エアコンシステム全アップデート計画・その1(準備編)
目的 |
修理・故障・メンテナンス |
作業 |
DIY |
難易度 |
  中級 |
作業時間 |
12時間以上 |
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今年もあの焼ける様な暑さが近づいて来た。旧車やネオクラと言えども、もはやクーラー無しでは日中運転することは難しい。
我が240も先日久しぶりにエアコンを起動、調子が良ければ吹き出し口の温度は10℃まで下がるが、大体平均して14〜15℃そこそこの風しか出ない。これでは真夏の晴れた日、家族を乗せて楽しく旅行。。は非常に厳しい。
去年、ブログの方にボルボ240におけるエアコンシステムの概要を掲載した。その知識を基に、今年こそシステムを最良の状態にアップデートし、安心して家族を乗せられる様な車にしたい。
まずはR134aへのレトロフィットを行うこと。そして、30年以上前の貧弱な性能を捨てて、現代の環境に見合うスペックを実現させること。
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TurbobricksのスレッドやDave bartonのトピックを読んだりして知識を入れるも、得た情報がそのまま使える訳ではない。大きなハードルが2つあり、一つは基本的に左ハンドル車前提で全てが記述されていること。アメリカのサイトだから当然なのだけれど…これを右ハンドル車に当て嵌めながら整理していくことになる。
上図は1991〜92年式あたり、比較的高年式のエアコン概略図だが、上が左ハンドル、下が右ハンドルとなっている。大きな違いはアキュムレーターの場所が左右反対になっていて、そこに至る配管が全く異なる。それに伴って、車内エバポレーターの配管も左右逆であり、アキュムレーター・エバポレーターともに左ハンドル車と右ハンドル車ではパーツの互換性は無い。つまり、右ハンドル車は数少ない専用パーツを用意する必要がある。
そしてもう一つは年式によって細かく仕様が変わっていること。時期によって大きく前・中、後期3つの仕様に分かれる。自分のは91年以降の後期に該当するが、92年式のR12ガスに対して、翌年の93年式はR134aを採用、配管やコンプレッサー、Oリングなど様々な箇所に変更があった。そう言った違いを踏まえてアップデートを進めなければならない。
アップデートを一言で表すと、93年式のR134仕様に近づけていくという事になる。ただ、それだけではまだ不十分なので、純正ではない強力なコンプレッサーに置換したり、ガス圧などのパラメーターを最適化する。
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まずはラジエーター前に設置するコンデンサー。これは93年式と同等の、パラレルフロー式のコンデンサー。92年式までのチューブ&フィン式に比べて30〜40%ほど効率が良いとされる。アメリカの通販サイトで購入&輸入。輸入消費税がしっかりかかる😢それでも国内で流通している価格よりはナンボか安い。
一応92年式にもそのままポン付け出来るが、配管の取り付け位置が少し異なる。92年式までは、コンプレッサーから送られてくる高圧ガスの入り口(画像左上部にあたる)はもっと上にあり、93年式ではそれが延長されて真ん中程まで下がっている。そのため、フィッティングの接続にややコツが必要(これについては後述)。
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次に、右ハンドル専用のエバポレーターとアキュムレーター。新品のリプロダクト品。これについては逆に海外ではほとんど見つからず、日本の通販サイトの方がはるかに入手性が良い。素直にJo-Yaさんのところから購入。
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そしてコンデンサー用の電動ファン。純正品よりはるかに強いSPALの16インチ押し出しタイプ。たぶんめちゃくちゃ強力w。
本当は14インチの方が収まりが良いと思う。16インチは上下ギリギリか、もしかするとはみ出る可能性も…ただ、市販価格より1万円くらい安く買える機会があって、その魅力に負けました。
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コンプレッサーは敢えて純正タイプをやめて、Turbobricksのスレッドにもあった様にサンデンSD7H15タイプを選択した。R134a専用で既にPAGオイルも封入済み。プーリーはベルト2本掛けのAAタイプ。
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だいたいパーツが揃ってきたところで、一度電装屋さんにコンタクトを取った。すると「ホースも新調した方が良い。レトロフィットするとガスの圧力が上がるので、ほぼほぼ漏れて後で手間になる。」と言うアドバイスを受けた。確かに一理ある…それでなくとも自分の240は、納車直後に一度、高圧側でリークを起こしている
そこで、折よくネットオークションに93年式のエアコンホースが出品されていたので、それを購入。これをドナーとして新しいホースを作製してもらう事にする。
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ところが、ブログの記事にもあった通り、93年式のホースはそれまでのSAEからメトリック規格、つまりインチねじからミリねじへ変更された箇所がある。それが低圧ホースとアキュムレーターの接続部であった。入手したホースはメトリック、それに対して購入したアキュムレーターはSAE。これでは接続出来ない。
これを受けて、他の部分(コンデンサーとホースの接続など)もチェックしてみたが、どうやらこの1箇所が現状ダメである。
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電装屋さんには「今現車に付いているホースを外してそれを使うしかない」と言われたが、それは大変困るのである。仕方ない。インチ規格のフィッティングを探すしかない。
こう言う探し物はかれこれ20年以上の経験があるので、欲しい物はすぐ見つかった。購入手続きを完了して3週間後、それはやって来た。SAE -12 AN、90度カーブのフィッティング継手。
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継手を買うついで、もうひとつ別のパーツも購入。ブログの記事にもあった様に、ボルボ240は何故か高圧側のポートが存在しない個体が大部分である。これは正確にガスチャージをしたりする時に大変不便なのでは?
と言う事で、高圧ホースの途中に高圧ポート付きのアダプターを挟み込む事にした。ここもインチ規格、AN #8のオスメスアダプター。
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アダプターを挟み込むとこう言った感じになる。アダプターの長さが追加された分、ホース作製の際は長さを短めに作ってもらう。
ここでついでに書くと、左側の配管立ち上がりはコンデンサーの上側の継ぎ手と接続する部分だが、この立ち上がりの長さが93年式は短い。92年式はもっと長く、コンデンサーのてっぺん付近まである。これが3枚目の画像で書いてた事で、92年式の配管を使う場合、立ち上がりが長い分下に押しやられる事になり、配管に無理が掛かるか、新たにステーを作成する事になるか、はたまた配管をカットする事になるかもしれない。
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細々としたショートパーツ類、R134a用のOリング、レトロフィットの為のポート類、R134a用のオリフィス(高年式のエキパンバルブ)。
あとはホースが出来上がったら、足並みが揃うことになる。
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こちら現車のコンデンサー。配管の接続口が相当上にある事が分かる。新しいコンデンサーはもっと下にあるので、配管の金属パイプを交換せずそのまま使う場合はまあまあ工夫が必要になる。
今回は93年式のホース&パイプと入れ替えるのでその点は問題なくクリア出来る。
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電装屋さんから連絡が来て、ホースが出来たとのこと。早速受け取った。新品だけあって柔軟性もありなかなか好感触である。
さて、これでほぼ準備が終わった訳だが、ここまでの金額で既に19万円を超えていた。これでも店に揃えて貰うよりも相当割安に抑えてるはずだ…
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