2017年09月20日
ロードスターの人馬一体感を語る。
2015年10月19日掲載
マツダ(ユーノス)ロードスターを語る上でよく出てくる用語
それは「人馬一体」
あくまでも「人車一体」ではなく、血の通う動物とふれあうが如くと言う意味を込めて「人馬一体」と開発者は呼んでいる。
この人馬一体感とはどのようなものかを考えてみましょう。
【人馬一体の4要素】
1、一体感
ドライバーとクルマとのコミュニケーションを大切にし、その会話を通してクルマを最大限のパフォーマンスが発揮できるようにする。
2、緊張感
ドライバーがコックピットに乗り込み、「走りのスポーツをするぞ」と言う感覚を味わえる。またそのタイトな空間で走りの音や振動、応力、反力などを人の五感で感じながら一体感を演出する。
3、走り感
走りの絶対的性能よりも、ドライバーの感性や感覚的な性能を重視した設計、味付けとする。
4、ダイレクト感
ドライバーの操作にクルマが即座に反応する「打てば響く」ような構造とする。
【この4つの要素を実現するための条件】
1、フロントエンジン、リアドライブのレイアウトにする。
2、ライトウェイトであること。
(1トン前後に納めること)
3、前後輪の重量配分は50:50であること。
4、ヨー慣性モーメントが小さいこと。
5、低重心であること。
【人馬一体感を演出する具体的技術】
1、ヨー慣性モーメントの軽減と重量バランス
ヨー慣性モーメントの向上はクルマの応答性や回頭性、限界性能でのコントロール性能を向上させます。また前後重量配分は前後のタイヤの負担配分にも多大な効果があります。
2、ダブルウィッシュボーンサスペンションのジオメトリー設計
(上下非等長アーム採用)
アライメント変化により、曲がりの限界の見極めがしやすく、またセッティングの自由度もあります。
3、リアタイヤの位相、トーコントロール機構の開発
ロードスターのリアタイヤは原則、横Gがかかるとトーインに向くようになっています。これにより弱アンダーステアを実現し、リアスライド限界を判りやすくしてしています。
4、ショックアブソーバーの味付け設定
ロードスターのコーナーコントロールをつかさどる重要な役割をしています。原則、コーナー時のロールをいかにドライバーに感じさせて車両限界を知らせ、ドライバーに対処ののりしろを残すかが大切な要素でもあります。
【これに付随する要素】
・爽快感と軽量化を実現するオープンボディーの採用。
・ダイレクトなシフトフィーリングを出すためのP・P・F(パワー・プラント・フレーム)の採用。
・日常の使い勝手にこだわるトランクスペースの確保。
・走りの楽しさ以外にコストをかけずに、低価格を実現。
これによりロードスターはスポーツカーでありながら、速さだけに特化しない、走りの楽しさを提供することで、世界中のクルマ好きから愛され続ける存在となったと思います。
このような開発者たちのこだわりが、私もロードスターを大好きになった理由なのかも知れません。
ブログ一覧
Posted at
2017/09/20 06:04:24
今、あなたにおすすめ