
以前から構想があった廃油ストーブです。化石燃料が高騰している昨今、廃油が燃料になるストーブなんてDIY派には必須アイテムですよね!これは導入しない理由が見つかりません。
まずは材料集めです。ストーブのメインとなる燃焼窯にはプロパンガスのボンベを使おうと思って探していました。ところが意外にもガスボンベって入手困難なんですよね。ガス屋さんに行けば期限切れのボンベなんかいくらでも譲って貰えるものとばかり思っていましたが、どうやら正規ルートでは世に出回らないようです。仕方がないのでいつも金屑を持って行く金属問屋に転がっていた8kgサイズの物を貰って来ました。充填期限が昭和66年という点に味わい深さを感じます。
そして悪名高き高圧バルブです。本当にアホみたいに固く締まっていますので延長パイプを使ってエイヤ!と緩めます。30年以上前に期限が切れた上にバルブが全開になっていたボンベなのでガスは抜けているとは思いますが、念の為に中を水で満タンにして内部の気体を完全に追い出しました。これが昨年秋の出来事です。
放置プレイのまま数ヶ月。いい加減にガスボンベをオブジェのままにしておくのもどうかと思い始め、馴染みの工場に持参して巨大なバンドソーで上部を切断して貰いました。また、廃材を譲って貰った角パイプでの送風管の製作も済みましたので、漸く本日火入れ式と相成りました。
まずは窯の底に灯油を溜めて紙グスで点火し、窯を温める暖機運転に入ります。焚き火に灯油をぶっ掛けたのと同じ状況ですので、少量ではあるものの黒い煙が立ち上ります。
火炎が大きくなったところで送風を開始し、更に温度を上げていきます。現状ではシロッコファンが準備できていないので暫定的にブロワで代用しています。各部材の配置も場当たり的ではありますが燃焼試験は可能です。
空気が供給される事で燃焼が激しくなっていきます。この時点での排気はファンヒーターと同じ香りです。
廃油の供給を開始します。熱せられた窯の中に廃油が入ると一気に気化して燃焼するのが廃油ストーブの基本的な仕組みです。
送風量と廃油供給量を調整し、理論空燃比に達すると青い炎となって完全燃焼状態になります。こうなると煙は一切発生しませんが、排気を直接吸い込むとツンとした臭いがします。流石に無臭とまではいきません。
未だ煙突の装着が済んでいませんので、蓋を完全に被せてしまうと火力が落ちてしまいます。これくらいの隙間を開けておけば完全燃焼状態を維持できていますね。
調子に乗ってどんどん火力を上げていきます。ブロワの性能MAX、フルブーストです。轟音を上げながら外装が燃え始めました。炎の力で蓋が持ち上がって吹っ飛びそうな勢いで、周囲のコンクリートからも湯気が出て乾き始めています。
このまま全開運転を続けるのは身の危険を感じる程です。中火に下げたままで3時間ほど運転してみましたが、かなりの熱量で暖を取るには十分過ぎる性能だという事が分かりました。消火は廃油の供給を止めて火が消えた状態で窯を冷却します。アフターアイドリングが済んだら一連の火入れ式を終了とします。
運転後に窯の底に溜まった灰です。点火用の紙グスの燃えカスがその殆どを占めますが、様々な油種が混ざった上に熟成が進んだ得体の知れない廃油なので仕方ありません。
自作の送風管です。あの灼熱地獄で3時間運転したにも関わらず、赤い錆止め塗料は燃えずに残っています。ブロワ側のフランジ部分は運転中も冷たかったので、送風管の温度はあまり上昇しないのかもしれませんね。適当に開けた送風用の穴もこのままで良さそうです。
いくつか課題は残りましたが基本的には成功と言えそうです。今後、更に改良を加えて暖房器具として使える領域まで持っていきたいところです。気になる燃費は1ℓ/h程度でした。意外に消費量が少ないので、廃油が枯渇する心配はありませんね。
ストーブ必須の季節は終盤に差し掛かって参りましたが、このまま完成を目指します!
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2024/03/10 19:31:23