
以前から気になっていた、ひだ宇宙科学館へ行ってきました。
岐阜県飛騨市神岡町にあります。
神岡といえば…有名なスーパーカミオカンデがある所です。
神岡町にある東京大学宇宙線研究所の実験施設です。
ここはニュートリノの研究でノーベル物理学賞をもたらした研究施設です。
太陽や超新星爆発など宇宙からニュートリノなどの素粒子が飛んできます。
ニュートリノは、物資を構成する17種類ある素粒子の1つです。
素粒子は大変小さく、0.0000000000000000001m以下と言われています。
元々カミオカンデは、小柴さんが陽子崩壊を観測しようと始めた実験施設です。
原子を構成する陽子は寿命が無く永久とされてきましたが、本当は寿命があり崩壊すると予言されました。そこで小柴さんは大量に水を貯めて、陽子崩壊を観測しようとしました。
しかし、すぐに観測できるという予想に反して、いつまでたっても観測されませんでした。陽子崩壊を観測するには設備が小さすぎた事が分かりました。実験は失敗し観測施設がムダになってしまうと思われました。
ところが小柴さんは、陽子崩壊はダメでもニュートリノなら捉えられるのではないか?と、カミオカンデでニュートリノの研究を始める事になりました。
ニュートリノは、一番近い恒星である太陽から大量に飛んできています。しかし小さくて目に見えない上に殆ど貫通してしまう為、謎が多いです。
世界中でニュートリノの研究が進められていました。
太陽から飛んで来るニュートリノが理論予想より少ないという報告があるのですが、その理由は謎でした。そこで、カミオカンデで観測しようという事になりました。
ニュートリノは稀に水槽にある水に衝突するとチェレンコフ光というものが発生するので、それを光電子増倍管で捉えます。そのチェレンコフ光を検知し解析する設備がカミオカンデです。
そんな中の1987年に、
16万光年離れた大マゼラン雲で超新星爆発が起きました。
地球から超新星爆発を観測できるのは数百年に一度と、非常に稀です。
超新星爆発は恒星の寿命と死を意味する現象なのですが、そこで飛び散ったニュートリノが16万年かけて地球に飛んできました。
世界で初めて超新星爆発のニュートリノをカミオカンデで捉える事ができました。この成果で小柴昌俊さんはノーベル物理学賞を受賞しました。
その後も研究が続けられました。太陽から飛んで来るニュートリノや宇宙から飛んで来るニュートリノも、理論値より数が少ない事をカミオカンデで確認できました。
しかし何故、理論値より数が少ないのか?という事については、”ニュートリノ振動”という現象が原因ではないのかと考えられていましたが、その証拠がありませんでした。
ニュートリノには、電子型・ミュー型・タウ型と3種類あるのですが、これらは飛んでいる間に型が変化する というのが”ニュートリノ振動”です。
ニュートリノのうちタウ型は観測が難しい為、タウ型に変化した時に数が減ったように見えるのではないか?と考えました。
そこで、カミオカンデよりもっと大きなスーパーカミオカンデという実験施設を作り、観測することにしました。
宇宙空間から飛んで来るニュートリノは貫通するので、空からも、地球の裏側からも飛んできます。
スーパーカミオカンデでこれらを観測した所、上空から飛んで来るものより、地球の裏側から飛んで来る数の方が少ない事が分かりました。
これは、地球の直径分(約12,700km)余計に飛んで来る間に、ニュートリノが違う型(タウ型)に変化したという事になります。
この観測により、ニュートリノ振動を確認する事が出来ました。このことは、ニュートリノに質量が無いと起こりえない現象であるため、ニュートリノに質量があるという証拠を示したことになります。
この成果で、梶田隆章さんがノーベル物理学賞を受賞することになりました。
ニュートリノはまだまだ謎が多い素粒子で、今でも世界中で研究が進められています。
スーパーカミオカンデが神岡町に造られた理由は、宇宙線の影響を減らせる地下1,000mに巨大空間を掘削でき、豊富な雪解け水があり、優れた掘削技術を持つ神岡鉱業が操業していて安全管理が行き届いている点で選ばれました。
神岡町には、スーパーカミオカンデ以外にも、重力波観測施設のKAGURA(かぐら)などがあります。
毎年1回、研究施設の見学があるそうなのですが、今年はコロナの影響で見学会は中止になってしまいました。
通常研究施設には、一般の人は立ち入ることは出来ません。
その代わり、近くの道の駅に「ひだ宇宙科学館」が併設されています。
入場無料で誰でも見学することができます。
~~~~~~
家を出て、片道300km近くを8時間かけて下道で行きました。
神岡町って、とんでもなく山の中です。
山の深さが違います。
到着。
ドーム状のものが科学館です。
入口に、光電子増倍管の本物が展示されています。
ノーベル賞を受賞した梶田隆章さんのサイン入りです。
中は飲食禁止ですが、撮影は可でした。
模型といっても、材料は本物と同じもので出来ています。
「本物の模型」という感じでしょうか?
実際には4×3個が1ユニットで、直径39.3m、高さ41.4mの円筒形に11,000個もの光電子増倍菅が設置されています。
光電子増倍菅で検知した信号をデジタル変換する基板
科学館の中央に、大きなドーム型スクリーンが設置されています。
数分おきに簡単な説明映画が流れます(解説員が常駐していて、上映前に放送でしらせてくれます)。
カミオカンデ内部映像が流れた時、映像が上下するので立ち眩みみたいな気分になってしまいます。
せっかく神岡町に来たので、研究施設がある山の近くまで行ってみました。
中央の山が、丸ごと研究施設です。
せめて入口くらい見られないかな~と思って行ってみたら、
なんと、扉があいていて、KAGURAの内部(通路)が少し見えました。
かぐらトンネルと銘版がついていました。
道の駅でカツカレーを食べたのですが、
「スペースカツカレー」と名前がついていました。
流れ星が飛んでました(笑)
宇宙関係の施設を巡るのは楽しいです。
さて、次はどこへ行こうかな?
総走行距離:612.4km
ガソリン:26.26ℓ
燃費:23.32km/ℓ
山岳越えの下道でしたが、エアコンを殆ど付けなかったので燃費良かったです。