• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+
イイね!
2024年07月06日

MBR(メイクバンプラバー)

alt



アフターパーツメーカーのエンドレスさんの新製品でMBR(メイクバンプラバー)というのがあります。
いくつかのバンプラバーを組み合わせて使う、しかも特徴的なのが球体のバンプラバーがあるってことですね。
見た瞬間「これは良い!世の中のバンプラバー全部これにすればいいのに!」と思いました(大げさ)

ところで皆さんお馴染みレブスピードの記事のなかで、MBRの開発に携わったエンドレスの花里さんという方とトレースの渡海さんという方(どちらもお若く見えますがご立派ですね!)のインタビューが掲載されています。


【特別インタビュー】「球体もあり、しかもゴム製!?」エンドレスがリリースする革新的バンプラバー



以下、記事から引用




発泡ウレタンやウレタンゴムに比べて、MBRはつぶれた後の弾性率(形が復元する性質)が凄く高いと表現しています。ヒステリシス、聞いた覚えがあると思います。もとの形に戻らないような意味合いがある。なのでMBRはヒステリシスにすれば小さい。ですが、ボクらはそれだけをいいたいわけではないんです

例えばスプリングの選択でサスをゆったり動かすと、コーナーで外輪が路面に引っ掛かって、クルマが前に進まなくなるケースがある。その現象を、僕らは「ヒステリシスが大きい」といっています。仮に運転はしやすくても、外輪側に複雑な動きが溜まるんです。課題でした。

そのヒステリシスの大きな状態の中に、ヒステリシスの小さいMBRを入れてバンプタッチを調整すると、その溜まりをMBRの特性で早く解放できて、足りなかったトラクションがしっかり出せた。クルマが前に行く。いいとこ取りにベストだったわけです






このMBRという商品、丸い形状も良いし、組み合わせて使うっていうのもさらに良いし、とても画期的で素晴らしい製品だと思います。
ただ、用語として「弾性率」や「ヒステリシス」という言葉の使い方にちょっと違和感が…。
文中で「僕らは~といっています」とあるように、一般的な表現ではなく、エンドレスさん及びトレースさん独自の表現ですね。
商業的な都合による独自表現が悪いとは言いませんが、勘違いがあるといけないので、ここで工学分野で一般的に使われるそれぞれの用語の意味を確認しておきましょう。



・弾性率
かんたんに言えば、いわゆる「かたさ」のことです。
具体的には「どれくらい力をかけたらどれくらい変形したか」という変形のしにくさを表す比例定数になります。
弾性率にはヤング率、体積弾性率、剛性率、ポワソン比などがありますが、いずれも基本的には材料に対して使うものなので、例えばバンプラバーのような防振ゴムやコイルばねのような製品の比例定数には「弾性率」でなく「ばね定数」を使います。

・ヒステリシス
履歴現象、履歴効果とも訳されますが、あるものの状態が、現在加えられている力だけでなく、過去に加わった力に依存して変化することをいいます。
ただし電磁気学における磁気ヒステリシスや、材料学における弾性ヒステリシスなど、各分野ごとにそれぞれ微妙に異なる定義があります。
なお、ばねに働くヒステリシスの定義はJISで以下のように決められています。
JIS B 0103 e)設計 番号5120「ばね又はばねと周辺部品との摩擦抵抗によって、減荷時の荷重-たわみ曲線が加荷時を下回る現象」




弾性率のほうはまだ分かりやすいのでいいとして、ヒステリシスのほうは分かりにくいですね。
例えばダンパなどはオイルに圧縮性があるために減衰力が出るタイミングに少しの遅れが生じることから、同じオリフィスを使っていても往路と復路で減衰力の立ち上がるタイミングに少しだけ差が出ます。
これを減衰力のヒステリシスといいます。

それに対して、乗用車用コイルスプリングとして使われる圧縮コイルばねにはヒステリシスがありません。(塑性変形した場合を除く)
トラックなどに使われるリーフスプリング(板ばね)の場合は重ねて使うので、作動時に板ばねと板ばねとの間で摩擦力が働くことから、運動エネルギーのごく一部が熱エネルギーに変換されて発散してしまい、その分の微小なエネルギーはばねに蓄積されず復路のエネルギーが少しだけ減ることになるので、そういう意味でヒステリシスがあります。
MBR(メイクバンプラバー)もゴムを重ねて使うので作動時に摩擦力が働きます。
「ばね又はばねと周辺部品との摩擦抵抗によって、減荷時の荷重-たわみ曲線が加荷時を下回る現象」というのはそういうことです。

