タントフルモデルチェンジ

ダイハツは、タントをフルモデルチェンジし、本日発売しました。

タントは、軽自動車で所謂ハイト系と呼ばれる元祖モデル。
初代モデルが登場した際、もはやクルマが持つ格好良さをかなぐり捨てたデザインであるとともに、運転席に座った時の、無駄とも思えるヘッドスペースの広さに違和感を感じたものですが、それは今回のモデルでも健在。

両側スライドドアの採用や、スマートアシスト、カタログ上の低燃費、助手席のスライド量アップや、また増加したヘッドクリアランス等々、軽自動車として、今考えられるものを、全て取り込んだとも言える内容は立派なもの。

反面、いつまでこんな展開を続けるのかと言いたくなる、退屈なデザインの標準モデルと、所謂カスタム系と呼ばれる、メッキギラギラグレードの二種類展開には、正直食傷気味。
おまけに、今回のカスタムは、明らかにN BOXを意識したもの。
このジャンルの先駆者とも言えるタントならば、ライバル車に迎合することなく、こういった展開を卒業し、軽自動車の新たな第一歩を踏み出してもらいたかっただけに、非常に残念。

走りやハンドリングといった、動力性能や動的質感の面で語られることはないこの手のクルマは、デザインも含めてクルマをクルマとして意識することなく、日常生活にとけ込んだツールとも言えるもの。
反面、私のように、クルマをただのツールとして見ることができない人間にとって、カタログに書いてある『贅沢に感じられるほどのゆとり』は、無駄の一言。
ツールとしては、最高なのでしょうが、クルマとしては非常に退屈なジャンル。
我が家のガレージに、このジャンルのクルマが来ることは、考えられない。
しかし、実際売れているのは、こういったモデルばかりなので、ある一定の見方をすれば、日本は成熟した車社会であるとも言えるのかもしれません。

新風を起こせば、何かが変わったのかもしれないのに、正常進化で留まってしまったタント。
これでは、デザインを含め、どのメーカーのクルマを買っても大同小異。
軽自動車のブレイクスルーは、もう起こらないのでしょうか…。