• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+
イイね!
2025年03月26日

固有振動数と減衰比

最近ブログのネタが他力本願になりがちですみません、楽しい話題が多いので^^
今日はこないだタツゥさんのブログで紹介されていたダンパー講習会の動画がアツいですね!ってお話です。

ダンパー講習会2022 全日本学生フォーミュラ向け講座


いやーいいですねこの動画、あれから何度も見返しました。
短い時間の中に詰め込まれた豊富な内容もそうですが、これからの日本の自動車業界を担う若い技術者達を応援していこうという気概がアツいです。

「今まだ日本のモータースポーツはですね、日本が世界一というにはちょっと遠いかなという状態でして、WECとかWRCとか世界チャンピオンを日本のメーカーが獲得してますけど、結構、中のエンジニアは海外の人ばかりだったりする状況ですんで、そこをちょっとひっくり返すために、優秀なクルマ好きの学生をどんどんこういう業界に引き込んで、日本を世界一って言えるようにしたいなと思ってまして、(以下略)」

ちなみにこの動画からさらに2年前にも同様のダンパー講習会が行われているんですが、その動画の中で、これがまた良いこと話されてるんですよ。

ダンパー基礎講座…全日本学生フォーミュラ


「私自身が高校、大学と工学なんかを学んできて、クルマ好きだったんで、社会人になってクルマ関係の企業に入ってですね、モータースポーツですとかアフターマーケットのチューニングなんかに関わるようになったんですけれども、そこで出てくる内容はですね、今まで学校で勉強してきたことなんかが全く通用しないような世界だなぁというふうに感じまして、全然、今まで学んできたことと全然違うようなことを言う人がいたり、これはとんでもないところに来てしまったなぁと思っていたんですが、自分もですね、今10年か20年くらい経験を積んでくるとですね、実はそんなことはなくて、全ては今まで学んできた勉強の延長線なんだなということが分かってきまして、まぁその辺の経験を元にですね、クルマ走らせるっていうのはもう本当に学問の延長でして、皆さんが学校で学んできてることはきっと活かせますよということをお話しさせて頂きたいと思います」

どうですか皆さん!こう、胸を打たれるものがありませんか!
えっ!僕だけ?そうですか…(笑)
いや僕はとても感動しました、思わず応援したくなりますね。
何が出来るわけでもないけどとりあえずブログに書く(笑)

肝心のダンパー講習会の内容に関しても、なんというか例えば書籍とかだとサスペンション関係でこれくらい専門的なものって運動方程式が羅列されていたり乗り心地や安定性に多くを割かれていたりして読んでいてもあんまり楽しくないのが多いんですが、これは学生フォーミュラ向けというだけあってモータースポーツを前提としてるので、基礎的な内容が多いとは言え見ててめっちゃ楽しい^^
また講師の蘓武さんの話し方も上手なんですよね、レース現場の人しか知らないような情報も織り交ぜながら話されていて、本当にめっちゃいい動画です!
こんなの無料で見せてくれるなんてありがたい^^




さて、このダンパー講習会の内容は「固有振動数」と「減衰比」の話を中心に進められています。
それぞれ簡単に言えば「ばねの固さ」「ダンパの固さ」の指標ですが、実際のところ我々が自分のクルマに行うセッティングでは、固有振動数とか減衰比とかってあんまり使いませんね。
ただし学生フォーミュラみたいに一からクルマを作るとなると話は別です、とんでもない勘違いして間違った設計しちゃう可能性もあるので、いくつかの基本的な指標を使って基準を確認しておかないといけません。

また、「メカニズムの理解」という意味で、固有振動数と減衰比はとても重要です。
動画の終わりのほうの質問タイムで「臨界減衰係数にすると固有振動数だけじゃなくてどんな周波数で振動させても最短で収束するんですか?」って質問されてる方がいますが、学生さんなのでこれから学んでいけばいいんですが、これは固有振動数のことをまだよく分かってないからこそ出てくる疑問ですよね。
いや疑問を持つのはいいことです、生まれたときから固有振動数のこと知ってる人なんか誰もいないので。
蘇武さんは「はい、どんな周波数でも最短で収束するのが臨界減衰係数です」と即答されてますが、これ例えばですけど「テスタとかで加振し続けている最中は例え臨界減衰係数でも振動は永遠に収束しない」ということになりますよね、当然ですが。
で、そうじゃなくて「あるマスばね系を加振してから、加振を止めたとき、勝手に振動を続けるときの振動数が固有振動数」なので、「マスばねダンパ系にどんな振動を与えても、加振を止めると次の瞬間には固有振動数と減衰力に応じた自由振動を始めるので、そのとき最短で収束するのが臨界減衰係数」という意味で「どんな周波数でも最短で収束する」と答えてらっしゃいます。

