おくジュ３Ｒ*のブログ一覧

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「鐘の音が聞こえるな………」



車椅子の母を目の当たりにし、
その言葉を聞かされた僕は…


しゃがんで、膝の上に
置かれた発疹だらけの
母の両手に手を添える
「フリ」だけをしました…



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2017. 5. 28 AM

「一人で来てな……」

と言われていた僕の母が
入院する病院に「見舞い」に
「一人」で行きました…

僕の母……

一人っ子の僕を産んでくれた母は
7年前に声を「かなり」失いました…
声が出ない、話せない訳じゃない…
母を襲った「甲状腺ガン」が
母の首に「穴」を開け、それを
塞ぐことでしか、声を発する事が
できなくなりました…

「ほら、こうしたら話せるやろ♪」…
それでも気丈な母は僕達に
そう言いました…

そんな生活が7年強…
放射能治療を含む数々の
ガン治療を行なってきましたが、
目立った効果はなく、逆に
そのガンは肺にまで転移、
ついに今般、抗ガン剤治療を
余儀なくされたのでした…



そして、昨日……
入院して3週間ではじめて
僕は見舞いに行きました…
「一人」で……

3週間空いた理由…
「一人」で行った理由…

車椅子の母を一見して、
その理由はすぐ理解できました…

抗ガン剤治療による後遺症…
顔から爪先まで身体じゅうに
広がる発疹…いや、
大粒の火傷のような水泡…

口の中まで広がる無数の
水泡のせいで、
歩くことも、寝ることも、
食べ飲みすることも、話すことも
動くこともままならない激痛…

その最中、僕「一人」だけを
母は呼んだのでした……

…………………………

僕の姿を見るや、母は
無理に微笑みました……

僕は待合室に現れた車椅子の
母に近寄りました…

そして、母の下にしゃがんで
黙ってうなづきました…

そして、母は

「鐘の音が聞こえるな…」

いつもどうり、首の穴を塞ぎ
僕に言いました…

僕は首を横に振り、
母の水泡だらけの両手を
僕の両手で包むような
「フリ」をしました…

本当は優しく包みたかった…
でも空気ですら、触れたら
痛むその惨状を見たら
とてもできませんでした…

すると、母は僕の「右目」の横に
そっと手をさし添えました…

「あんた…その右目…………」

僕の「右目」を見て、母は
そう言いました……

僕の「右目」を生まれつきと、
昔々から責任を感じてる母は
こんな時でも僕の心配をしました…

その後の僕は目から溢れるもので
全く母の顔が見えませんでした……



………………………

病院の駐車場…………

僕はヴェルに乗ったまま
放心状態ですぐには
動けませんでした……

結局、僕は一言も言葉を
発しませんでした…

母も、その「二言」だけでした…

時間にして約20分……
ほぼ無言の邂逅は幕を閉じました…




「終末の鐘の音」なんて僕には聞こえない……




「触れられなかった」母の手の
「温もり」を感じながら…

思い立ったように、僕は何故か
ヴェルから降りていました………

先日の日曜日…

連れたちと待ち合わせの
SAにて…

少し早く着いた僕は…

透き通るような春の空を…

果てしない青い空を…

見つめて思いました…





やっぱりな….……





「右目が見えなくなってきてる……」





昔、人生の零落期…
右目を傘で突かれて、
大ケガした事がありました…

まさに自業自得……

その事自体に恨み辛みも
悲しみもありません…

自身が招いた罪に
他ならないからです…


ただ….…

今の僕には「守らなければならない」
ものがあります…


「それ」を守る事と引き換えに、
もし….……
もしこのブルーを失うなら….
僕はそれでも構わない……


僕は本当に澄み渡る、綺麗な….
綺麗なこの春の空を見て
そう思いました….…


おそらく、この時の
こんな綺麗な空を見て
そんな事を思ってたりするのは
僕だけかもしれません…


ホント、バチ当たりですね…



….….…………、

しばらくして、連れたちが
SAに到着しました……

どうしても、この日、
みんなで「関空」に
行かなければならない用事が
ありました….

連れの子供達も含め、
本当に綺麗な、綺麗な
空の下で、みんな満面の笑顔….…


右目がやや「ブレ」ながらも
僕も満面の笑顔….



