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フェラーリ 「ギャップを縮めることは可能」
フェラーリのテクニカルディレクターを務めるジェームス・アリソンは、最近のレースでフェラーリに進歩があったと考えつつも、今後のレースで常にライバルに挑戦するためには、全てのアップデートを成功させることが必要だと考えている。
今年フェラーリは表彰台1回に留まっており、優勢に立つメルセデスやカナダGPで優勝したレッドブルよりも、フォース・インディアやマクラーレンといったチームとポイント争いを繰り広げてきた。
しかしアリソンは、今後は前とのギャップを縮め始める位置にいると楽観視している。
「今あるパッケージを改善しようというファクトリーでの努力に全てのシーズンが左右されている。前にいる場合はそれを維持するために作業するし、そうでないの場合はグリッドを進んでいくことを目指す。今の我々のポジションは前ではなく、マシンのあらゆる側面で懸命に努力をしている。メカニカル、空力、電気系、あらゆるコンポーネント、セットアップ。進歩するために我々にできる全てをやっている」
「最近のレースで我々は通常よりも多くのアップグレードをサーキットに持ち込んでいるし、実際にそれが我々のポジションを若干ではあるが前進させている。我々に必要なのは同じように戦いを続けていくことだけだ」
「レースごとにアップグレードプランを用意している。全てをうまくやり通せば、フェラーリはライバルに対してより安定したパフォーマンスを発揮し、我々がより誇りにできるような状態になっていくだろう」
「だが簡単な戦いではない。そして決して終わりのない戦いでもある」
今週末のオーストリアGPはF1カレンダーから11年遠ざかっていたこともあり、アリソンはいくつか未知数を抱えていると述べている。
「どのような予測が立てられるか確信はできないが、今年のどのサーキットでもそうだったように予選でのオプションタイヤのマネジメントが非常に重要になるだろう。Q2のホットラップまでに確実にタイヤの準備を整えつつ、レースの最初のスティントをタイヤがうまく乗り切れるようにしなければならない」
フェラーリ:F1オーストリアGP 初日のコメント
キミ・ライコネン
「今日は特に忙しかったけど、久しぶりに走るトラックに戻ってきたときはそうなる。変わりやすい天気によって、最初のセッションのトラックでの時間は少なくなったけど、プログラムを完了することができた。今日はこのレースに持ち込んだ新しいパーツの分析に集中した。フェルナンドと一緒に、僕たちは違うセットアップのテストに専念した。2回目のセッションからのデータを比較できるよう、僕はフロントエンド、彼はリアエンドを担当した。午後にはクルマの感触が良くなったけど、グリップ不足、渋滞、風など色々な理由によって、最終セクターのタイムを短縮することができず、良いラップをまとめることができなかった」
フェラーリ:F1オーストリアGP 予選
キミ・ライコネン (8番手)
「この2日間、良いラップをまとめることに苦労していたし、今日の予選でもうまくいかなかった。Q3ではスーパーソフトで1回だけアタックしたけど、1コーナーでのミスがラップタイムに影響してしまった。最後のアタックではホイールがロックして左フロントタイヤにダメージを負ってしまったけど、それでもタイム短縮を目指して続けることに決めた。8番手は最悪な順位ではないけど、今日はもっと速く走れたと思うので残念だ。3つのセクターを揃えることができなかった。レースペースはいい。タイヤの熱入れにちょっと苦労しているけど、明日は全力を尽くすつもりだ」
フェラーリ:F1オーストリアGP 決勝
キミ・ライコネン (10位)
「今日も僕にとってはとても難しいレースだった。昨日とは少し違う方向を目指してパフォーマンスを改善しようとしたけどね。残念ながら期待したような改善は見られなかったし、ここでもクルマのハンドリングに苦労した。スタートで1つポジションを上げたけど、2周目で早くもブレーキがオーバーヒートし始めてスローダウンしなければならなかった。1回目のピットストップの頃には完全にタイヤがすり減っていたし、インラップで2つポジションを落とした。もっと早くストップするべきだったのは明らかだ。シーズンのスタートと比較すれば進歩はしている。でもまだ課題は多い。僕たちのスピードはトップを争える状態ではないからね」