また、同じ方が続けて「減衰比によって固有振動数と接地荷重変動の関係が変わるというのは、車重に関係なくそうなるんですか?」って質問されてますが、これも「固有振動数は質量とばね定数で決まる」ということを感覚として理解できていないとこういう疑問が出てきますよね。
でもこれもある意味、大事な疑問です。
物体というのは重いとゆっくり動くからこそ「同じばね定数でもクルマが重いか?軽いか?によって固有振動数に差が出るので、クルマの動きはばね定数じゃなくて固有振動数で考えようね」って話になってるわけですから、「なぜクルマの動きをばね定数ではなく固有振動数で考えることが大事なのか」というところを再確認したいですね。
それが理解できると「固有振動数と接地荷重変動」のグラフそのものに「重いとどうなるか?軽いとどうなるか?」というのが既に反映されている、ということが分かります。

ちなみに減衰比について、僕むかしのブログで「減衰係数比」と書いていますが、正しくはシンプルに「減衰比」です。すみません。
減衰係数を臨界減衰係数で割ったものが減衰比ですが、臨界減衰係数が「振動が最も短い時間で収束する減衰係数」なので、減衰比は「ダンパの減衰係数が臨界減衰係数に対してどれくらいの大きさなのか」(どれくらい固いのか)というのを表します。
動画の中で「グラベルラリーとかだと減衰比は1に近くする。ストロークが大事なので固有振動数が低く設定されるが、次のコーナーが迫ってきたときに車両の姿勢を整えておかないとけいないので減衰力を強くしてそのぶん早く収束させる。オイルの関係で熱くなると減衰比がかなり落ちてしまう場合は最初から1以上に設定することもある」という話がありますが、「へー!へー!なるほどねー!」と思ってちょっと感動しました。
というのはチームルマンの7ポストリグまとめページの中で「むかーし私の向かいに座っていた某ワークスラリーチームのエンジニアは減衰比は最低でも1以上に設定するって言ってましたがいくらジャンプとかの多いラリー車でもそれは固すぎでしょうと思いましたが世界チャンピオンには言えませんでした」という話があったからです。
ルマン車両をメインにやってらっしゃる方だとそのへんの感覚は違うんでしょうね、ちなみに「じゃあ車のサスペンションの減衰比はいくつにすればいいの?って言われたら私は0.5でいいんじゃないって言ってます。減衰比0.5でダンパー作ったらとりあえず無事に初走行は迎えられます。ドライバーはいろいろ言うでしょうが走れないことはありません。まったく白紙から車を作りダンパーの設定をする人は試してみてください」とのことです。蘓武さんの説明と合ってますね。

とは言え同じ「減衰比0.5」でもサスペンションの諸元やボディ剛性などで実際のクルマの動きは変わってしまいますし、コースによって、つまり路面の凹凸が多いか少ないか?高速コーナが多いか低速コーナが多いか?ということでも最適な減衰力は変わるので、あまり理論値にこだわらず現車の動きを確認しながら最適なところを探っていくべきなのは言うまでもありません。
なので、実際のセッティングであんまり「固有振動数が、固有振動数が」「減衰比が、減衰比が」って言うのもちょっとアレなんですけど、ただ、クルマにどういうメカニズムが働いてるのか?を理解する上ではとても大事な部分なので、知識としてはしっかり押さえておきたいですね。

このダンパー講習会を開催しているのは株式会社アネブルというところなんですが、FacebookやXのアカウントもあったのでちょっと覗いてみたらこれまたすごく参考になる情報が盛りだくさんだったので、機会があればまたブログのネタにしたいなと思っています^^
ブログ一覧 | 日記
Posted at 2025/03/26 12:43:42

イイね!0件



今、あなたにおすすめ

関連記事

Reservoir Cats 46 ...
豚子・551さん

この記事へのコメント

コメントはありません。

プロフィール

「@Garage K 個人的には、「グリップする」=「より大きなグリップ力(コーナリングフォースまたは加減速力)を出せる」という意味かなと思って読んでましたが^^;
この件面白いんで記事にしますね!」
何シテル?   12/13 20:54
福井のロードスター乗りです。 ロードスターは現在休眠中。 タカスサーキットをホームコースとしてサーキットアタックしていました。 GPSロガーの結果を元...
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

掲示板

<< 2025/4 >>

  12345
67891011 12
13141516171819
20212223242526
27282930   

リンク・クリップ

荷重移動量簡易計算ツール 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2025/01/28 18:05:40
幌っとOUT 
カテゴリ:ロードスタークラブ
2009/04/16 23:19:49
 

愛車一覧

マツダ ロードスター マツダ ロードスター
14年式のNB3型1,8RSです。 足回り以外はだいたい純正のままです。
ヘルプ利用規約サイトマップ

あなたの愛車、今いくら?

複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!

あなたの愛車、今いくら?
メーカー
モデル
年式
走行距離(km)
© LY Corporation