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イイね!
2014年10月18日

「ストロークの管理」続き 具体的な説明

足回りは難しいです。
でも、ストロークの管理は難しくありません。
ただしダンパの構造を知らないといまいちピンと来ない人が多いと思うので、ピンと来ないとイメージが湧かないと思うので、そのへんの具体的な説明をします。



こちらは僕が昔使っていたダンパです。
ロードスター用のリヤ側。
構造がシンプルで分かりやすいため、こちらを参考にします。



こちらは写真のものをイラストにして簡略化したものです。
すいません、バンプラバーとかマウントブッシュが抜けていますね。
不足を感じた方は脳内で補ってください(笑)



さて、バネやアッパーマウントはいらないので省きます。
ダンパだけにすると、こんな感じになります。
念のため名称を書いておきます。

ダンパ伸縮のgifアニメ

こちらはピストンロッドの上下動をアニメ化したものです。
分かりますよね。
gifアニメという方式を使っているのですが、見れない人いたらごめんなさい。



もっと分かりやすいように、ダンパをスケルトンにしてみました。
複筒式ダンパなのに構造が複筒式になってないのは大目に見てください。
説明で使うイラストはシンプルが一番!(笑)



で、これが半分くらい沈むとこんな感じで、



めいっぱい沈むとこんな感じです。
分かりますよね?話についてこれない人いますか?
ここまでは大丈夫ですよね。
ストロークの管理は難しくないので、ついてきてください。

さて、クルマがでこぼこ路面を走ると、上下にボヨンボヨンしますね。
クルマにはサスペンションがついているからです。
このとき、もしもサスペンションの可動範囲がすごく少なかったとすると、あまりクッションの役割を果たしてくれないので、乗り心地が悪くなってしまいます。
極端な場合は跳ねまくってしまい、コーナリング性能まで悪くなります。

というわけでサスペンションの可動範囲がとても大事なのですが、サスペンションの可動範囲はダンパーがどれだけ上下できるか(どれだけストローク出来るか)によって制限を受けるので、より良く動かすためにダンパーのストロークを管理しましょう、というのが今回のお話です。



ところで、ピストンロッドのうち、ダンパケースから出たり入ったりする部分をグレーで色付けしてみました。
この部分の長さは「ロッドストローク」とか呼ばれます。

この部分が長いとダンパケースも長くなるので、ダンパ全体が長くなり、そういうダンパを使う場合は結果的に車高を落としにくくなります。
でもこの部分が短いと、今度は底突きしやすくなるので、乗り心地の面で不利になります。
ストロークの管理だけで言うなら、車高は落ちなくてもいいので十分な長さを確保したいものです。

「この車高調はストロークを十分に確保してあります」と書いてある商品でも、ロッドストロークの数字は公表されてないものがほとんどです。
買ってから、測ってみたら絶句した、ということがあるので気をつけましょう(苦笑)

話を進めますね。
ダンパを車に取り付けてジャッキから下ろすと、バネと一緒にダンパも縮みます。
分かりますよね、車重がかかるので、クルマの重さで縮むんです。
それがどれくらい縮むかはクルマの重さやバネの硬さによりますが、ここでは分かりやすいようにちょうどロッドストロークの半分だけ縮んだとしましょうか。





ここで、半分より上の部分を緑色に塗ってみました。
緑色の部分は、「ここからさらに縮むことの出来るストローク」です。
「縮みストローク」とか言います。
例えばここが10cmだったとしたら、ダンパはあと10cmだけ縮むことが出来るってことです。

もしもここが2cmくらいしかなかったら、あと2cmくらいしか縮むことが出来ないことになります。
底突きスペシャルです。ガツン!ガツン!

