皆様 こんにちは
先回Beymaのど迫力30cmフルレンジ 12GA50を記事にしましたが、意外と反響があったように感じましたので、もっと掘り下げてみたいと思います。
12GA50はダブルコーン仕様になっています。
広い面積の部分が低域を担当し、中央のラッパ型の小さなコーンが主に高域を担当させることによって、広い帯域の再生が可能になるようです。
このユニットも30cmというウーファーかというほどの大口径でありながら、70~18KHzというとても広い帯域を再生します。
コーン紙はとても丁寧に作られている雰囲気があり、ゆがみなどは一切見えません。
一般ウーファーのような重みのある振動板ではなく、軽量感のある振動板に感じます。
メーカー公称の振動板重量は34gとなっています。
ちなみに同じBeyma社の30cmの低音専門ユニットで12P80Ndという型番がありますが、振動板重量は56gとなっていますので、12GA50は半分くらいの重量といえそうです。
12GA50は70Hxからとなっていますが、低域再生能力は振動板面積と重量がかなり深いかかわりがあるそうなので、大口径フルレンジとして広帯域再生のために若干犠牲になっているとしても仕方のないことでしょう。
そのほか、設計に必要な数値として、以下のものがあります。
実効振動半径a=129.9mm
Q0(Qts)=1.16
M0(Mms)=36.433g
12GA50メーカー推奨容積20/70L
【Q0(Qts)とは 引用】
Qとは(Quality factor)共振の度合いを表す値。
「Qの値が低い」ということは共振を素早くコントロールし、素早くとめることができていることを示し、逆に「Q値が高い」ということは共振が長く続いているということである。
Q値は低いほうが音の立下りが良いので一般的に好まれる。
しかし、低ければ低いほど良いというものでもない。
自作派に向けたフルレンジユニットを多く出しているFOSTEXでは、多くのユニットが0.2~0.5くらいの値になっているものが多く、バスレフ型やバックロードホーン型に適するものになっているようです。
逆に平面バフル方式のスピーカーにおいては比較的Q値の高いユニットを利用する。これはバックロードとは違い低域の上昇効果がバフルによる低域の打ち消しを解除する以外に見込めないため、低いQ値のユニットを利用すると低域不足になってしまうからである。
スピーカーエンクロージャーによって使われるQ値の目安は以下のとおりである。
平面バフル型→0.2~1.0
密閉→0.2~1.0
バスレフ型→0.3~0.6
フロント・バックロードホーン型→0.2~0.4
12GA50はQtsが1.16なので、比較的Q値が高いユニットといえそうです。
大きめの箱に収めたほうがよさそうですが、メーカー推奨の箱容積は20Lまたは70Lくらいなので、これくらいでも業務用としてホールのような広い面積を鳴らすのであれば、低域が鳴りすぎると音が不明瞭になってしまうので小さめの容積でちょうど良いのかもしれません。
また、密閉型であればプロ用としてコストを抑えた簡易なのボックスとすることもできます。
【M0(Mms)とは 引用】
振動板の重さであるM0を大きくすれば能率は低下するが、低域の最下限を下げることができる。
しかし、あまりにM0値を高くするとぼんついた・音離れの悪い音になる傾向がある。
逆にM0値をあまりに低くとることは、コーンの強度を保てなくなるため技術的に大変困難である。
ウーファーと比較して12GA50は振動系の重さが低く抑えられています。
これは低域だけでなく、中域や高域もある程度再生する必要があるためなのでしょう、比較的軽くできています。
リブが設けられていますので、振動板の強度を確保するための対策かもしれません。
JBL社の技術解説によると、12GA50に使われているエッジは「マルチプル・ハーフロール・クロスエッジ」というそうで、クロス素材を複数のロール状に成形したエッジです。歯切れの良い音が特徴で、高能率ユニットに用いられます。耐久性が高く、楽器用、PA用などのプロ用システムに多様されています。」ということです。
12GA50はハードな使われ方をされるPA用途でもあるので、耐久性と音質の両立が狙われているのでしょう。
実際に再生してみますと、能率が102dB/2.83vもあるので、とにかく音が前へ前へと押し出されるようにスパッと飛んできます。
口径が大きいので高音は苦手なのかと思いきや、シンバルやトライアングルのような金属音も非常に綺麗に再生してくれることと、驚くのはライブCDなどを再生したときに、裏でお客さんの話し声や演奏者の息づかいなどがそこで聞こえるかのようで思わず振り向いてしまいました。
非常にいいユニットです。
ただ、低域の量感を求めたいならば、アンプの能力を選びます。
SONYの小型のAVアンプをつなげてとりあえずの音だしのためにチェックしていましたが、どうも低音が少ないなと感じていました。
しかし、業務用の700Wくらいのパワーアンプを接続してみたところ、低音も本当にスペックが正しいのかと思えるほど地鳴りのように振動が伝わってくるではありませんか。
30cmもの口径はだてではありません。
なかなか難しい話になってしまいましたが、興味のある方が読んでくだされば嬉しいです。
次は箱の容積の設計にかんして最近勉強したことを交えて記事にできればと思います。
Beymaのユニットを直輸入しています。
気になる方がおられましたらご連絡をどうぞ。
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Posted at
2011/12/16 23:15:52