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イイね!
2015年02月11日

まっすぐ走る

以前、取引先の会社の工具イベントに顔を出したとき、会場の一角にボッシュのアライメントテスタがででーんと鎮座していました。
営業のおにいさんがいろいろと細かいところを説明してくれて、これはすごいなぁと感心したのですが、1000万円近かったので、お値段もすごいなぁと感心しました(涙)
でもでも便利そうだったから、宝くじが当たったら欲しいですね(笑)

足回りの調整箇所が多いクルマの場合、大きな段差などでドカンとやるとアライメントは意外と簡単にズレてしまいますね。
車高を上げて車検に出すとサイドスリップで不合格になるので、それを合わせた状態から車高を落とすと、これまた大きくズレてしまいます。
5年に1回くらいの頻度でキッチリ寸分の狂いなく合わせるのと、1年に1回くらいの頻度でざっくりと合わせるのとでは、評価は分かれるかもしれません。

「ねぇ、まだ髪型セットしてるの?もう2時間もやってるじゃん」
「いや!まだ納得いってないんだよ」
「そんなにキッチリやらなくていいんじゃない?七三分けでしょ?」
「まだ七三分けになってない!7対3じゃなくて、6.98対3.02くらいだ!」
「だいたいでいいじゃない(汗)」
「こういうことは精度が重要なんだよ~!!」
「へっくしゅん!」
「あっ、お前のくしゃみで分け目が反対になった…」

いや、大げさな例ですよ^^;
精度うんぬんは置いとくとしても、ズレたまま長いこと乗ってるよりはこまめに見たほうが、という気はしますね。
あとは金額次第ですか(苦笑)

ところでここのところ寒さが厳しくて、夜や早朝は道路が凍結していますね。
こないだ入庫してきたクルマは「カーブを曲がりきれなくて左側のタイヤが縁石に当たっちゃったんです」ということでした。
最初はタイロッドを少し調整して済むパターンかな?と思っていたのですが、よく見てみると…左フロントと左リヤにもダメージがあるようです。
まだ若い子で、自動車保険を使ったときの試算をしてみたらびっくりするような額になったので(涙)、中古部品とかを使ってなるだけ費用を抑えたやり方で修理を進めましょう、ということになりました。

フロントに関しては普通に部品交換して済んだのですが、リヤのほうはメンバにも歪みがあったので悩みどころでした。
メンバを交換する、しない、によってかなり金額が変わってしまいます…。

「メンバの歪み」というと全体的に歪んでるところを想像されるかもしれませんが、今回の場合は大きなブッシュでマウントされてるタイプだったため全体的なダメージはブッシュに吸収されたようで、メンバのアーム取付部分だけが内側に押されて変形している、という状態でした。
溶接剥がれとかはなく、パっと見は変形しているようには見えないのですが、よく見ると鉄板に小さなシワが寄っているし、右と左を見比べると何となく形が違うように見えます。
アームの取り付けボルト中心で言うと、1mmか2mmくらい内側に入ったようです。

で、リヤの構成ですがダブルウィッシュボーンだったので、アッパアームと、ロアアームが前後に2本。
このうち前側ロアアームがトーコントロールアームの役目をしているので調整式。
後側ロアアームは固定式で、こちらの取付側が変形しています。

アッパアーム、ロアアーム、ナックルまで一揃いになった中古が出てきたのでごそっと交換してサイドスリップテスタに乗せてみると、まだまだ激しいトーアウトに…。
トーアウトということはトーコントロールアームを内側に引けばいいので、調整すると、とりあえずサイドスリップはそこそこに収まりました。
んで、走行点検。

おー、まっすぐ走るじゃん(笑)
良かった良かった。
ん?でも何か違和感が…。

こういうときの診断方法はハンドルを指先で摘まむようにして、ごく小さい力でハンドル操作してみます。
路面の傾きと形をよく見ながら、ほんのわずかに右に力を入れてみる、ほんのわずかに左に力を入れみる。
操作感に左右差があるので、ハンドルから手を離してみる。修正舵は「ちょん、ちょん」と。
んんん…普通に乗ってると分からないけど、これはわずかに左に流れてるな…(汗)