ごめんなさい……

僕、嘘ついてました….…


やっぱり、僕は…
みんなのこの笑顔が見たい….


左目でも、「右目」でも……


みんなのこの笑顔をずっと
見ていたい……


そして、このブルーの空も….…


ずっと、ずっと….……




みんなで見上げた遠くの空に…
飛行機が一機…
飛び去って行きました….……✈️

….………………、

まだ、少し冷たくて、
でも、少し爽やかな
風が吹いていた木の下で…

僕の記憶が正しければ、
確かにあの時の
あなたは笑っていた……
はず……

……そう、
いつしか
忘れてはいけない事まで
忘れてしまう
そんな悲しい人間に
なったみたいです……

僕は……………

….….…….……


「ほ、ホワイト、マン〜〜っっ⁈ なんやそれ？」

最初に耳にした時から、
嫌な予感しかしませんでした….…

2017年3月14日……ホワイトデー…
何やら、「ホワイトマン」とやらが、
娘達の保育園で男女隔たりなく、
園児にお菓子を配り、練り歩くという…
しかも、テーマソングに乗って
踊りながら….…

僕はそれを聞いて、
ホワイトデーまでの数日感、
恐怖のみと向き合う日々が
続きました…

それでも、あの「悲劇」を再度
繰り返すものか…
と心に固く誓った僕は….
その日までに、強い精神力を保ち、
何事にも負けない気持ちで
望むんだと、決意しました…

あの「悲劇」….……….…、
そう、僕の二人の娘に軽くあしらわれ、
特に2歳4ヶ月の次女には
「バナナ」と称したチョコで、
ぎっとん、ぎっとんにされた
忘れもしない屈辱の日….……
2017年2月14日 悲劇のバレンタインデー……
( フォトギャラリー 2017年2月14日、15日参照)



僕は、あやつらの父親だ〜〜、
威厳を見せてやる〜〜〜
し、仕返ししたろか….….

次第に大人げなく、イビツな
心持ちとなっていた僕は
万全の態勢でその日を迎えました….…

何が、ホワイトマンや….…フッ…


….……2017年3月14日……

深呼吸して、玄関のドアを開ける….

「ただいま〜〜〜！」…うん、いつも通り…
階段を上がると、リビングより
笑い声が聞こえる….…♪
入るなり、次女に絶叫された
前とは明らかに違う….….

今日は勝った….…

ホントに親か？と言われんばかりの
イビツなハートで、でも、
やっぱり深呼吸して…

「ただいま〜〜〜〜❗️」超力強く、
威厳ある父親らしく….……❗️

「おかえり〜〜〜〜〜♪♪」二人の揃った声…
テレビは、その日は既に「妖怪ウォッチ」…

フッ、ホワイトマンなんて、
所詮、保育園の虚像のキャラに
過ぎないのさ….…
ただの取り越し苦労なのさ……フッ…

「パパ、ホワイトデーは？
何かくれるんやろ？…」と長女…

フッ、フッ…想定内さ….…

「パパ、バレンタインもうてないやん！」と
言いながらも、買ってあるプレゼントは
通勤鞄に忍ばせてある…

「パパ、友チョコ分けたったやん！」と
と続ける長女….……

「….……………………♪(´ε｀ )」
想定内のコメに余裕の僕……

そして、最強の敵ではあるが、
「妖怪ウォッチ」を見て、テレビの前で
クルクル回る次女を見て、
一気に決着を付けようとした
その刹那….……、
次女に突然の先手を打たれる❗️

「パッパ〜〜💓、お〜〜〜ビィ〜〜❗️」
※「妖怪ウォッチ」人気キャラ、コマさんの
「もんげ〜〜〜〜」が何故か次女は
「お〜〜〜ビィ〜〜」になります…？

若干、次女の素早い先制攻撃に
面を喰らいながらも、大丈夫、
大丈夫と言い聞かせる僕……
リビングのテーブルの上に何故か
事ありげに置かれていた
ピコピコハンマーに目をやりながら…



