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イイね!
2014年01月18日

摩擦円の怪

皆さん摩擦円ってよくご存知だと思いますが、以前…数年前ですけど…インターネットでこんな記事を読んだことがあります。
個人の方が書かれたものです。





☆☆☆☆☆





タイヤのグリップ力には限界があり、そのタイヤが持つグリップ力を縦に100%使ったとしたら、横には使うことができない。
だからフルブレーキの最中は、ハンドルを切っても曲がらない。
タイヤのグリップ力が縦に50%だけ使っている状態なら、そこでようやく残りの50%を横に使うことが出来る。
縦に70%なら横に使えるのは残りの30%、縦に20%なら横に80%…。

これを実際グラフにしてみると、ちょっと待てよ、円にはならない。



縦に100%のとき、横に0%。
縦に50%のとき、横に50%。

だから、よく言う「摩擦円」というのはおかしい。
本当はダイヤモンド型だ!





☆☆☆☆☆





…といった趣旨の記事でした。
これを読んで、「なるほど!」と思った方も、「それは違うよ」と思った方も、「あれ、なんかおかしいな???」と思った方もいるかと思います。
が、僕にとっては衝撃的な記事でした。
この記事を書いた方が今まで読んできた摩擦円に関する説明は、どの説明も決定的に欠けているところがあったんだなと思うと同時に、もしもそういう説明が前提にあるとすると、このように考えることってある意味で素晴らしいことだな、と思ったんです。

結論から先に書きますと、このダイヤモンド型の図というのはZ=X+Y(ただしZ≧0、X≧0、Y≧0)という数式について、前後左右それぞれの方向のグラフをくっつけたものです。
この場合Zというのはグリップ力の最大値ですね。
それに対していわゆる「摩擦円」というのは、ベクトルの考え方をもとにした図です。
普通の数式のグラフと、ベクトルをもとにした図、それぞれ考え方が違うので図が違うのは当たり前なのですが、あらためて言われてみると混同するのも無理はないかもしれません。

簡単に違いが分かる図を描きますと、







グリップ力の最大値はN(ニュートン)で表せばよいので仮にZ=1000Nとすると、数式のほうは1000N=X+Yとなります。
この数式を前後左右のグリップ力それぞれについてグラフにすると、確かにダイヤモンド型になります。
ところがベクトルで考える場合は1000Nというのが矢印の「長さ」になります。
摩擦円を真円と仮定する場合は「360度どの方向についてもグリップ力は同じである」という前提になりますので、矢印の長さが変わってはいけません。





縦に50%なら横に50%、というのはなるほど言葉としてはまさにそのとおりです。
ただし摩擦円の考え方に従いベクトルで考える場合、ナナメ45度のときの縦または横方向の成分は1000Nにsin45°(≒0.7)を乗じた値になりますので、500Nにはなりません。
違和感を持たれる方もいるかもしれませんが、ベクトルとはそういうものです。






縦方向のベクトル成分を左右ナナメ方向45度それぞれに分解した場合でも同じで、500Nにはなりません。
横方向でも同じですね。

前後左右のグリップ力を考えるときにZ=X+Yというのはちょっと不適切かと思いますが、必ずしも「間違い」だとは言い切れないと思います。
もしも仮に「そっちのほうが分かりやすい」という方がいるなら、べつにそれでいいんです。
そういうことは重要じゃなくて、摩擦円が「ベクトルをもとにした図である」ということがきちんと説明されなかった、という事実が重要です。
要改善ですね。

ところがところがベクトルの説明など一切なかったしたら、数式をもとにして考えてしまう方がいても無理はないように思います。
そうだとすると、摩擦円を見たときに「なんかおかしいんじゃない?」と疑問を持つことも自然なことですよね。
この「なんかおかしいんじゃない?」というのはすごく大事なことで、この方は摩擦円についての事柄を「自分で考えることが出来ている」ということですね。
結果が重要なのではありません、自分で考えることが出来ているということが重要です。
素晴らしいですね!

 摩擦円は円である→本当か?
 バネは硬いほうがいい→本当か?
 バネが硬いのはよくない→本当か?
 トーコントロールをキャンセルするとスポーティになる→本当か?
 akiさんはお洒落でイケメンで大金持ちのエリートで歩いた足跡からお花が咲く→本当か?(笑)
 ※最後のはうそです(笑)

僕もそうなんですけど基本的に多くの人は、「なるほど!」と思ったことがあると他人に話したくなるものです。
インターネットにはそのような記事が溢れています。
ところが皆さんご存知のように全てが正しいとは限らない。
世間で言われていることをきちんと疑うことが出来て、自分なりに検証し、そして主張としてまとめ上げることが出来る。
ダイヤモンド型グラフの記事を書かれた方の場合はあと一歩というところで惜しかったですね、でも大健闘だと思います^^
摩擦円が円であると疑いもしないことと、「なんかおかしいんじゃないか?」と疑えること。
違いは明らかですね。

と、いうわけで摩擦円のお話でした。
言っときますが僕がエライのではありません、この方がエライんです(笑)
あらかじめどの程度の知識を持っているかどうかはその人の本質には関わりのないことです。
自由な発想でいろいろと考えようとする気持ちが大事ですね^^
ブログ一覧 | 足回りの基礎 | 日記
Posted at 2014/01/18 23:56:13

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この記事へのコメント

2014年1月26日 23:20
シャシの重心についても考えたんですけど、

上から見下ろした時、車両重量物は真ん中に近いほどいいって聞くんですけど、
これもまた、真ん中を中心として円周上に近いほどいいって事だと思ってたんですが、タイヤの磨耗円がひし形なら、シャシも上から見下ろした時ひし形に重量物を配置して、なおかつ、真ん中に近いほどいいのではと思いました。

フォーミュラって空力的に葉巻又はコークボトル形状だけどタイヤを取るとひし形だから、俺の考えが方向性あってればタイヤ磨耗円の形と同じひし形の重量物配置があってるのかあと根拠もなく思いました( ̄▽ ̄;)
コメントへの返答
2014年1月28日 22:06
>車両重量物は真ん中に近いほどいい

僕は…ですけど、下の2つで考えてます。
(1)重量物が真ん中に近いと重心を真ん中に近く出来る(→前後重量バランス50:50、左右重量バランス50:50)
(2)重量物が重心から近い位置にあると、ヨー方向の回転慣性力を小さく出来る(→ハンドル切ったり戻したりしたときの反応が早くなる)

…ということなので僕はひし形の配置は関係ないと思うのですが、もし根拠があってひし形が理想だとしたら大発見だと思うので頑張ってみてください^^

プロフィール

「@Garage K 個人的には、「グリップする」=「より大きなグリップ力(コーナリングフォースまたは加減速力)を出せる」という意味かなと思って読んでましたが^^;
この件面白いんで記事にしますね!」
何シテル?   12/13 20:54
福井のロードスター乗りです。 ロードスターは現在休眠中。 タカスサーキットをホームコースとしてサーキットアタックしていました。 GPSロガーの結果を元...
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