そして、グレーが残った部分は「ここから伸びることの出来る長さ」です。
「伸びストローク」とか言います。
例えばボヨンボヨンってなってるとき、ボディが上方向に弾んでいる瞬間はダンパが伸びようとするわけですが、伸びストロークが10cmだとすると、ダンパはあと10cmだけ伸びることが出来ることになります。

伸び側の管理も奥が深いのですが、ここではバッサリと割愛することにして、とりあえず縮み側に焦点を当てて話を進めることにします。



さて、仮に縮み側が10cmあったとしても、実際のダンパにはバンプラバーという保護部品がついています。
きっちり10cm使えるわけではありません。



バンプラバーの分を、黄色で表すことにしましょう。

しかもバンプラバーは、潰れれば潰れるほど硬くなる、という性質を持ちます。
イメージ出来ますでしょうか、材質がゴムとかウレタンですから、ギューってやると硬くなるわけです。
硬かったらガツン!ガツン!と跳ねちゃいますね。
そういう領域は赤色で表すことにしましょう。



緑色は安全、黄色は注意、赤色は危険!といった感じですね。
バンプラバーを上手に使える人にとっては、黄色の部分をうまく活用できるかどうかがキーポイントとなるのですが、まだ勉強している最中の方はそういうことまで考えなくて大丈夫です。

ちなみに実際はバンプラバーはいきなり硬くなるわけじゃないので、グラデーションで表したほうがイメージしやすいかもしれません。
「潰れるにしたがってだんだん硬くなる」というイメージです。
いいですよね、わかりますね?



さて、せっかく色付けしておいて何ですが、この状態からもしもバネをダウンサスに交換したとすると、全体的に沈み込んでしまうので(=車高が下がる=ダウンする)、このようなバランスではなくなってしまいます。
伸びストロークが増える代わりに、縮みストロークが減ります。



伸びストローク、つまりグレーの部分が増えましたね。
そして縮みストローク、緑や黄色の部分が減ってしまいました。

そしてバネを純正より硬いものに交換したとすると、全体的に浮き上がります(=車高が上がる)
つまり縮みストロークが増える代わりに、伸びストロークが減ります。



縮みストローク、つまり緑の部分が増えました。
そして縮みストローク、つまりグレーの部分が減りました。

また、バネの硬さが同じでも、「プリロード」をかけると縮みストロークが増えて伸びストロークが減ります。
プリロードについても今回はバッサリと割愛します。



※混乱するといけないので念のため書いておきますが、グレーや緑、黄色、赤に塗っているのはあくまで説明のためであって、「この色に塗ってある部分はこういう意味がありますよ」ということです。
実際のダンパには色は塗ってありませんから、色の塗られていないピストンロッドを見ながら、自分の脳内で変換しながら考えられるようになっていけるとよいです。




そんなこんなで、例えば緑色の部分が少ないと、それは縮みストロークに余裕がないということなので、小さな段差でもすぐに底突きしてしまったりして、乗り心地サイアク!なんてことになります。
緑色の部分が多ければ多いほど、縮みストロークが長いことになり、段差などで大きな力が加わったときでも底突きまでにたっぷり余裕があるので、底突きしにくくなります。
ただし縮みストロークを増やすということは、そのぶん伸びストロークを減らすということです。
伸びストローク(グレーの部分)が短くなりすぎてしまうと、「伸びきり」というのが起こるので、これまた乗り心地は悪くなるのですが…。
まぁ、何事もバランスが大事ってことです。



ともかく、ロッドストロークが何cmか、バンプラバーの長さが何cmか、というのを測定することで、まずそのダンパが持つポテンシャルが分かります。
それから、どんなバネを使うか(あるいはどれくらいプリロードをかけるか)によって、伸び/縮みのバランスを調節します。
全体の長さが決まっている以上は、バランスをやりくりすることしか出来ません。

めちゃんこ硬いバネを使うと縮みストロークが増えて底突きしにくくなりますが、もともとのバネが硬いと、例え底突きしていなくてもガツンガツン!という乗り心地になってしまいます。
かと言って柔らかすぎるバネを使うと、縮みストロークが足りず、すぐに底突きしてしまうので、やはりガツンガツン!という乗り心地になります。
それでは一体どれくらいがちょうどいいのかというと、各部寸法を測ってから、荷重計算をしたうえで、ギリギリを満たすようなバネレートを算出すれば良い、ということになりますから、とにもかくにも計測が必要ということになります。
計測の重要性が分かってもらえたでしょうか。

