二本の走行枠があったのに何でセッティングを変えなかったの?
というのには実は理由がありまして^^
今日はダンパーオイルのテストを兼ねていたのです
サーキットと言うクローズドな環境でダンパーオイルだけを変えて
どの様な変化があるかと言うのを見るためのものです
皆さん「スノコ」ってご存知ですか?知る人ぞ知るオイルメーカーです
そのスノコさんと千葉のSTD社が共同開発中のオイルを
使ってみてほしいという事でした
当社オリジナル車高調のベースにアラゴスタを使っている事は
言うまでもありませんが、ショックの中のダンパーオイルを
変える事でサスペンションは変化します
例えばエンジンオイルでも同じ粘度でもメーカーによって
多少フィーリングは変化しますよね?
正直、私的にはエンジンオイルはちゃんとしたモノを選べば
基本的にどこのメーカーであってもそんなにフィーリングに
大差は出ないと思っています
とは言え、レースや長距離走行後のエンジンオイルの劣化や
粘度の低下のしにくいオイルは選んでいますので基本は
MOTUL300Vを使っています
元もとアラゴは良いダンパーオイルを使っているのだからそれを
スノコのオイルに変えただけで変化がわかる程私は
敏感ではないと思っていましたが…
実はかなり変わります!いや、認めたくないけど激変でした…
元々のアラゴスタのダンパーオイルは使用環境や耐久性を
考えたオイルなのでそこそこ粘度は低めですが、
今回スノコの試作品はそれに比べると粘度は高めです
走り出しや5度以下の環境であれば粘度が高いのでダンパーが硬く感じると
言う事でしたが、それらのフィーリングチェックとダンパーが
温まってからのフィーリングの変化をレポートしてくださいとの事で
減衰力等を調整してしまうと変化がわかりにくくなってしまうので
フロントショックのダンパーオイルのみをスノコに交換して、
交換前と交換後の二本を走るというのが今日のメインだったのです
本当はタイム狙いでアンダーステアを消すセッティングを取りたかったのですが
半信半疑のまま「スノコ」テストを行いました
走り出してすぐ、やけにフロントダンパーが突っ張って
一本目よりもさらにアンダーステア気味…
タイムもアンダーがきつくて、一本目のベスト大きく下回る13秒台…
2.3周もするとダンパーが温まって来たのでしょうか?
一本目とほぼ変わらないタイムで11秒フラットから12秒の間で
周回を重ねます。
ダンパー自体が良くなったというフィーリングは特になさげ(汗
それでも折角だから小さな違いでも探してみようと注意して走行します
そこで周回が8周目付近から何かが違う????
今までアンダーがかなりきつかったのですが、かなりニュートラルな
感じになって来ています
9周目にタイムもポーンと10秒台にはいっています
「あれ???おかしくない???」と思いましたよ
FF車なので当然8周もすればタイヤがタレてどんどんタイムは
落ちるのが普通です
もともとドアンダーステアだったMINIが弱アンダーステア位に
なっています。つまりオーバーステア傾向です
だんだんフロントタイヤのグリップに対してリアのグリップが
負け始めているのがわかるのです
特に筑波唯一の高速最終コーナーで顕著に出てます
どんどんバランスが良くなり始めて20分の枠の最後の最後14LAP目に
今日のベストラップ1.10.563が出ています
タイムの変化は
1 1.54.817
2 1.13.251
3 1.11.127
4 1.11.270
5 1.12.654
6 1.12.830
7 1.11.068
8 1.11.937
9 1.10.856
10 1.11.106
11 1.11.174
12 1.10.674
13 1.11.697
14
1.10.563
RE01Rの特性として、グリップが高いとは言え所詮ラジアル
3周もすれば内圧も上がりグリップも低下していきます
いつものテスト走行でもベストが出るのはあくまでも前半で
後半はズリズリタレタレで1-2秒は落ちてしまいます
ちなみに交換前の一本目のタイムですが
1 3.46.261
2 2.41.766
3 4.27.223
