足回り大好きなくせに、僕いまだに減衰力のことがよく分かりません(苦笑)
タカスサーキットは減衰力のタイム影響が比較的小さいので、それほど興味もなかったのですが、やはりサーキットやジムカーナを走る人にとって減衰力は大事ですね。
バネとのマッチングがどうのこうの…難しいことはよく分かりません。
アライメントと同じく、数字自体はどうでもいいので最終的な挙動で判断です^^;
最近ちょっと気になっているんですが、減衰力とステア特性の関係のことを書いてる文献が見当たらない。
タイムアタッカーは乗り心地のことは置いといて「こうしたらアンダー」「こうするとオーバー」というのを知りたいわけです!
くわえて理論的な説明と、その根拠が載ってると嬉しいですね。
でもでもどの本を読んでも、ステア特性に与える影響なんて書いてませんよ…。
モータースポーツに携わる数多くの人が知りたいはずなのに?
もしかして僕が発見できてないだけかなぁ。
基本的に減衰力について書いてある文献はどれもバウンス系のことが書いてあります、一部にロール系についての記載も見られますが、ちょっとしか書いてないですね。
僕の「教科書」のひとつである「必勝ジムカーナセッティング」では、唯一そこのあたりのことに触れられています。
この本は学者さんが研究結果を書いたものではなく、フリーライターである飯嶋洋治さんが株式会社アルファ(もとG6ジムカーナを構成していたショップ)への取材で教えてもらったことを書いた本です。
ぜんぜん難しくない本なのでおすすめです。
要所のみ抜粋すると、
「減衰力調整の基本だが、どこのメーカーのショックアブソーバーでもドライなら何番、ウェットなら何番という基本的な数値は出ている。それを頭に入れておくのが前提だ。(中略)そして、タイヤのエア圧との関係もあるが、アンダーステアが強い場合は、フロントが突っ張って曲がらないのか、リヤが引っかかって曲がらないのかによって違ってくる。フロントが原因でアンダーステアが強ければ、フロントの減衰力を落としてフロントに荷重をのせやすくし、初期にノーズが曲がりやすくする。逆にアンダーステアを消すためにテールを早めにブレイクさせる場合は、リヤの減衰力を落として柔らかくする。リヤの限界を下げるわけだ。(中略)オーバーステアが強い場合はその逆(中略)伸び側と圧側が別々に調整できるものも基本は同じだが、何百通りもの組み合わせが可能になるから、走りながらいろいろやって良いセッティングポイントを見つけようとしかいいようがない。」
ここで、複筒式ダンパには減衰力を調整しても伸側しか変化しないものがあるので、注意が必要ですね。
ていうか僕のです(笑)
また、伸側・圧側とも変化するダンパのうち、変化する割合が極端に違うものも同様です。
ところで文中の「フロントの減衰力を落としてフロントに荷重をのせやすくし」というのはどういう意味でしょうか?
後ろから前への荷重移動は減速時に発生しますが、そのとき荷重が移動する量はクルマの重さと重心高さとホイールベース長さ、そして減速Gの大きさで決まるので、減衰力を変えても荷重移動量は変わりません。
でも実際には減衰力を変えると、「なんか違う」というのが分かりますね。
フロントの減衰力を落とすと荷重の「のせやすさ」(?)は一体どんなふうに変わるんでしょう?
これ、僕はむしろ圧側の減衰力を強くしたほうが「タイヤに荷重がかかりやすい」と思います。
ブレーキを踏む力が同じなら荷重移動量自体は変わらない建前、ここで荷重移動量が同じであれば、ダンパの減衰力はバネのエネルギ吸収過程をすっ飛ばして直接タイヤに荷重をかけられる要因として、強ければ強いほどタイヤへ荷重をかけるには有利なはずです。
つまり「最大荷重は変わらないが、より早く荷重をかけられる」。
でも実際にはフロントダンパの減衰力を上げると曲がりにくくなりますね。
一体どうしてでしょうか?
ダンパがサスペンションの動きを減衰させるとき、そこにかかる運動エネルギはダンパオイルを介して熱に変わり、ケースを伝って大気中に逃げていきます。
するとフロントにかかる荷重が熱に変わってしまうから曲がりにくくなるんでしょうか?