厳密に言うとゴムの場合、重ねて使わなくても、もともとエントロピー弾性といって金属ばねとは少し違うメカニズムで弾性を発揮するので、その際の変形で入力エネルギーの一部が熱に変わって発散されてしまい、エネルギー損失が起こります。
それが弾性ヒステリシスです。
タイヤのヒステリシスロスが有名ですね。

ただしお察しの通り、それによってステア特性の変化を感じられるような規模のものではありません。
基本的にステア特性の変化はホイール端ばね定数(実質的なばね定数)の変化によるものです(ロール剛性と、動的なロール軸の位置・傾きに作用してステア特性が変わります)
バンプラバーがつぶれたとき、すぐにカチカチになってしまうものと、ある程度つぶれても弾性を発揮してくれるものとでは、実質的なばね定数が異なることから、それによってステア特性やトラクションに差が出るってことですね。

と、いうわけで記事の内容にあるような前提で「ヒステリシスが…!」みたいに話しても、工学分野でお仕事をされてる方あるいは海外の方には、残念ながら意味が伝わりませんのでご注意ください。
でもまぁそれを理解した上で各社さんの独自表現を使う分にはそれで構わないかなと思います。
知ってる上で使うのと、知らないで使うのとでは全く違うので^^

ところで、エンドレスさんのホームページに以下の説明文があります。




車輛の構造、荷重の違い、使用するばね定数や走行ステージにより、セッティングで用いるバンプラバーに求められる性能は様々です。
特にチューニングカーにおけるサスペンションにおいて、ユーザーの求める性能はより多様化し、既存品や汎用品では満足いく性能を確保することが非常に困難です。

そこで状況に合わせて最適な性能を得ることを目的に「MBR(メイクバンプラバー)」を開発しました。





本当これ!本当これ!
そうなんですよエンドレスさんよく分かってる!
実態の多種多様さに対して既存のバンプラバーでは種類が少なすぎて、ユーザの求める性能にマッチしないケースがほとんどです。
商品説明としては何てことない表現かもしれませんが、これ読んで「本当にそう!実態を分かってる!なんて素晴らしい!」と思いました。
僕も昔から何度も車高調を脱着してあーでもないこーでもないと頭を悩ませていたので、ちょうどいいバンプラバーがあったらいいなぁと思ってたんですよ。
着眼点がさすがですね。最高の製品です。
ぜひ皆さん買ってあげてください!
え?僕ですか?
僕は………あはははは。

これ1個1万円するんですよ涙
ブログ一覧 | 日記
Posted at 2024/07/06 12:36:44

イイね!0件



今、あなたにおすすめ

関連記事

GRヤリス MBR案件です!
Dai@cruiseさん

ぶらりと山に
AE86SW20ZN68さん

フロント側を考える
れくさすMR2さん

バンプラバーは・・・
73sevenさん

サスペンションストロークを検証する
ケンタツキさん

この記事へのコメント

コメントはありません。

プロフィール

「@Garage K 個人的には、「グリップする」=「より大きなグリップ力(コーナリングフォースまたは加減速力)を出せる」という意味かなと思って読んでましたが^^;
この件面白いんで記事にしますね!」
何シテル?   12/13 20:54
福井のロードスター乗りです。 ロードスターは現在休眠中。 タカスサーキットをホームコースとしてサーキットアタックしていました。 GPSロガーの結果を元...
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

掲示板

<< 2025/8 >>

     1 2
3 45 67 8 9
1011 1213141516
1718 1920212223
24252627282930
31      

リンク・クリップ

荷重移動量簡易計算ツール 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2025/01/28 18:05:40
幌っとOUT 
カテゴリ:ロードスタークラブ
2009/04/16 23:19:49
 

愛車一覧

マツダ ロードスター マツダ ロードスター
14年式のNB3型1,8RSです。 足回り以外はだいたい純正のままです。
ヘルプ利用規約サイトマップ

あなたの愛車、今いくら?

複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!

あなたの愛車、今いくら?
メーカー
モデル
年式
走行距離(km)
© LY Corporation