経験上、「左に流れる」という症状はフロントのトーアウトかタイヤの偏摩耗、ということが多かったのですが、今回の場合はリヤの左右差が一番大きな要因となっているようでした。
右リヤはわずかにネガティブキャンバがついているのに、左リヤはほぼ真っすぐ。(仕様書は-0度40分±45分 左右差45分以内)
キャンバ自体はこういった変化にあまり敏感ではないので、リヤにトーインをつければ左流れはほとんど無くせそうですが、そのためにトーコントロールアームを内引きして調整するとキャンバがポジティブ方向に変化してしまいます。
リヤでポジティブは…うーん…。

走行に違和感が出ないこと、安全性(走行安定性)、あとタイヤの片減りと、両立させなきゃいけないことがたくさんあるので、こういうときは悩みますね。
根本原因はメンバの一部が歪んでることなので、メンバを交換してしまえば済むのですが、さらにもうひとつの要素として「費用に見合う対価があるかどうか」ということも、お客さんにとっては大事です^^;
リフトアップして、問題箇所を眺めながら「どうせ1~2mmだし、メンバのボルト穴を長穴にしてしまえば…」とも思ったのですが、もともと長穴になっていないものを長穴にするのは、自分のクルマなら別にいいけど、他人のクルマだとちょっと気持ち良くないのでやめました。

同僚に試乗してもらうと、「言われれば左流れのようにも感じるが、路面次第では右に向かうこともある。個人的には乗っていてさほど気にならない。これ以上は調整というよりメンバ交換でやるべき領域では?」とのこと。
フロントをもう少し合わせてから、もう一回乗って、いろんな操作してみて出来るだけアラ探し。
両立させなきゃいけないいろんな要素を天秤にかけて、いろいろ悩んでみた結果、これがベストだろうという結論になりました。
お客さんにメンバ交換の費用、それによって得られることの説明と、いくらかタイヤ片減りの可能性が残る旨を。

ロードスターのようにリヤロアアームのリヤ側も調整できれば良かったんですけどね。
それを考えるとロードスターはありがたい(笑)

ロアアームが調整できなくても、アッパアームを内引き出来ればキャンバだけは戻すことが出来ますが、なんかもうそんなことやってるとトレッド自体がどんどん短くなっていっちゃうので、やはりアッパアームまでは調整式でなくてもいいという気はしますね。(ロードスターの場合はフロントは短くしたいけど。笑)
調整の可否と、強度と、コストと、あれとこれと、いろんな兼ね合いになると思うので、やっぱり難しいです。

結局のところ今回のクルマよりも、普通に車検で入ってくる何の事故もしてないクルマのほうが左流れ/右流れの酷い車両があったりするのですが、乗ってる本人さんは気付かないことがほとんどのようなので、あまり気にされないのだと思います。
ロードスターなどは調整箇所が多いぶん、あちこちズレると訳が分からなくなることが多いですね。
と言ってもトーのズレはハンドルのセンターがズレるだけで、必ずしも左流れ/右流れに繋がらないこともありますし、かといってキャンバは1度くらいズレてても街乗りではあんまり分からないことが多いです。
個人的には左右のズレというより「トーアウト」というのが、フロント、リヤともに悪さをする原因になることが多いように思います。
でもタイムを求める方はフロントのトーインを嫌ったりしますし、まぁ、何を前提とするかで良し悪しは変わるので…。

タイヤの偏摩耗も多いように思いますね。
「なんでこんなに変な減り方するんだ!いつも車検で見てるだろ!クルマがおかしいんじゃないか!」と怒られることもあるのですが(涙)、大きなクルマなんかだと車庫入れ時の据え切りでずいぶん偏摩耗になることもあります。
でもクルマがおかしいこともありますし、タイヤがおかしいこともあります。
余談ですがパンクの原因で「ホイール自体の巣穴から空気が漏れてた」ってこともあったので、この世は何も信用できません…(涙)

