トヨタ自動車は、マークXをマイナーチェンジし、本日発売しました。
現行モデルのデビューが、2009年10月であるため、2年強でのマイナーチェンジです。
その目玉は、エクステリアの大幅な変更。
フロントもリアも大きく意匠が変わっています。
モデルサイクルを、大きな変更なしに終えるモデルも多い中、モデル半ばで、ここまでの変更をしてくる車は、最近では珍しいのですが、その意図は何なのか。
例えば、数を多く売らなければならないコンパクトクラスで、誰がどうみても、アカンと思わせるデザインで登場したため、早急に見直しを図ったというのならばわかります。
ただ、それが成功するのは、せいぜいコンパクトクラスまで。
もしくは、モデルライフの長い車。
マークⅡを源流に持つマークXのように、ミドルクラスで伝統ある車が、最初のマイナーチェンジで節操無くデザインを変更するのは、どうなのか。
セダン不毛の時代、販売が低迷しているのは、決してデザインのせいではないはず。
本当に良いデザインならば、こんなに早く変更する必要はないし、もっと当初に描いたデザインに自信を持つべきであるとともに、初期ユーザーに対する裏切りのようなもの。
マークXというブランドを、トヨタは一体どう考えているのか。
あわせて、登場当時のキャッチコピーであった『SAMURAI X』をあっさりと引っ込めてしまっています。
少なくともWebカタログには、どこにもSAMURAIの文字は踊っていません。
一体、当初のコンセプトはどうなったのか。
おかげで、先にマイナーチェンジした鉄くず車、
ジオがSAMURAIとして取り残されてしまう有様。
当初のコンセプトを、コロコロと変えるのは、もはやトヨタのお家芸と言えるでしょう。
そして、もう一つ気になるのは、『走り続けるオレたちへ。』『目覚めよ、男であるために』と、相変わらず妙に『男』をアピールしていること。
ここだけは、トヨタはブレていないのですが、『男』に拘る理由は何なのか。
老若男女に受け入れられる車を造れ、などとは言いませんし、男性に乗ってもらいたい、というのもわかりますが、そこまで『男』をアピールし、ターゲットを絞る意図が見えてこない。
女性でも、マークXに乗りたいと思う人は、当然いるはずですが、そういった人を逃がしやしないか。
これも、以前から書いていることですが、本当に良い車ならば、老若男女、誰が乗っても似合うもの。
メーカー自ら、ターゲットを狭めるような訴求方法は、あまりにもレベルが低いと思いますし、もしこれがクラウンだったら、同じような展開をしたのかどうか。
メカニズムとしては、大きなアップデートはないものの、内装材やフロントピラー内の制振材の採用を拡大、溶接のスポット点数を追加、新構造のショックアブソーバーを採用と、地味ながら基本性能を改善させているのは、好感が持てるところ。
反面、ベースグレードとなる250G Fパッケージだけ、後席両側のヘッドレストが固定式。
このクラスに限らず、本来どのグレードを選んでも、基本的な安全装備は同じでなければいけないはず。
そこで、ベースグレードに差をつける理由はただ一つ、コスト(価格設定)のみ。
現行モデル登場時から、この設定は変わっておらず、これまたトヨタが何も変わっていない証拠。
唯一、マークXでブレていないのは、初代から一貫して俳優の佐藤浩市氏を、イメージキャラクターとして起用していることですが、それだけとは、あまりにも寂しい話。
セダン不毛の時代だからこそ、ミドルクラスFRセダンの旗手として、その良さをアピールしてもらいたいところですが、この内容では、売りは結局価格くらい。
『エコカーじゃなければ、車に非ず』などと宣う評論家もいる時代ですから、そんな人にとってみれば、エコカーに当てはまらないマークXは、評価に値しない車なのでしょうが、それを見返すくらいの車造りを期待したいものです。
Posted at 2012/08/27 21:16:15 | |
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