キミ・ライコネン、無線での指示に「だったらもっとパワーをくれ!」
キミ・ライコネンは、オーストリアGPの決勝レースでトラック上のライバルをキャッチアップするように無線で指示され、今や代名詞となっている率直な物言いで返した。
ライコネンのレースエンジニアはレースの4分の3が過ぎた頃、無線で「我々はバトンとレースをしている。1周あたりコンマ2秒が必要だ」とライコネンに伝えた。
するとライコネンは「だったらもっとパワーをくれ!」と即答した。
フェラーリに復帰した今季に苦戦を強いられているライコネンだが、苦しんでいるのはフェラーリの新しいV6ターボパワーユニットを搭載したF14T自体も同じことだ。
フェラーリのチーム代表マルコ・マティアッチはオーストリアGP後、「キミはエンジンに不満を示していたが、彼が自分の価値を発揮できるマシンを与えられるかは我々次第だ」と述べた。
また噂ではフェラーリのチーム内から平常心が失われているという。Marca は、カナダGP後にマティアッチとシャシーディレクターのパット・フライが怒りのやりとりをしていたと報道。パット・フライのチームにおける役割は、数ヵ月前にジェームス・アリソンがチームに加入して2015年のプロジェクトを率いるようになってから疑問視されてきた。
同紙によると、パット・フライはカナダGP後に辞任を申し出たという。だがフェラーリのスポークスマンは「くだらない。そのような噂には耳を傾けてはいけない」と主張。
だがフェラーリが改善への道を探る中、マティアッチはカナダGP後に率直なやりとりがあったことは否定していない。
「私は人々がオープンかつ正直に話し、誰も沈黙しないミーティングが好きだ」とマティアッチは述べた。
「カナダの後に、我々は自分たちの弱点と将来的な方向性を話し合うためにミーティングを開いた」
マティアッチは、ミーティングを開いた理由は2015年型マシンのために、あらゆるエリアに取り組み必要があるからだと述べた。
ライコネンはオーストリアでより多くの“パワー”を欲しがったが、問題はエンジンのパフォーマンス不足だけではない。
「一つのエリアを分離するつもりはない。メルセデスエンジンが素晴らしいのは確かだが、我々の問題すべてがエンジンに関係するとは考えていない」とマティアッチは続けた。
キミ・ライコネン 「クルマは多くの要因が絡み合って難しい」
キミ・ライコネンは2014年シーズンに影響を与えているコーナーエントリーの問題が、より硬いタイヤやトラクション問題が組み合わさることでより酷くなっていると述べた。
ライコネンはシーズン開幕時からクルマのブレーキングとターンインに困難を抱えている。
当初、それを克服するための鍵は今年ブレーキング時のクルマの挙動を変化させている新しいブレーキ・バイ・ワイヤシステムだと思われていた。
フェラーリはその部分を助けるために大きな努力を注いでいるが、ライコネンは状況を変えることができておらずチームメイトのフェルナンド・アロンソのペースに到達することに苦労している。
オーストリアでも厳しい週末を過ごしたライコネンは、自分の問題は多くの要因が絡み合ってさらに難しくなっていると述べた。
2014年マシンの技術的な複雑さが進展を遅らせている理由かと質問されたライコネンは「実際に問題なのはそこではない」とコメント。
「自分の好みのクルマの運転方法とタイヤの働かせ方。その組み合わせだ」
「今、クルマでやらなければならない作業がたくさんあるし、僕たちはトラクションを失っている。メカニカル側でグリップを失っている」
「どうにかしてバランスを取ろうとしている。クルマのフロントが入るようにしているけど、とても難しい。フロントエンドのないクルマは好きではない」
「今の僕たちはフロントエンドをまとめようとすればリアを失う。バランスを合わせて、どうにか働くようにしようとしている。状況を良くするまでにはやらなければならない作業がたくさんあるけど、そこに向かっているのは確かだ」
フェラーリは状況を改善させるためにオーストリアで新しいアプローチを実験したが、期待したような結果は届かなかったとライコネンは述べた。
「土曜日からいろいろなことを試したけど、結局大きな違いは生じなかったと思う」
「レースでは特定のエリアが完全に失われていたし、予選でも似たような状況だった。でも一旦その方法で行くと決めたら、それを突き通さなければならない」
忍耐我慢、今は
耐え忍ぶしかない…
しかし歩みは止めるな、
Never give up...