込むことでクラッチが切れます。
ミッションシャフトとエンジン側のシャフト(=クラッチユニット)との回転差があるので、スリーブの先端接触部はベアリング構造となっており回転差を吸収します。
赤で示した直径の差がミソ。
この部分がまさにダイアフラムとの接触部ですが、オグラの方が直径が小さい。
ここが小さいと、よりダイアフラムの先端を押し込むこととなり、てこの原理で押し力が小さくできます。
クラッチディスクの圧着力が高くてもクラッチペダル踏力を小さくできる工夫がこんなところにもあります。
なるほどねぇ
今度はひっくり返した比較写真
鋳造鋳肌むき出しの純正に比べ、オグラ付属のほうが削りだしで綺麗。
こちらも寸法の差があります。
ベアリング圧入部~ウイズドロアレバー(スリーブを動かすレバー)取り付け部との距離です。
オグラの方が長い。
これはクラッチのダイアフラム面までの距離の差を調整しています。
オグラの方がダイアフラム面が車両前方側にあることになります。
クラッチ本体はオグラの中で共通化しているので、ここで調整しているのでしょう。ま”そんなものだ”程度で考えてOKです(笑)
パーツクリーナーで残っているグリス類を綺麗にふき取って、レバーを装着してみます
こんな感じに付きます。
レバーはAの部分を支点にBの部分を押す(クラッチを踏む)ことでスリーブをスライドさせます。
大きな力が入るところだけに、とても丈夫な鋳造部品です。
グリスを塗布します
グリスその1”ニッサンクラッチスリーブグリース”(そのままの名前やん)を必要な部分に塗布します。
・スリーブ内壁
・ベアリング~ダイアフラム接触部
・スリーブ~レバー接触部
・レバー支点部
色は…まるでネリカラシのような黄色です(笑)
すりきりで塗り込むところ、うっすら塗るところ、ちゃんと考えて塗らないといけません
(多すぎるとクラッチケースの中でグリスが飛び散って面倒なことになります)
はい、今度はクラッチケース側です
まずはこちらもパーツクリーナーで残ったグリスを綺麗に取り去っています
アの部分に先ほど紹介したレバーの支点部分がはまります。
(強化クラッチを入れた時、この部分が折れる(!)なんてことがあるので、NISMOから強化品がリリースされています。ワタシのはそれほどまで圧着力が強くないのでそのままにしておきます)
また、イの部分にスリーブをはめ込みます。
この両方ともスリーブグリスを塗ります、ここは薄くね。
で、スリーブ&レバーを装着
はい、このように装着されます。
装着後、まずははみ出たスリーブグリス(黄色)を綺麗にふき取り、その後矢印の部分(先端セレーション部、ここがクラッチディスクやエンジン側ブッシュに刺さります)にグリスその2”ニッサンクラッチグリース”(またまたそのまんまの名前)を薄く塗ります。
これらのグリス、両方ともそこそこの値段(2000円ちょっと/各)しますが、前回購入したものを使いまわしたので今回は出費なし。
このあたりは社外品もありますが、安心のため純正グリスを使いましょう。
さて、これで装着準備は完了です。
今一度各部の締めつけ、グリスアップ、装着忘れないことを再チェックします。
チェックが終われば、今回の作業の最大の関門、クラッチユニットドッキングに入ります。
まずはドッキング前の状態
ミッションはミッションジャッキ(簡易タイプで、フロアジャッキの”受け”の代わりに装着する構造です)の上に載せています。
このミッションジャッキのいいところはミッションを載せている座面の前後角度をねじで調整できること。
装着するとき、この角度を微妙に調整することで、うまくはめ込むことができます。
ワタシがエンジンとミッションの位置関係をチェックする役、嫁さんがミッションジャッキの高さ調整&ミッション押し込み役に分かれて作業します。
ミッションのセンターシャフトがちょうどクラッチディスクセンターにくるように高さ&左右を調整、ミッションをちょこっと前進させます。
シャフト先端がディスク穴に入り込んだことを確認後、前述の角度調整を微妙に行い、一気にグイっとミッションユニットを押し込みます。
位置合わせセットにはやっぱり時間がかかりましたが、位置さえ合えばあっけなく刺さります。
御覧のようにピッタリ奥まで。これが重要。
セットがうまくないまま無理やり刺すと途中あたりで引っかかって動かなくなります。
その後、固定ボルトを締めあげてじわじわ引き込む…これはいけません。
シャフトに変な力が入ったりして、最悪ミッションベアリングが逝きます。
前日に行った慎重なクラッチセンター出しのおかげで今回もすんなり行えました!
