ホイールローダーという建設機械に使われているシャフトが壊れてしまったということで修理依頼がありました。
ホイールローダーとはこんな車だそうです。
(日本キャタピラーHPより)
フロントタイヤを回転させる軸のメンテナンスがされていなかったらしく、スパイダー内部のニードルベアリングが摩耗してしまい、削られて肉がなくなってしまい外れてしまったそうです。
現物は大変なことになってました。
ヨーク側面がざっくりとえぐりとられ、スパイダー側もベアリングはすべてなくなり、内臓部品は失われてもはやベアリングではなくなっています。
しかも建設機械や農業系機械によく使われる形状なのかわかりませんが、見たことのなかった変わったスパイダーの形状をしていました。
取り付け側ですが、一般的なフランジを介した取り付けではなく、スパイダーをそのままボルトで取り付けするようになっていました。
入手に苦労した新品スパイダーとの比較です。
すでに生産終了して数十年たった軸だそうでスパイダーの純正供給もすでになかったそうです。
それで国内外で探してやっと海外に似たような形状のスパイダーがあるのを見つけました。
しかしヨーク径が現物と違うため、ヨークごと交換しないといけなくなりました。
海外から輸入したヨークとスパイダーです。
どういうわけか伸縮部のスプラインが抜けず、破損したヨークを外すことと回転中心を合わせて溶接するためには大掛かりな治具が必要になり途中からどんどん難易度が上がってきました。
文章と写真にするとあっという間ですが、完成した軸です。
荒く過酷な使われ方をする車両なので、グリスメンテは大変重要です。
それで新品スパイダーには高温、高荷重に優れた多目的グリスのワコーズHMG-Uをほぼ満タンに補給しておきました。
このグリスは一般仕様のグリスと比較してかなり高価な部類ですが、プロペラシャフトのスパイダーはとても狭い場所で高荷重を受け止めるため、極圧性能に優れたグリスが必要になるようなので、安価で柔らかいグリスは使わないことにしています。
完成軸はご依頼主の元へと旅立ちましたが、その後ご連絡がないので無事に取り付けできたのだろうと信じるのみです。
最近ちょっと変わった軸のご依頼も増えてきたように感じます。
ブログ記事を通じたお尋ねも増えてきているので、読者様の今後の応援よろしくお願いします。
Posted at 2019/01/14 21:15:05 | |
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