今年いっぱいで生産終了するマークX。
先日、国内のライバルであるV36スカイライン250GTに乗りましたので生産終了前に乗ってみようということで乗ってみました。
来たのはこちら…
後期型を期待しておりましたが中期…
まあ、後期に比べて中期はじっくり乗ったことがないので良しとしましょう。
グレードは量販グレードである250G。
ボディーサイズは
全長 4,750mm
全幅 1,795mm
全高 1,435mm
WB 2,850mm
となっており、先日のV36スカイラインよりも全長-5mm、全幅+25mmで、全長に関して言えばマークXの方が短いのだがマークXの方が大きく見える。
中期型はキープコンセプトだった前期型と比べて
Xをモチーフにしたエンブレムを意識したデザインで好みが別れるところ。
素直に申しますと私は苦手なデザインで後期型の方が好み。
曲線が多用されグラマラスな印象だったスカイラインと異なり直線的でスマートな印象を受けるリアビュー
サイドに関しても同様で直線的なデザイン。
デザインとは不思議なものでスカイラインに比べて本当に長く見える。
丸みを帯びた先代120系マークXと先々代である110系マークⅡよりもデザイン自体が伸びやかで「マーク」のDNAを感じる。
装着タイヤは215/60R16
先日のスカイラインは225/55R17インチでスポーツ性能とコンフォート性能の両立がされた絶妙なラインと述べたがこちらのサイズは問答無用でコンフォートより。
このサイズでREGNOを履かせれば今では少なくなったジャパニーズセダンの乗り味を味わえます。
搭載されるエンジンはみんな大好きV型6気筒、4GR-FSE
少し前まではトヨタ含めレクサスのミドルセダンではお馴染みのエンジンでしたが直4ターボ及びハイブリッドの波にのまれ、現在はマークXのみが4GR搭載車となりました。
スペック的にはVQ25に劣るがレギュラー仕様で経済性と6気筒の良さを兼ね備えたGRシリーズの名機。
燃費は私が郊外路、市街地、ちょっと楽しませてもらってこの値。
優秀です。
内装もエクステリア同様に曲線というよりかは直線的。
スカイラインと異なりデザイン性よりも実用性重視な印象でエアコンなどの操作をマルチを介さないので直感的に操作できる。
マークXの素晴らしいところは後席でもしっかりとリクライニングが可能なところ。
後席の居住性は同じホイールベースのスカイラインと比べると雲泥の差。
トランクルームも広大でトランクスルーもこの通りシート全体が倒れ、見た目以上に実用的。
先日、ライバルのスカイラインと比較してマークXが褪せてしまったと述べたが、マークXが嫌いになったわけではなく、スカイラインとは異なる扱いやすさを改めて感じた。
装着されるタイヤサイズを含めスカイラインに比べてコンフォートよりな車で性格自体が異なるので比較対象としては違うが静粛性や乗り味は角がとれたもので非常にマイルドでマークⅡから乗り継いでいる方も違和感なく乗れる柔らかい物。
それは以前乗った後期型250RDSでも同様でマークXの18インチ仕様でV36スカイライン17インチ仕様と同程度という感覚かな。中期から後期はかなり力の入ったマイナーチェンジでアリオンと同じように開口部の大きいトランクスルーを備えたマークXではボディーの剛性向上をはっきりと感じることができ、18インチ装着車の粗さは影を潜めている。
話を本車両に戻すとスカイラインの際にスカイラインの方が動きが軽快と述べたがマークXが決して重いのではなく交差点進入時や山岳路などでの車の運動性能の高さがそういった印象をもたらしたのではないかと今回改めて確認することができた。
剛性感、脚周りのしっかり感、フラット感はV36が優れるが(後期でようやく追い付いた感じ)ATをはじめとする車自体の滑らかさはマークXの方が優れ、特にATの滑らかさに関しては3速以上のショックは、ほぼ皆無で低速でのATの滑らかさは同世代の200クラウンよりも優れる。
しかしながら滑らか過ぎて、わざと滑らせているような感覚の制御は不満に思う人もいるかも知れない。
走り全体に癖が少なく誰でも扱いやすい車で過去に100系マークIIの記事でも述べたがバランスの良さは名前を変えたマークXでも健在。
このシフト、ステアリングの滑らかさを洗練されていると捉えるか、面白味がないと捉えるかはその人次第。
運転している分には遊びが少なくリニアな方が良いが、適度な遊びは滑らかに運転する上では案外重要なこと。同乗者のためを思うのならば私は素直にマークX をお勧めする。
スカイラインが運転を楽しむためのFRならばマークXは扱いやすさ、車の素直さを生かし切るためのFR。
これはマークXのスポーツグレードであるSパッケージ及び250RDSでもその印象は変わらずスカイラインの走りを知るとマークXにはFRセダンならではの「駆け抜ける喜び」「人車一体」というものとは少し違った印象を受ける。
慣れとは恐ろしい物でトヨタ一辺倒であればまた、違った評価であっただろう。
しかし、何よりもこの車の魅力はFRならではの「駆け抜ける喜び云々」というのではなくアリオン、プレミオと同じような実用性を持ちながらミドルセダンに求められる快適性、質感を損なっていないのが最大の魅力。
ドライバーズカーとしてはスカイラインの方が上手だがセダンとしてみた場合はマークXの方が上手。
何よりもベースグレードと言えど値引き含め実売価格280万ほどでこの車を手にすることが可能な点はトヨタの良心を感じることができる。
事実、アリオン購入時マークX 250GとアリオンA20 G-プラスパッケージではマークXとの価格差は10万となくこの時は相当悩んだ…
同じく日本のセダン代表であるクラウンが欧州車を意識した開発志向となり、準ガソリン車の6気筒搭載車が消滅した今、日本専売で古くから高級車の基本されてきた6気筒+FRレイアウトのこの車は最後のニッポンの高級セダンであると断言できる。
前身のマークⅡ3兄弟はご存じの通りハイソカーブームの立役者で「マーク」の名前は多くの日本人の記憶に残る名前。人知れず消えてゆく車が多い中、トヨタ自身もファイナルエディションを設定し専用のサイトまで立ち上げている。
それだけ、「マーク」が多くの日本人、携わった人に愛されトヨタ自信もマークの名を大切に思っているのだろう。
ミニバン、SUV全盛の今、セダンの立ち位置は非常に厳しいものとなっているがマークXは登場当初からジリ貧というわけではなく、マーケットも確立されていたと思うのだが、トヨタ自身が放置プレイをしマークXを飼い殺しにしてしまった印象が強い。
マークXは基本的なシャシー、メカニズムは2003年登場のゼロクラウンと同様で16年前の物だが車好きが重視する走りの良さは2019年現在も新世代シャシーであるTNGA+FF 直4HVの現行カムリをもってしてもFR+6気筒 純ガソリン車のマークXの方が車として素直な操舵感だ。
昭和から平成にかけてのニッポンのセダンを代表するマークII、マークXは令和になり身近な高級車としての役目を終える。トヨタの言葉を借りると「ともに走り抜けた記憶は、きっと心に刻まれる」このキャッチコピーは日本を代表するセダンの最後に相応しい言葉であると思う。
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100系マークII