うそーん。それだけじゃないでしょ^^;
個人的には、ですが、曲がりにくく感じるのはジオメトリの要因が主だと思っています。
ストロークによってフロントが下がった状態よりもフロントが下がっていない状態のほうがロールセンタが高く、重心⇔ロールセンタ間の距離が短いので、フロントのロール剛性が高い状態になります。
逆に、ストロークするとフロントのロール剛性が下がりますね。
したがって減衰力を強くするとストロークが遅くなるので曲がりにくい、ストロークが早ければ曲がりやすい。
感覚的にはそう言われたほうがしっくりきますが、でも根拠とかは特にないので話半分で(笑)
実際はピッチング時の圧側だけじゃなくてロール運動を考えた場合の伸側・圧側なども考慮に含めないといけないですし…。
根拠を求めて厳密に減衰力とステア特性の関係を試験しようと思うと、タイヤが車についた状態でロールやピッチングを発生させながら各輪のコーナリングフォースを測定できる測定機器が必要になります。
ダンパメーカならロードシミュレータとかって車ごと乗せられる大掛かりな試験機があるはずですが、確かコーナリングフォースまでは測定できなかったと思います。
正確にコーナリングフォースを測定しようと思うと必ず路面を動かしている必要があり、そのためには各輪毎にドラムやフラットベルトを備えていなければなりませんが、そうなるとロールやピッチングをさせることが難しくなります。
実際あるのかな?どうなんでしょう^^;
誰か持ってるんだったら世のため人のため僕のために試験して論文に書いといてください(笑)
諸元と計算でやりくりする場合は「粘性減衰係数÷{輪荷重÷ばね定数÷9.8}^0.5×100」で表される減衰係数比C/Ccというやつがありますが、文献によって推奨値はまちまちです。(※注)
10~20%くらいならソフトで、30~50%くらいだとハードとか、ずいぶん大味ですね^^;
僕の教科書のひとつ「サスチューニングの理論と実際」には「過渡的ロール」という項目で、減衰力がロールに与える影響が少しだけ書いてありますが、減衰係数比を上げていくと「ハンドル操作に大してロールの遅れを伴い、いわゆる速応性の悪い車両になる傾向にある」とあります。
んんんん。
「速応性」が何を指しているのかは分かりませんが、少なくとも定速走行中にハンドルを切ってからフロントタイヤのコーナリングフォースが十分に大きくなるまでの時間は、減衰力が弱いほうが長く、減衰力が強いほうが短くなるように思います(というかそう感じている)。
やっぱり減速中のこと言ってる?
野崎さん…よく分かんないからそこらへんもうちょっと掘り下げて!(笑)
カヤバ工業「自動車のサスペンション」では、あろうことか「ショックアブソーバは、伸側、圧側のそれぞれの減衰力について、発生するピストンスピードやドライバの好みにより、設定値を選択する必要が」とかって…。
好み!好みて!(苦笑)
天下のカヤバさんが「ドライバの好み」て!(笑)
結局のところタイヤのグリップ力はそこにかかる荷重次第ですし、荷重移動量は減衰力では決まりませんから、言いたいことは分かるのですが、そうは言っても減衰力でステア特性は変わっちゃうので、もうちょっと掘り下げてほしい(笑)
インターネットを見ると、ロール剛性の観点からステア特性への影響を書いてるものが見られますが、ちょっと不十分なようです。
ショップの方やプロドライバーの方が経験談で「こうするとこうなる」って書いてあるのも見られますが、うーん。
誰かピンポイントでこのあたりのこと書いてある文献を知ってたら教えてください(笑)
で、まぁ結局、よく分かんないですって話でした(笑)
乗り心地とか固有振動数とか、バウンス系の内容ならたくさん出てくるんですけどねぇ~^^;
※注:すみません「減衰係数比」と書いてますが正しくは「減衰比」です
追記:後日書いたこちらの記事も参考にしてください
https://minkara.carview.co.jp/userid/296664/blog/48124119/