「はい、パッパ〜〜💓 お〜〜〜ビィ〜〜♪❗️」

「お、お〜〜〜ビィ〜〜〜」と答えざるを得ず、
既に飲まれつつある僕に、早くも、
次女の決定打、炸裂‼️

最強兵器…テレビのリモコンを、
たじろぐ僕に向ける….…

「パッパ〜〜💓み〜〜じっく〜〜スタート💓、
<ホワイトマン>、カマン〜♪カマン〜💓」

こ、ここで、ホワイトマン….…∑(ﾟДﾟ)

次女が腰に手をやり、横揺れ開始〜〜〜♪‼︎

「はい、パッパ〜〜、み〜〜〜じっく〜スタート‼️」

遂に、💓が消え、語気が強まる….…

もう、僕は父親の威厳どころか、
完全に我を見失う….…

僕も…横揺れ開始〜〜〜〜(~_~;)

「ピィッ、ピィッ、ピィ〜〜♪
ピィッ、ピィッ、ピィ〜〜♪♪」
音頭を取り始める次女….…

無我夢中で横揺れしまくる僕….…

「お〜〜ビィ〜〜〜♪ パッパ〜〜ダメ！
もう一回〜〜み〜〜じっく〜〜〜、スタート‼️‼️」

さらに、激しさを増す僕の横揺れ….…

「パッパ〜〜ダメ〜〜〜‼️」…ピコンッ❗️
と、遂には気になって仕方なかった
ピコピコハンマーで僕を叩き始める…❗️

「もう、一回〜〜〜み〜〜じっく….」ピコンッ❗️

繰り返す事、20回以上….…(´༎ຶོρ༎ຶོ`)

次第に僕は、本当のホワイトマンに
会いたくなってくる….…
「一体、ホワイトマンはどんな
パフォーマンスしてんだ？….…」
….遠のく意識に募る疑問……？

ピコンッ❗️…ピコンッ❗️…

遂には、バテて床にヘタリ込む僕…

「わぁ〜〜〜☆、も〜〜らった♪☆」と
僕の鞄からプレゼントを
引っこぬく長女………

「パッパ〜〜💓ありがと💓💓 お〜〜〜ビィ〜〜❗️」

ピコンッ❗️…ピコンッ❗️…

もはやカオス….……(´༎ຶོρ༎ຶོ`)(´༎ຶོρ༎ຶོ`)

僕は静かに次第に意識が遠のいていく….…

やっぱり、
僕には父親の威厳がな…ピコンッ❗️

うわぁ〜〜ん、お〜〜〜ビィ〜〜
….…( T_T)＼(^-^ )→だから誰？

……………、

またまた先週末、
色々な事がありました…

どうしても、どうしても
色々な方の
「悲(哀)しみ、苦しみ」に
触れる機会が多い人間で、
昔も今もそれは
何ら変わる事はありません…………

聞く事自体は全然構いません…

ただ、聞けば聞くほど、
何も出来ない「現実」に
直面するだけなんです……

それが辛いんです……

世の中、知らない方が
幸せな事が、きっと
山ほどあります…

そして、僕みたいな人間が
何かをする事で、
状況は好転する訳でも
勿論、ありません……


でも……
でも……………………



そんな事はわかってます‼️




「お前なんかには、所詮何も出来ないから…」


………所詮……



「所詮」…………悲しい言葉ですね…




……………………………、


土曜日の深夜、ヴェルと
夜景を見ました………


そして、真っ黒な
真夜中の空を眺める…

…星に願いを………………


って、その夜に瞬く星は
ひとつもありませんでした…


「星に願っても…………」……、

その言葉は、先程の

「所詮……」に似ている気がしました…


自分で「線」を引けば、
そこからは、決して
何も生まれない………


見えない星に願う事は
いけない事でしょうか？

カッコ悪くても、
もがき、あがき、苦しみながら
生きる事がいけない事でしょうか？


ただ、側にいる人に
笑顔でいてもらいたいと
願う事が………………




……………、

しばらくして、寒くなって
きたので、ヴェルに
乗り込みました…

寒う……帰ろう………

ヴェルが走り出しました……


でも…………、


もう一回、もう一回だけ…………


ヴェルを止めて、窓を開けました…


もう一度だけ……見てみよう…




見上げた、その夜の空には、


やっぱり星はひとつも


輝いていませんでした……………