そして、自分のクルマの足回りは、果たして縮みストロークがどれくらいあるのか?
そして伸びストロークはどれくらいなのか?
バンプラバーまでの余裕はどれくらい?
簡単に底突きしてしまうのか、そうでないのか?
それが気になり出したら、今回のお話がお役に立てたということです。
というか、気にして下さい(笑)
















さて、おさらいです。
ストロークを管理するというのがどういうことか分かると、もうダンパのイラストは必要ないと思うので、ロッドのストローク部分のみで説明します。
これだけ見て分かるようになってください。
これだけ見てイメージが湧くようになれば、もうほとんどストロークの管理は出来たようなものです。

グレーの部分は、車重で沈み込んだ領域(=伸びストローク)。
緑色の部分は、縮みストロークのうち、バンプラバーに当たらない領域。
黄色の部分は、縮みストロークのうち、バンプラバーに当たってはいるが、まだそれほど硬くない領域。
赤色の部分は、縮みストロークのうち、バンプラバーが縮みきってしまい、めちゃんこ硬くなってガツン!ガツン!ってなる領域です。



バネをダウンサスに交換すると、車重で沈み込む量が増えるので車高が下がります。
ただしそれはつまり、矢印で示した長さ=グレーの部分が増えることを意味しているので、結果として縮みストロークが減ります。
したがって底突きしやすくなります。



バネを硬くすると、車重で沈み込む量が減るので車高が上がります。
それは矢印で示した長さ=グレーの部分が減ることを意味しているので、結果として伸びストロークが減ります。
したがって伸びきりが起きやすくなります。



そのうえさらに、ロッドストローク自体が短かったりすると、全体的なストロークが減ってしまうので、縮みストロークも伸びストロークも不足しがちになります。
短くて余裕のない中で、なんとかバランスを取れるようにやりくりしなければいけませんが、やはり短すぎる場合はやりくりにも限界があるでしょう。
目的に応じて、最低限のロッドストロークは確保したいですね。

というわけで、ストロークの管理はこういうふうにします、というお話でした。
動いているところを想像しながら、イメージを膨らましてくださいね。



ダンパ伸縮のgifアニメ
















-----------------------------------------

最後におまけとして、具体的な数字を使った計算の仕方を紹介します。
計算まではしないよという方は無視してもらえばいいですし、やってみようかなという方は参考にして下さい。

バネの硬さはふつう、kgf/mm(または簡易的にkg/mm)という単位で表示され、2kgf/mmのバネだと柔らかいけど、10kgf/mmのバネだと結構硬いね、とかそういう感じで使われます。

2kgf/mm → バネを1mm縮めるのに2kgの重りを必要とする
10kgf/mmのバネ → バネを1mm縮めるのに10kgの重りを必要とする という感じです。

ところでロッドストロークが全部で何mmで、バネにかかる荷重がどれくらいかということが分かると、伸び/縮みのバランスを電卓で計算することが出来ます。
電卓使えれば誰でも出来ます。
バネにかかる荷重は、車検証の軸重を利用した計算でも大体の値を求めることが出来ますが、ロッドにタイラップを巻いて測定することも出来ます。
どっちにしてもロッドにタイラップは巻くことになりますし、どっちにしても正確な値は出せないので、とりあえずダストブーツは取り払ってロッドにタイラップを巻きます。



まずクルマをジャッキアップした状態で、ロッドにタイラップを巻きつけ、そのタイラップをロッドの一番根元(ダンパケース側)まで移動させます。
その後クルマをジャッキから下ろして1Gの車重をかけたのち、再びジャッキアップすると、タイラップがさっきの位置から移動しているので、いったい何cm移動したのかを定規などで測定します。
このときの長さが伸びストローク(=ダンパが縮んだ長さ=ブログ本文中でいうところのグレーの部分)になります。

例えばこの長さが6cmだったとして、このクルマに5kgf/mmのバネが使われていたとすると、「1mm縮めるのに5kg必要なバネを60mmも縮めた」ということになりますから、計算上、このバネには5×60=300kgfの荷重がかかったことになります。
そういう感じで「ここが何mmということは、ここには何kgfの荷重がかかっていて…」というふうに考えていきます。