でもでも製品のメーカさんは一生懸命考えて作られているようです。
株式会社ブリジストン「自動車用タイヤの基礎と実際」には「残留コーナリングフォース」という項目で、トレッドパターンやベルトの角度を日本の路面(左走行で路面のカントが左側に傾いている)に合わせて、プライステア残留コーナリングフォースが右方向に出るように作ってある旨が書かれています。
アメリカでは左方向に出るように作ってあるそうです。
あまり詳しくは書いてないので少ししか分かりませんが、そんなところまで気を遣って頂いて、いやあ、ありがたいことです(笑)

で、そこまで気を遣って頂いても、扁平率の低いタイヤだと路面にハンドル取られちゃうのでまっすぐ走りません^^;
「直進性がよい」ということと「本当にまっすぐ走る」というのは少し違うので、難しいですね。
でもタイヤに関する本には総じて「扁平率が低いほうが性能がよい」と書かれています。
「○○であればあるほど良い」というのが気になってしまう僕としては、なんだか見過ごせません。
2級整備士の講習のときに、講師の先生に「じゃあ普通のタイヤより、タイヤの厚み1mmくらいのタイヤのほうが性能いいってことですか?それ事故りますよ」って聞いてみたら皆から「そんなタイヤはないやろー!」と怒られました(涙)
ぎゃふん!

直進性だけがクルマにとって大事なわけじゃないし、まっすぐ走らなくてもイイ車はイイと思います。
でも、本来まっすぐ走る車だったら、なるだけそのようにしてあげたいですね。

今日は、「まっすぐ走る」に関してのお話でした^^
ブログ一覧 | 日記
Posted at 2015/02/11 20:45:08

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この記事へのコメント

2015年2月12日 0:22
お客様の事考えたプロのお話ですね。
近所であればホントに私の車も面倒見てもらいたいところで
コメントへの返答
2015年2月12日 22:45
難しいことは分からないペーパ整備士ですが^^;

近くに頼れる整備士さんが見つかるといいですね!
2015年2月12日 11:42
事故でアライメント狂って、ナックルやアーム換えてダメならメンバー・・・まで換える人ってほとんどない気がします。保険事故だからって、メンバーまで換えてもおそらく狂ったままだと思う。

アームの造り見てもこれは明らかにクラッシャブルゾーンでしょって所があるのでメンバーまで逝く前にアームやブッシュで吸収すると思います

メンバーまで逝く事故は既にボディも逝って、廃車するかタイヤの変摩耗我慢して乗る

駄菓子菓子akiさんみたいに調整でできる限りもってくのが整備士なんでしょうね~(^_^;)

コメントへの返答
2015年2月12日 22:53
ほとんどの場合、メンバまで歪んでるとアウトですよね。
今回は事故という関係上、写真を撮るのがはばかられたので、写真がなくて申し訳ないのですが、たぶん写真か実物を見ると「あぁそういうことか」って思ってもらえるかと…。
メンバのうち、アーム取り付け部分が下に出っ張ってて、そこだけが僅かに歪んでます。
メンバ自体が大きいブッシュでマウントされてたので、ほとんどの力はブッシュに逃げたようです。
ホイールベースの左右差も少なかったですし、メンバのアーム取り付け部分だけの問題だったので、ここがもしカムボルトになってて1~2mmくらい外に出せれば何の問題もなかったんですね。
シンプルな問題だっただけに、長穴にして合わせちゃおうかとか、余計なやみました。

ホントはポジキャンにしてでもリヤトーをもう少しイン側に向けるべきだったか、今でもまだ悩んでます…(外減りしますけど)

プロフィール

「@Garage K 個人的には、「グリップする」=「より大きなグリップ力(コーナリングフォースまたは加減速力)を出せる」という意味かなと思って読んでましたが^^;
この件面白いんで記事にしますね!」
何シテル?   12/13 20:54
福井のロードスター乗りです。 ロードスターは現在休眠中。 タカスサーキットをホームコースとしてサーキットアタックしていました。 GPSロガーの結果を元...
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