あとはミッション固定ボルトを1つずつ締めていくだけ。
ちゃんとトルクレンチを使って締めましょう。
あ、ちなみに赤い矢印の部分が前述のレバーの先端。
クラッチを踏んだ時、油圧の力でこのレバーを車両後方側に押し、スリーブが車両前方にスライドしてクラッチが切れる…というわけです。
あとは…簡単です。
ミッション側のブラケット、シフトレバー、プロペラシャフト、マフラー類をちゃっちゃっと取り付けます!
それまでの作業を考えれば、簡単簡単(笑)
で、下周り作業を終了して車の下から出てきた姿がこれ
もうヘロヘロです(笑)
仰向けでの作業、各ボルトを締めつけるため腕はパンパン…
寝板だと作業クリアランスが取れないので、”背面ほふく前進”で車の下を移動していくため、背中がこすれて痛い…。44にもなったオッサンがやる作業じゃない(笑)
でも、ものすごい達成感です!
取り付けたらすぐにエンジンかけたくなるのが人情というもの(笑)
ジャッキアップした状態で車に乗り込みエンジンをかけます(何かあったらまた作業なので、ジャッキアップのままで行います。クラッチの接続、切断ポイントもチェックできるしね)
キュルルルル…ボォォォン、エンジン無事かかりました。
クラッチを切ってエンジンをかけるので、かけた瞬間にクラッチのプレッシャプレートのカラカラ音が聞こえます、おお良い感じ!
クラッチを繋ぐと(ギアはニュートラルですよ)音は消えます、よしよし。これで正しい。
吹けあがりをチェックするためにそのままアクセルを軽く踏み込みます。
ブオオオオン、よーし良いぞお…となるはずが、あれれ?
吹けあがりません、どころかバフバフハンチングして2000rpm以上にも上がらない。
メーターを見ると…ああ!エンジン警告灯がしっかり点灯。
あらららら~…これはまずいんじゃないかい?
アクセルを吹かしたのに、エンジン回転数が上がらない…って、考えられることは…と。
あ、クランク角センサだ、フライホイールのふちに切り欠きがあり、ミッションケースの脇にセンサが刺さっています。センシングがうまくされていないとエンジン回転を読み取れずに点火時期などが…あああ
センサーがやられたか?配線が切れたか?
おちつけ。
下に潜り込んでクランク角センサをチェック、コネクタをはずしてセンサをはずし、センサをクリーナーで洗浄。さらにコネクタに接点復活材を念のために吹き付けて刺し直す。
これでどうだ!
警告灯の記憶を消して、再度エンジンスタート!
あららら、またもや吹けない。警告灯また点灯…
これで駄目なら…考えられることはフライホイールのセット位置ずれ。修正するとなると今までの作業を全部やりなおさなければならないぞぉ…。
もうパニックです(笑)
おちつけ。
深呼吸して、もう一度考えたら…あ、理由がわかりました。
これです
ミッションを下すためにボルトを緩めるのですが、その時ミッション後ろのブラケットをはずしてエンジン&ミッションユニットを後ろ下がりに傾ける必要があります(前回のブログを参照)
このとき、エンジンは前上がりになっちゃうのでタワーバー&インテークパイプをはずしておかないとエンジンと干渉したり、エアクリーナーに変な力がかかります。
ということでインテークパイプはずしていましたぁ。
外した先にエアクリーナー&エアフロがついています。
エアフロがついていないんだもん、吸入空気量が測れていないので吹けあがらなくて当然。
元通りにパイプ類&タワーバーも装着して、再度トライ!
エンジン警告灯の記憶を消して(急速TAS学習と同じ手順でエラー記憶を消すことができます)、落ち着いてエンジンスタート!
無事かかりました、アクセル吹かすと…おおビンビン吹けあがります!
やったね。
しかも軽量フライホイールのおかげで吹けあがり方の鋭さと言ったら!!
…分かってしまえば簡単なものでした。よかったぁ。
あとはジャッキダウン、ではありません。
クラッチペダルの位置調整があります。
その前にジャッキアップ状態の写真を
前から。
後ろから。
再び前から、アップ
これだけ持ち上げて何とかミッションジャッキが入りました。
…本当は作業効率を考えると、もっと上げたいんですけどね。
このときだけは本気で2柱リフトが欲しくなります(笑)
さて、話戻ってペダル調整。
これはクラッチペダルの繋がる位置を調整します。
カーボンクラッチが滑りやすい、という話をよく聞いていたので”もしかしたらクラッチを踏んでいなくてもプチ半クラッチ状態になってしまうのでは?”と疑ったわけです。
まあ、クラッチユニットを交換したらやらなくちゃいけない作業なんですけどね。
ジャッキアップした状態のまま、エンジンかけてギアを1速に、さらにクラッチ操作をしてリアタイヤをチェックします。
クラッチが繋がる(=タイヤが回り始める)位置を見てみると…今までより手前で繋がる。
またペダルを踏み込む最初から反力がかかる…って、遊びがないんじゃないの?