さてこれは逆に言うと、5kgf/mmのバネに300kgfの荷重がかかったら、伸びストロークは6cmになるということです。
ここで、もしもロッドストロークが全部で10cmだとしたら、どうなるでしょうか。
ロッドストロークとは全体の長さです。
10cm引く6cmで、縮みストロークが4cmしか残らないことになりますね。
ちょっと心もとない…。
これでもしロッドストロークが全部で8cmしかなかったら、縮みストロークは2cmしか残らないので、かなり苦しいなぁ…、というような感じになります。
分かりますよね。

次に、大きな段差や小さな段差ではどれくらいの荷重がかかるか、底突きのしやすさはどうか、を考えます。

一般的に、そこそこ大きな段差を通過するときの衝撃は約2Gです。
静止状態(1G)で300kgfだと、2Gでは倍の600kgfですね。
600kgfの荷重を受けたときに、サスペンションのストロークはどれくらいになるか。
バンプラバーが完全に潰れきってしまうのか、少し余裕を残すことが出来るのか?

例えば現在僕が使っているリヤ側ダンパはロッドストローク105mmで、バネレートが10kgf/mmです。
ほぼ競技用なのでバンプラバーは入っていません。
その代わり樹脂製の5mmのバンプストッパが入っています。
バンプストッパに当たるときの荷重は計算上、1000kgfです。
105 - 5 × 10 = 1000 ですね。
600kgfなら当たりませんし、1000kgfを超える荷重がかかれば当たることになります。

ここでもしもバネレートが半分の5kgf/mmだったとすると、耐えられる荷重も半分、つまり500kgでバンプストッパに当ってしまいますね。
105 - 5 × 5 = 500
そこそこ大きな段差を超えると、モロにガツン!と来ることになります。
底突きを回避するためにはもう少し硬いバネを使いたいですね。

街乗りメインで乗る場合は、道路の段差などですご~く大きな衝撃が入るかもしれないので、瞬間的に大きな入力があってもダンパが壊れたりしないように、ちゃんとバンプラバーを使いたいところです。
一般道でかなり大きい段差を通過すると、3~5Gくらいの入力があるようです。

ところで同じ底突きするにしても、長くて弾力のあるバンプラバーと、短くてカチコチのバンプラバーでは、長くて弾力のあるほうが衝撃をふんわりと受け止めてくれます。
長くて弾力のあるバンプラバーを使おうと思ったら、当然そのぶんのスペースが必要になります。
長いわけですから。
つまりそのぶんの縮みストロークが追加で必要になるので、そういったことも考えながら、どんなバネを使おうかな、と考えていくことになります。
つまりバネというのは基本的に計算結果を参考にしながら選ぶものです。
(もちろん、上級者の場合はここで紹介した以外の要素も含めて考えますが、初心者の方はとりあえずこのくらいのところを理解できるように頑張って下さいね)




ストロークを管理するということは、大体、こういう感じの作業をするということです。
計算自体は、電卓が使えれば難しいことはありません。
慣れないうちは少しややこしく感じるかもしれませんが、特別難しいことをやるわけではありません。
試しに何度か自分で電卓叩いてみて、少し慣れればラクショーですので、興味ある方はぜひぜひ!
ブログ一覧 | 日記
Posted at 2014/10/18 23:55:18

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この記事へのコメント

2014年10月19日 1:18
マロン号は緑2センチ灰4センチ燈1センチくらいですww

やっぱり背の高いクルマだと軽自動車で12Kのバネ入れても結構必要なんですね♪
コメントへの返答
2014年10月19日 23:12
全部で7センチくらいってことですね^^

ダンパによってはそれくらい必要になったりもしますよね!
2014年10月19日 6:46
ありがとうございます。
整理できました。
コメントへの返答
2014年10月19日 23:13
参考になれば幸いです^^
2014年10月20日 0:27
短大時代の授業を思い出しますw
すごい分かりやすいです。
今更、GTにハマッているK太(小6)に読ませて理解させますw
コメントへの返答
2014年10月21日 21:38
授業でこんなこと教えてくれるんですね、いいなぁ。

小6でストロークの管理…英才教育ですね(笑)

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