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メルセデス、エンジンに”ダブルディフューザー級”の秘密
今年、圧倒的な強さをみせるメルセデスのパワーユニットには、2009年の“ダブルディフューザー”に匹敵するアドバンテージがあるという。
メルセデスの新しいV6ターボエンジンは、パワーユニットの前後にタービンとエアコンプレッサーを別々に配置するという
独特なパッケージとなっているという。
メルセデスからパワーユニットを供給されるマクラーレンやウィリアムズ、フォース・インディアもこのレイアウトから恩恵を得てはいるが、ワークスのメルセデスはこのレイアウトを前提にW05の空力コンセプトを追求するためにかなりのリードタイムを得ていたという。
F1技術に詳しいマーク・ヒューズは「2014年版のダブルディフューザーとも言える。ただし、今回は
今年中にコピーできない」と Sky に語った。
「そのインパクトは1周あたり2秒くらいの違いを生んだアクティブライド(サスペンション)ほど大きくはないかもしれないが、彼らが残りのシーズンにおいて大きなテクニカルアドバンテージを考案したのは確かだ」
メルセデスのカスタマーチームもまったく同じイノベーションを使用しているが、このアドバンテージを最大限に利用しているのはワークスチームのメルセデスだとマーク・ヒューズは語る。
「彼らはかなり有利なスタートを切った。まずシャシーチームにコンセプトがあり、それをエンジン部門に求め、彼らはそれを実現した」
「(カスタマーチームとの)違いは、彼らがエンジンの詳細について知ったのは契約にサインしたときだということだ。だがワークスチームはこの特性を前提にクルマを3年間温めてきた」
「(カスタマーにとっては)ちょっとしたサプライズだったが、それでも彼らはこのシステムからアドバンテージを得ている」
F1バーレーンテスト初日:メルセデス
2014年初のインシーズンテストが8日(火)、バーレーン・インターナショナル・サーキットで行われた。
F1バーレーンGP後、全チームがバーレーンに残って2日間に渡りテストを実施する。
初日はニコ・ロズベルグが1分35秒697でトップタイムを記録した。
ニコ・ロズベルグ (メルセデス)
「セットアップの異なる方向性を試し、タイヤをもう少し理解することが今日の目標だった。タイヤを最大限に引き出す方法については、学ぶことがなくなることはない。その意味では生産的な一日だったと思う。それからブレーキにも取り組んだ。現時点ではまだ
100%満足しているわけではない。トラック上では数週間に渡って良い時間を過ごせているけど、
最大限のパフォーマンスレベルに達したことは一度もない。常にもっと見い出せるものがあるし、このままクルマを改善して、ドライバーとしても成長するためにプッシュしていく。でもあらゆる点から見て、チームはこのクルマに素晴らしい仕事をしていると思う。信頼性、マシンパフォーマンス、パワーユニットのパフォーマンス。すべてがいい感じだし、このようなポジティブな雰囲気のチームの一員であることがうれしい」
フェラーリ会長、レース終了を見届けずにサーキットを去る
フェラーリのルカ・ディ・モンテゼモーロ会長は、F1バーレーンGPでフェラーリのドライバーが数ポイントを獲得して帰ってくるのを待たずにサーキットを後にした。
モンテゼモーロは、この10年で最高のグランプリの一つと称賛される出来となったレースのチェッカーフラッグが振られる前に砂漠のサーキットを去っている。
レース中盤に観戦を切り上げたモンテゼモーロは「もう見るべきものはない」と La Gazzetta dello Sport に語った。
「直線で
遅いフェラーリを見るのはかなりの苦痛だ。今回のレースにはそれほど期待はしていなかったが、これよりは多くを望んでいた」
モンテゼモーロはバーレーンでレース後に開催されるテストに触れ「さらなる努力が必要であり、今週に我々はいくつかのことにトライする」と述べた。
モンテゼモーロとバーニー・エクレストンはF1新時代への不満を述べていたが、メルセデスのチームメイト対決を始めとする数々のバトルが展開されたF1バーレーンGPは、間違いなく見応えのあるグランプリだった。
メルセデスの非常勤会長を務めるニキ・ラウダは、チェッカーフラッグ後に「これが退屈だなどと言うやつはみんな馬鹿だ」と Auto Motor und Sport に言い捨てた。
「サウンドやら燃料やらと言うのはナンセンスだ。これは私がこの生涯で見た中でもベストレースの一つだった。バーニーとルカは明日テレビで見てみるといいだろう」
メルセデスのパディ・ロウは「これはF1がファンにとって受け入れがたいと考える人への正当な反応だった」とコメント。
またトト・ヴォルフも「PRを急務とするF1にとって最高の広告だった」と同意した。
フェルナンド・アロンソ 「バーレーンGPはフェラーリの“底”」
フェルナンド・アロンソは、今後のグランプリのトラックはF14Tに適しているため、フェラーリはこれまでのような悪い状態ではないと考えている。
フェラーリは先週のF1バーレーンGPで、優勝したメルセデスから(途中でSCが入ったのにも関わらず)30秒遅れでアロンソが9位、キミ・ライコネンが10位と、
ここまでの2014年シーズンで最も期待外れなレースを耐えた。
フェラーリはコンストラクターズ選手権で首位のメルセデスから78ポイント差をつけられている。
アロンソは序盤のレースでフォース・インディアやウィリアムズと下位を争うのは“嬉しいことではなかった”が、サキール・サーキットの特性はフェラーリの直線スピード不足を際立たせるものだったと述べた。
「このトラックは最悪なトラックのひとつだ」とアロンソはコメント。
「僕たちはこのような特性のいくつかで失っているし、中国、バルセロナ、モナコではもっと競争力があることを期待している。今後のいくつかのサーキットでは表彰台を獲得する必要がある」
「良いことではない。追加のスピードを持ち、他と戦えるようになりたいけど、現時点ではその点に関しては失敗している」
「でもいくつかのサーキットでは強い点がある」
「次の2つのグランプリで僕たちが(ニコ)ヒュルケンベルグやウィリアムズ勢よりも速ければ、“フェラーリがコーナーで持っているスピードを逃している”と言えるだろう」
アロンソは、フェラーリは今週の2日間のテストを上位勢とのギャップを縮めるために使うと主張した。
「サーキットによるし、僕たちはシャシー面、空力効率、パワーなど全てのエリアで改善していく。多くのことがある」
「正直、僕たちはバーレーンでは至るところでほんの少しパフォーマンスを失っていた。特にトップスピードでね。僕たちは力強いポジションにはいないけど、最大限を尽くした」
「チームは素晴らしかったけど、パフォーマンスに関しては現時点で望んでいるポジションにいないので、とにかく働く必要がある」
またアロンソは前戦マレーシアGPの決勝後にも、
現時点のフェラーリのパフォーマンスは“悪夢”とコメントしていた。
気持ちとは別にして。
現状を見れば、メルセデスだけ別カテゴリーといっても過言ではないほどに圧倒的なパフォーマンスを示している。
もはや完全に異次元であるが、まだまだ最大限ではなく、伸びしろもあるそうだ。
そんな中で、いいところが見つからないなどと吐き捨てられているフェラーリが、勝てると信じ込んでいるヤツは脳内お花畑だ。
この状況を打破するのは、正直難しいだろう。
わかっている。
現実はそうなんだと、わかってはいるんだ。
けれども。
だけれども、
諦めるわけにはいかないんだ。
お花畑と
馬鹿にされてもいい。
信じてる。
キミは勝てる。
絶対に勝つ。
Leave me alone, I know what I'm saying...