14代目となるS210系のボディーサイズは
全長 4,895mm
全幅 1,800mm
全高 1,460mm
WB 2,850mm
全長でいうと現行よりも5mm短いだけですが現行に比べて車高が高いので現行よりも遥かに小さく見え、賛否の別れたフロントも今ではすっかり見慣れたもので、グリルさえ隠せば、このモデルは水平基調のサイドや解りやすい格好良さのあるリアスタイルなどから古くからのクラウンユーザーを上手く取り込めもっと売れたかも知れない。
ちなみに私は後期モデルの特にプレシャスシルバーメタリックのロイヤルは結構好き。
乗車した個体の装着タイヤは標準の215/60R16
私はこのサイズ装着車をお勧めしたい。
現行のインパネを見てしまうと古く見えますがニッポンのセダンの王道クラウンの内装ということを踏まえるとこちらの方がらしいと言えばらしい。
使い勝手はともかくマルチオペレーションタッチの採用など先進性とクラウンらしさを上手く融合させたデザインは素晴らしい。
ドアを開けたときに見える大型のマルチパネル、絶壁気味のインパネを見るともはや安心感さえ覚え、この内装を見るとやっぱりロイヤルサルーンを主体にデザインしたのかなと思うくらいにしっくりとくる。
後期フラクセン。
現行には無い落ち着きのあるニッポンのクラウンらしさがある。
パーキングブレーキがハンドリリース式でも電動でもなく足踏み式なのは本モデルでトップクラスに不満な部分。
車内の至るところに配置される木目パネルは前期は金糸柄の入った物で後期の格子柄の物よりも華やかで明るい印象。
後期の寄木調パネル。
前期、後期共々日本の伝統工芸品を模したパネルでこういう所にもニッポンらしさがある。
フラクセン内装ではなくオプションのチェスナット色の内装はベージュよりも落ち着いた空間を黒内装よりも明るい印象を与える何ともバランスの良い色味。
シートのファブリックも先代200系や現行220系よりも柔らかくソフトな物で革シートを選ばずとも恐らくは大多数のクラウンユーザーからは風合いや座り心地で不満はでないでしょう。
先代よりも数値上は車高が下がっていますがそれでも現行よりも着座位置が高いシートはfun to driveという面では劣りますが日常的に使用する分にはこちらの方がやはり楽。
シート地にも金糸加工が施される。
やっぱりクラウン、特にアスリートではなく伝統のロイヤルサルーンは布シートでなくてはね👍
ドアトリムは下部は先代よりもコストダウンを感じさせる物ですがデザイン性や触れたときの質感などはなかなか良好。
シート表皮がファブリックでもトリムが革調なのはコストダウンにもなっているとは思うが個人的にはトリムは革調の方が掃除もしやすく見た目も良いので好評価。
ウインドウスイッチも自然に操作でき、先代で不満だったドアハンドルの操作性も良好。
マルチオペレーションタッチ
現行のナビの操作も行う物よりも空調、車両設定のみなのでまだ、使いやすい。
中央にマルチディスプレイを備えたメーターは奇をてらった物ではないシンプルなデザインで水温、燃料計がアナログな針なのは私が何度も述べている通り安心感が違う。
メッキ加飾の主張が強いのでもう少しトーンを抑えた方が高級感という面では良かったかな。
クルコンのスイッチも親しみのあるレバータイプ。
長年親しんだこのタイプは無意識にスイッチ操作ができ加減速の調節も楽々。
やっぱりトヨタのクルコンはこのタイプの方が良いな。
リアシートはゼロクラ以降共通の柔らか過ぎない物でフロント同様にややホールド性のある物です。
210からはロイヤルサルーンでもアームレストボックスが省かれロイヤルサルーンG以外のロイヤルシリーズ及びアスリートのリアアームレストの質感が大幅に低下した時のショックは今でも忘れませんw
ロイサルGのリアアームレスト、クラウンと言えばこれですね。
長年ロイヤルサルーンGに装備されていたクールボックスが無くなったのも210系から。
クラウンファンからすると非常に物足りないが、現行で装備されなくなったリアのエアピュリがあるだけ良しとしようw
お約束のアシストグリップ。
やはりクラウンといったらこれですね。
読書灯は前期はまだLEDではなく電球ですが可動式。
リアの吹き出し口。
ここにもメッキ加飾が施されているがこの部分はちょっとクドイかな。
トランクルームはガソリン車と比べると狭めですが現行よりも凹凸が少ないので見た目や使い勝手はこちらに軍配。
今まで気がつかなかったがボードの吸音材が省かれていた。
いつからだろうか?
