マツダは本日、アテンザをフルモデルチェンジし、発売しました。
アテンザは今回のモデルで三代目。
マツダは、新型アテンザを新世代技術『SKYACTIV』と、新デザインテーマ『魂動』を採用した、新世代のフラッグシップモデルと位置づけています。
アテンザについては、以前から何度となく書いているとともに、マツダからもプレリリースされていたため、今回の公式発表内容は、殆どが既に知られていたもの。
エンジンは、クリーンディーゼルの『SKYACTIV-D 2.2』とガソリンの『SKYACTIV-G 2.0』『SKYACTIV-G 2.5』の三種類。
トランスミッションは、ガソリン車は6AT、ディーゼル車は6ATに加え、6MTも用意。
グレード及び価格はセダン、ワゴン共通。
ガソリン車が、『20S』(2,500,000円)と『25S L Package』(3,000,000円)。
ディーゼル車が、『XD』(2,900,000円)と『XD L Package』(3,400,000円)で、6MT車はXD(3,026,000円)に用意されています。
注目のJC08モード燃費は、
以前書いたとおりで、最も数値が良いのは、SKYACTIV-D 2.2に6MTをドッキングしたセダンのXDで、22.4km/L、同ワゴンが、22.2km/L。
ディーゼル車の6ATは、セダンワゴンとも、20.0km/L。
ガソリン車では、セダンワゴンとも、SKYACTIV-G 2.0が17.4km/L、SKYACTIV-2.5が15.6km/Lとなっています。
デザインや、ディーゼルエンジンによる、高出力低燃費に注目が集まる裏で、評価したいのは安全装備。
カーテン&サイドエアバッグ、全席のヘッドレスト、DSC、TRC、エマージェンシーシグナルシステム(ESS)、ヒルローンチアシスト(HLA)は当然のように全車標準。
加えて、
既報のとおり、先進安全技術である『i-ACTIVSENSE』が採用されており、今回のアテンザでは、マツダレーダークルーズコントロール(MRCC)、車線逸脱警報システム(LDWS)、リアビークルモニタリングシステム(RVM)、ハイビームコントロールシステム(HBC)、アダプティブフロントライティングシステム(AFS) 、スマートブレーキサポート(SBS)、スマートシティブレーキサポート(SCBS)、AT誤発進抑制制御が設定されています。
以上の安全装備は、25S L PackageとXD L Packageで標準装備となっていますが、それ以外の全てのグレードにおいて、MT車も含めて、オプションで装着可能。
国産メーカーの多くは、こういった先進安全装備は、上級グレードしか選択できず、下位グレードにはオプション設定すらされていないことが多いため、安全装備を手に入れようとすると、欲しくないような装備まで掴まされてしまうもの。
これは、メーカーが安全とコストを同列で考えているに過ぎず、ユーザー軽視の典型的な例。
装備やエンジンに関係なく、安全装備を全てのグレードで選択できるという展開は、なかなか今まで見られなかったものです。
これは非常に喜ばしいことであり、マツダの安全に対する姿勢を感じ取ることができます。
今回のアテンザの場合、20SとXDではメーカーセットオプションとして用意。
セーフティ・パッケージ1は、SCBS、AT誤発進抑制制御、SBS、MRCC、RVMからなり152,250円。
同2はHBC、LDWSからなり52,500円。
残念なことに、73,500円のディスチャージ・パッケージを選択することが条件となり、なおかつセーフティ・パッケージ2は同1の選択が条件。
つまり、セーフティ・パッケージ1を選択すると、225,750円のエクストラコストを、払わなければいけないことに。
そう考えると、一見高いように見えますが、以上のものが標準装備となるL Packageとベースモデルとの差は、ジャスト500,000円。
そこには19インチタイヤや、本革&パワーシート、インテリア一部変更等が含まれています。
ということは、19インチタイヤや、本革&パワーシートがいらないユーザーにとっては、魅力的な選択。
500,000円を払わずとも、同レベルの先進安全装備が手に入ることとなり、ユーザーの選択の幅を広げています。
残念なのは、インテリア。
CX-5と共通パーツが多く、デザインそのものもCX-5と同じテイスト。
インプレッサ&フォレスターとの関係に似ていますが、やはりSUVとセダンで同じ雰囲気のインテリアというのはいただけない。
ましてや、マツダの新世代フラッグシップを標榜するのならば、専用のインテリアを用意してもらいたいものです。
ナビについても同様。
今回のアテンザでは、全車オーディオレスで、メーカーオプションのオーディオやナビは用意されず。
ナビ用のシステムパネルや、ステアリングオーディオリモートコントロールスイッチが全車装着されていますが、これはディーラーオプションで用意されているナビの装着が前提。
つまり、専用のボタンはあるものの、結局ナビの外観は、市販されているものと同じ。
これではいかにも後付け感が出てしまい、安普請。
先日フルモデルチェンジしたフォレスターが、中身は市販のナビではあるものの、専用パネルを採用し、インテリアにフィットしたメーカーオプションナビを用意しているのとは対照的。
やはり、このクラスであれば、インテリアと一体化されたナビやオーディオの設定を望みたいところです。
また、
以前書いたアクティブエンジンサウンドは、メーカーオプションのBOSEサウンドシステム+11スピーカー(84,000円)を選択すると、装着される模様。
一体どんなサウンドが奏でられるのか、試してみたいものです。
そして、気になるのは、やはりそのボディの大きさ。
セダンにおいて、全長4,860mm、全幅1,840mmは、グローバルカーとしては標準的なサイズかもしれませんが、日本市場では、いささかでかい。
このサイズを、ミニバンのように多人数ではなく、基本大人4人で使うというのは、考えようによっては極めて贅沢なのかもしれません。
また、マツダは見切りや視界の良さを取り上げて、運転しやすいクルマであることをアピールすることとは思いますし、このサイズだからこそ、魂動デザインが成立したとの見方もできるでしょう。
しかし、それはあくまでも相対的な問題であって、絶対的な数値は、日本ではやはり大きいもの。
ほぼ同じサイズのMPVに私は乗っていますが、大きさを感じさせないとはいえ、お世辞にも扱いやすい大きさではありません。
基本的な部分がしっかりしており、ハードとしての完成度が高いレベルでまとまっているクルマだけに、絶対的なサイズの大きさや、前述のインテリアやナビを含め、二次的な要素が足枷となり、多くの日本人を振り向かせることができないのならば、それはマーケティングのまずさに尽きます。
日本は、おまけ市場であり、グローバルで売れればそれで良し、企業としてはそれでOKなのかもしれませんが、日本の企業が、日本市場を二の次にするのは、あまりにも寂しい話ではありませんか。
ただ、マツダにとって渾身の一台であるとともに、近未来に対する提案を感じさせてくれる新型アテンザ。
単に安い、広い、カタログ燃費が良いの3つくらいしか売りにできない最近の新型車なぞ、どこ吹く風で、プチバンブームなぞ、マツダには関係ないのでは、と思わせてくれます。
N-ONEに続き、久々にときめき、ワクワクを感じさせてくれるクルマの登場です。
個人的には、セダンのXD(6MT)で、設定のないオフホワイトカラーのシートやBOSEサウンドシステムが装着できると、理想のモデルに仕上がります。
以前書いた、マツダスピードバージョンも含めて、マツダさん、よろしくお願いします!