完熟走行三周終了後
4 1.13.949
5 1.11.245
6 1.11.660
7 1.11.876
8 1.11.670
9 1.11.607
完熟走行が終わって二本目にベストラップでその後は
ずるずるとタイムは落ちていますよね
いくらコースに慣れてきてラインを覚えても、タイヤが経たれば
当然タイムは上がりません
それが14周目にベストというこの様な結果になるという事は
私の中ではありえない事です
私なりの分析ですが
ダンパーオイルをスノコにした方フロントが良く動いているという事です
ダンパーの特性はタイヤのグリップ性能に大きく影響します
ダンパーの動きが悪いとタイヤに負担がかかって当然タイヤの
性能の悪化を招きます
トータル17周の周回の中で、最初はリアのダンパーがタイヤに勝って
しまっていた状態でアンダーステアがきつかった状態から、
脚が良く動くフロントはタイヤの消耗が少なく、逆にリアはどんどん
タイヤが消耗して行き、リアタイヤが負け始めてオーバーステア傾向に
移行して行ったのだと思います
フロントにスノコ リアにアラゴノーマルのダンパーオイルという
変則的な仕様だからこそ顕著に出たんだと思います
当然前後スノコにしていたら、こう言った特性変化に気づきにくかった
と思います
もちろん17周.20分という短い時間の中でタイムにして0.7秒という
タイム差が出たのですから、これが耐久レースなどでは半端なく
変わってくる違いの筈ですし、今まで以上にタイヤに優しい
サスペンション造の為の重要なファクターとなりそうです
この脚が良く動いているという事がタイムとして出ただけでなく
アンダーからオーバーと言う車両特性の推移に加えて
特筆したいのは「ダンパースピードの高速域での特性変化です」
当社のオリジナルアラゴはすべてダンパー計測してもらって
減衰特性をグラフに出して頂いているのですが、
今回のオリジナルアラゴレーシングヴァージョンの場合
FSWを走行する際にコカコーラコーナーやインフィールド区間での
ステアリング初期レスポンスの向上のため、高速域での減衰力も
高めに設定してあります
3WAYのサブタンクが付いていれば高速域のバンプだけ調整
出来るのですが当然サブタンク無の状態ですので
今までは多少高速の継ぎ目や一般道の突き上げが気になる状態でした
それが、粘度指数が高いスノコを入れて粘度指数が高いという事は
当然減衰力自体も高めになって、より高速域での動きが硬く
鳴るはずなのです
ところが、筑波の縁石に乗っても非常にしなやかで、
フェイントモーションやブレーキング時の荷重を急激に
掛けた時でも、ほんのワンテンポ間合いを置いてくれている
感じで、筑波の第一コーナーを立ち上がって第一ヘアピンまでの
小さなS字区間でのピーキーさが消えているのです。
つまりダンパースピード高速域が交換前よりもしなやかに動くのに
低速域ではしっかり減衰力で荷重を受け止めてくれる
アラゴスタの本来持っている特性をより顕著にした感じです
これは明らかに体感出来る要素です
減衰力はしっかり立ち上げておきながら、フリクションを
可能な限り低減する事で、本来なら難しい初期減衰を固めて
しなやかに動かすという事が可能になったのでしょうね
走行が終わってから、そのままの状態で箱根まで乗って
帰ってきましたが、一般道ではさらに顕著です
フロントはしなやかに段差を越えているのに、リアは
コツコツ突き上げて、やけにリアの震動が気になります
レーシングバージョンで気になっていた高速域の減衰の硬さが
すっかり角が取れてくれていてリアも同じオイルに変えたら
この問題点がクリア出来るでしょう
まだ試作品の段階ですので市販はまだ先の様ですが
このオイルが出来上がったら当社オリジナルモデルは
全てこのオイルを使いたいと思いました。
非常に興味深い機会を頂いた「スノコ」様
STDの嶋様、トップラインの関係者の皆様ありがとうございました!
PS写真はトップラインのM下さんです
当社デモカーのダンパーオイルをスノコに交換している
作業風景です
M下さんありがとうございました!
彼のオリジナルブランド Morigostaも好評です?