乗った感覚は16インチの本車両に関しては以前ご紹介した200系ロイヤルと同じくらいにソフト。
クラウンロイヤルサルーンの名前に恥じない乗り味です。
17インチに比べるとソフトすぎると思う点も少なからずあるが、田舎の凹凸の多い路面ですとこのくらいソフトな方が結果として疲労感は少ない。
ステアリングも軽く17インチ仕様ですともう少し手応えもあり200系よりもしっかりとした乗り味なのですが16インチ仕様ですと殆ど同じ。
まあ、基本設計は同じですからね。
はっきり言ってパワステの制御やパワートレインの質感以外は先代である200系と大きな差はないと感じています。
ゼロクラウンから熟成されたプラットホームも、やはり改良の限界にきていたのでしょう。
それだけに現行220系と210系からの乗り比べは変化をはっきりと感じさせる物です。
エンジンは登場時は色々と物議を醸した4気筒ハイブリッド。
低速時の加速性能や静粛性に不満な点は無いが登坂路でのパワー感の無さ(加速性能というよりも音が無理している感覚)は残念な点。とはいっても日常使いで不満に感じることは特に無い。
不満に感じる人はECOモードを解除すれば大丈夫。
質感という点から述べると先代のように6ATでトントンと加速しエンジン音にメリハリがあるならばともかくTHS搭載車全体に言えることですがCVTの影響もありエンジン自体が発電機のようにブーンと回っている感覚はあまり気持ちの良いものではない。
しかし、本車両のように車に興味の無いオーナーが乗ってリッターあたり19㎞走らせるという低燃費ぶりを知ってしまうとエンジンの質感のマイナスイメージも吹っ飛ぶ。
前回の200系ロイヤルの時に述べた通り単純に運転していて楽なのは200系ロイヤル。
そこで今回、改めて乗り比べてみてはっきりとわかったのはやはりシートの感覚。
200系に比べてシートの柔らかさなどは大差はないのですが赤丸で囲った部分が200系に比べて前側に包み込むようにホールドされ、肩の自由度が少なくなることによるものと考察。
ホールド性の良いシートは嫌いではありませんがこの車の場合は何故かどの個体に乗っても疲れる。
決して乗り心地が悪いという印象もないので恐らくは音の質感とシートであると思う。
車全体は質感はともかくとしてインパネ、ドアトリム、リアのデザインなどは思いの外というよりもはっきり言って好みで、嫌いではないのですが、先に述べた通りクラウンの美点である安楽さということを考えると私は先代モデルである200系の方がハンドリリース式パーキングブレーキなどクラウンらしくて好きなモデルですね。
しかし、この車はゼロクラ以降のモデルではデザインやコンセプトで車全体から一番日本の高級車であろうとする姿勢を感じることができます。
操作系やエンジンのフィール、装備は先代である200系の方がクラウンらしいが、デザイン性やコンセプトから感じるクラウンらしさはスタイリッシュな200系よりも210系の方がクラウンの持つニッポンのセダン感は感じ取れる。
現行220系はゼロクラ並みに上っ面だけのモデルチェンジではない程の刷新がされ、デザインや走りなど多くの点で衝撃的モデル。それと比べると本車両210系は乗り味もカタログからも日本らしさを全面に出し、ニュルブルクリンクでの走りをアピールしている現行のカタログとは対照的な物。
現行はクラウンとして越えてはいけない一線を越えた感はあるが、車としての素性は素晴らしい物。
今夏に内装の質感をアップさせた特別仕様車登場の噂を耳にしたが是非とも現行の一番不満な点である質感向上に期待したい。
多くのクラウンファンがゼロクラ以前の170系が最後のクラウンだなと言うように近い将来この210系もクラウンらしい最後のモデルだなと言われる日が来るかも知れない。
200系クラウンの感想
https://minkara.carview.co.jp/userid/2594057/blog/42833613/
220系クラウンの感想
https://minkara.carview.co.jp/userid/2594057/blog/41654398/