ということで、調整決定です。
作業自体は簡単なのですが、作業環境が良くない
こんな体勢で作業します
運転席に仰向けになってペダルの部分から奥を見上げるような形での作業です。
これって見た目よりものすごく大変。
調整はペダルの奥にある、クラッチマスターを押し込むロッドとペダルアームの接続部の長さを短くするのですが、これまた奥にあって、懐中電灯片手の作業です。
…結局あきらめて運転席をはずして作業しました(笑)
この後も試乗しながら調整することになるのですが、毎回やるのは大変だなあ。
で、とりあえず完了です。
ジャッキダウンをしました!
ついでに車を掃除して記念写真
ちょっとあおりで
ああ、上げた車高がいい感じだ!
(車高を上げて満足しているのも珍しいでしょ。ははは)
今回もいつも通りの長文なのですが(毎回申し訳ない)まだ続きます
で…早速試乗しました。
走り出し:え?というぐらいあっさりと繋がります。
ピンポイントのような繋がり方じゃありません、まったく普通に半クラッチでつながります。
…というか、半クラッチ広すぎない?
クラッチペダルストロークの奥から1/4~3/4までずっと半クラッチ状態です。あら?
この感覚を近いモノで例えると…あ、クラッチが逝ってしまって滑りまくっている奴と同じだ。
えええ?と思いつつもさらに走ります。
すると、上記の広ーい半クラッチがだんだん狭くなってきました。
ああ、クラッチ板の相手側であるプレッシャプレートとフライホイールの各接触面をオイルストーンで磨いたよな。
当たりがまだ出ていないし、塗布したグリスが飛んで付着したために滑っているのかな?と推測
さらに走っていくと、上り坂。
普通にクラッチつないだままで3速2000rpmあたりからアクセル開けたら…
グオオオオオンと回転数が一気に5000rpmあたりまで!…でもスピードは上がらない。
思いっきり滑っています(汗)
慌てました、ははは。
でもこれで完全に温まったようで、その後はものすごい食いつきでがっちり繋がります。
なるほど、カーボンってこんな感じなのか。
各クラッチメーカーのHPを見ると、カーボンの特性はその他の材質(カッパーミックスとかメタルとか)に比べて温度による摩擦係数変化が顕著です。
ある程度温度を上げないと食いつかないようですね。しかし一度上がればメタル以上の摩擦係数。
…まあ、その前に摩擦部分のあたりを出さなきゃね。
カーボンディスククラッチには他にない特徴的な慣らしの方法があります
・2000rpm当たりでクラッチをつなぐ。これを200-300km
・その後5000rpmでドンとクラッチをつなぐ(ドラッグスタートみたい)、これを5-10回
最初の慣らしはもう少し距離を出した方がいいという話も聞きます。
いやあ、気長にやらないとね。
で、今日も箱根近辺まで家族ドライブしてきました(笑)
毎回改造の後はこうですね、ははは。
やってみると2000rpmでのクラッチコンタクトは難しいです。いつもの倍ですから。
それでも、前半は坂道登りでわずかに回転数の上下(一定速なのに一瞬上がってすぐ下がる。滑っていますね)がありました。
しかし、後半ではその傾向が大分収まりました。
今日一日で100km弱走ったことになりますが、それだけで結構あたりが出てきたようです。
まあ、ディスクについてしまったグリスが取れた…というのも考えられますね。
食いつきさえすればそのフィーリングはものすごくいいです。好み。
純正のようにディスクにダンパースプリングがないので、ダイレクトにつながるのがわかります。
でも、メタルのようにピンポイントで繋がるほどではないので扱いやすいです。
で、この2日間でのインプレ
・クラッチ切った時の音:
車内ではほとんど聞こえません。
車外でもそれほど大きくありません。意外でした
エンジンかけるときのシャララーという音はわずかに聞こえます
・ギア共振音(ガラガラ音):
これはしっかり出ます。
ただ、発生は限定的
1~5速まで:1700-2200rpmあたり、しかもギア高めで踏み込んだ時だけ。
6速:1200rpm-1700rpmあたり
慣れれば気にならないかな。うまく操作すれば発生を抑えることができます
ここ一番の高回転時は全く出ません
・これが一番重要、吹けあがり:
ばっちりです。
フライホイールの軽さ(ASSYで14.5kg←21.5kgと7kgの軽量化!)の効果が出まくりです。
カラ吹かしやダウンシフトでのダブルクラッチのとき、おおお!というぐらいに吹けます。
普段の加速時もいつもより気持ちよく吹けあがります。
これはいい!
上記のデメリットを考えてもOKです。
あとはどれだけ初期滑りが収まるかです。
まあ、連休中に既定の距離を走りきると思うので、その後でまたインプレします。
…それより、どこでドラッグスタート10本やるんだろう(笑)
長文にお付き合い、ありがとうございました。
はぁ、疲れた。