さて、その1ではアクスルの分離まで終了しました。
アクスルからベアリングの取り外しです。
本来であれば油圧プレス機で楽勝!なのですがそんなものありません。
地道にひたすら叩く作業となります…
ここではとにかく「急がない、焦らない、丁寧に」が重要となります。
アクスルからスナップリングの取り外しです。
大きめのラジオペンチかマイナスドライバーでこじるように外します。
再利用するのであれば必ずラジオペンチを使ってください。かなり錆びてますね。
外れました。案の定歪んでしまいました。
アクスルとハブを分離します。

わかりやすくするとこんな感じ。ハブのみを抜き取ります。
一番内側、ドライバーで示したところを叩く事でハブを分離できます。
で、ここで必要なのが「治具」と呼ばれる専用工具なのですが、
ネットで探すとかなり高額。よって同じ大きさくらいの鉄の塊…を用意しなければなりません。
当方面倒臭がりなので、あまりよろしくないですがここはソケットを利用します。
アクスルを土台で挟むように浮かせて叩くことで、ハブのみを叩くことができます。

外れてきました。ここは力任せで叩いてもOKです。
外れました!
外れたハブには、ベアリングのインナーリングが一緒についてきます。
これを外すのですが…
またも必須用具、ベアリングプーラーです。
インナーリングを支えるように挟み込み、それをボルトの締める力で引き抜くのです。
挟んだ治具は後ほど利用する鉄の塊。厚めの鉄板でも今のところはOKです。
ボルトを回すと…

プーラーが歪みました。よくあることです。
一旦ボルトを緩めて、プーラーを再度よく挟み込みます。
挟み込みすぎるとハブを痛めてしまうので、そこそこに。
すこし緩んできました。結構な力が必要です。
こういう風に道具を利用すると楽に作業できます。
20分ほどかけてようやく抜き取りました。
抜き取り際になると、インナーと治具が干渉して抜けないので、ハブと同じ大きさの
何かを(笑)用意しないとぬけません。
新品ベアリングと抜いたベアリングの型番がわかります。
抜いたベアリングの方の型番を検索すると市場には出回っていないようですね。
抜いたインナーリングを元に戻します。
写真ではシールが取れてしまったため、ボールがむき出しになっています。
※※※※※※※※
さて、この時点でベアリングが写真のような状態ならいいのですが、
万が一ベアリングが壊れてしまったらドライバーなどで分解しちゃってください。
後述の道具を用意すれば大丈夫です。
※※※※※※※※
アクスルからベアリングを抜きます。
もどしたインナーリングを叩くことで抜き取れます。
ここで用意したのが、55mmの鉄柱。ネットで注文しました。
このようにして、ひたすら、叩く、叩く、叩く、、、、、
30分くらいでようやくとれました。一番の力作業になりました。
さて先ほどの※※のところに戻ります。もしベアリングがアクスル内で大破してしまったら
全部分解してください。このようになるはずです。
そうしましたらこれまた専用?治具を用意します。
ホームセンターに売っている水道管の接続に使う継手です。
1000円くらいでしょうか。すこし角をけずると…
すっぽり入ってたたけるようになります。
さて、ベアリングが抜けたら休憩しましょう。
アクスルをパーツクリーナーや金属ブラシで綺麗にしてください。
ベアリング挿入作業になります。なんと写真を取り忘れました。ちょっと入った写真です。
この時注意点ですが、ベアリングにも向きがあり、シール部が茶色と銀色があります。
茶色側には磁気があり、これがセンサー側(車体側)に来るようにしないとダメなのです。
これが内側。

外側。
ですので、挿入する時は手前に磁気側が見えるように入れていけばいいわけです。
さきほど外したベアリングはぶっ壊して、アウター側だけにしたやつを治具として利用します。
アウターを少しずつ叩いていきます。時折水平を確認しながらコツコツ、コツコツやってください。
インナーは叩くと破損する恐れがあります。
ある程度まで叩き入れると、水平はあまりずれなくなりますが、念のため気を抜かずに叩いてください。
最後の最後まで叩いてくださいね。
そのあとスナップリングの挿入です。

綺麗に収まりました。
叩き切ってないとスナップリングが入りづらいです。
続いてハブの戻し作業になります。
あらかじめ綺麗にしておいてください。
またハブを外す際に出たバリはヤスリで削っておいてください。
アクスルとハブを水平に支持したのち、アクスル側からベアリングインナーを叩いてハブを入れます。
ハブ側から叩き入れると、インナー1がいとも簡単に外れてしまい、失敗に終わります。
インナー1までハブが入らないところまでの作業であれば大丈夫です。
インナーのみを叩く。55mmの治具がないと大変です。
数回叩いたらひっくり返して、ハブを回して水平を確認します。
アクスルを車体から抜いた状態まで戻りました。
さてここでハブを回して音が鳴りますか?
ゴロゴロ音がなったら失敗です。(大失敗です)
叩き入れる際に無理をしたか、水平を維持しないとベアリングが破損し音がなります。
こうなったら新品ベアリングをいれるほかありません!
(が、きちんと気を使いながらやれば大丈夫ですので、心配しないでください)
無事、音が鳴らない状態でしたらパーツクリーナーでクリーニングを開始します。
シール部分の汚れは特に綺麗にしてください。
アクスルの戻しに入ります。
ドライブシャフトにアクスルを差し込み、まずはサスペンションとの仮接続をします。
サスペンションが自由気ままに動いてしまうので、シノを使うと楽です。
ボルトを戻して仮固定したら他の部分の戻しに入ります。
センサーを掃除して戻します。
写真取り忘れました…
アームとアクスルを固定する際に、まずはアームをアクスルに入れて下からハンマーで何度か叩いてください。
そうしないとアームのネジが、ナットを回した際に空回りしてしまします!
もし空回りが止まらない場合は、ジョイントプーラーを利用してはさみ込むことで固着して
ネジが空回りしなくなりますよ。
ナットを最後まで閉めて、コッターピンを戻す。
その際にコッターピンを刺せるようにボルトの穴の位置を確認しておきましょう。
ローターを戻します。ぶらぶらしてますが気にしない。
写真撮り忘れました。
ブレーキキャリパーをもどして、ネジ2本を仮止めします。
アクスルの位置が決まったら、全てのネジを閉めてください。
最後にロックナットをトルクレンチで締める。
規定値は250Nmだそうですがそんなの持ってませんので210で締めました(真似しないでください)

ロックナットを貫通ドライバーで溝打ち。
以上で終了です。
とりあえず工具はそのままにしてテスト走行してみましょう。
さて今回使った道具です。
並べるとそんなに必要ないのですが、逆にいろいろ持ってないと苦労するかもしれません。
下側が必須工具、上側はあった方がいい工具。
トルクレンチ・治具・ハンマー・メガネレンチ・プーラー2種・M8ボルト・スピナーハンドル。
ラチェットは先にも書きましたが、緩んだ物を回すのにはいいですが、緩ませ作業には向いていませんし、
当方がやったかぎり緩みません(笑)
あと失敗したり遅延したり、工具の買い出しの時の為に代車もあったほうがいいかもしれませんね。
当方2回目の交換になりましたが、前回は10時間、今回は4時間ほどで終了しました。
無理だと思ったらディーラーに駆け込みましょう。