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イイね!
2025年06月06日

ばねのストローク

たぶんね、言葉のマジックだと思うんです。
普通に考えれば分かるはずのことでも、こんなふうに言われたら勘違いしちゃうのも無理ないよなぁっていう。

いや、毎度お馴染みプリロードの話なんですが、少し前にチームルマンの7ポストリグのサイトに書かれてるプリロードの記事について書いたじゃないですか。(プリロード:ばねのどこを使うか?
で、こないだ別件で調べ物してたら、またここの部分で勘違いされてる記事を見かけたんですね。
これがまたしっかり理論的に書かれてて、なんというか、深く考察されてるな~って感じなわけですよ。
この人、これ頑張って調べたんだろうなぁと。
曰く、スプリングのレートというのは厳密に言うとストロークの最初から最後まできっちり表記レートが出てるわけじゃないので、同じレートでも、銘柄によって微妙な違いがある。
例えばオープンエンドとクローズドエンドでは、ストローク初期のレートの立ち上がりが変わってくる。
線間密着に近いストローク終わりについても、実際のレートは銘柄によって微妙に違う。
ふむふむ。

なので、プリロードをかけるとばねがたくさんストロークするようになって、ストローク範囲が変わるから、それがクルマの動きの違いに表れる。

えーーーーっと…。
途中まで良かったのに、一体なんでそんなことになっちゃうんでしょうね^^;
いや、こういうこと書ける人って頭いいと思うんですよ。
なので、変にプリロードにこだわらないで普通に考えれば、これ、明らかにおかしいよなってことが分かるはずだと思うんです。
マジックだよなぁ。

よく考えてください、150mmのストロークで線間密着する1kgf/mmのばねに50mmのプリロードかけると、そのばねは100kgfで線間密着しますか?
そんなことはありません、1kgf/mmのばねを150mmストロークさせるには150kgf必要です。
いや、銘柄によって148kgfだったり153kgfだったりするかもしれません、それはいいんですよ。
でも基本的には、1kgf/mmのばねを150mmストロークさせるのに必要な荷重は150kgfです。
プリロードかけたら100kgfで線間密着しました、なんてことはありません。
そのばね、10mmプリロードかけたら110mm縮みますか?20mmかけたら120mm縮みますか?
ばねの働きというのはそうじゃありません、ボールペンの中に入ってるスプリングを指で潰してみてください。
あらかじめどれだけ縮めておいたかに関わらず、ばねが縮む量はそこにかかる荷重によって決まります。

もうちょっと言うと、プリロードというのは「ばねが伸びようとするのをダンパが押さえつけること」です。
ダンパのアッパーマウント~ダンパ本体~ロアシートによって、ばねが自由長まで伸びよう伸びようとするのを押さえつけます。
だから例えばダンパーロッドが金属疲労で亀裂が入っていたりすると、プリロードの力でロッドが折れます。
ロッドが折れることで、ばねが自由長まで伸びます。
分かります?ロッドはばねが伸びようとする力によって折れるんです。
金属疲労してなくても、しっかりプリロードかかった状態のダンパのロッドをサンダーで切ると、ばこーん!とかいってばねは自由長まで伸びます。
純正ショックをバラしたことある人はイメージ出来ますよね。
プリロードの分、ダンパはばねが伸びないように押さえつけてるわけです。







ではアッパーマウントとダンパケースをしっかり両手で持って、そこにかかるプリロードと同じだけの力でダンパを縮めてあげたらどうでしょう?
プリロードと同じだけの力で縮めてあげると、それまでロッドにかかっていた力がなくなります。
なので、多少の金属疲労があってもプリロードの力でロッドが折れるというようなことはありません。
さっきまでダンパが頑張ってばねが伸びないように押さえつけていた力を、両手で縮める力が肩代わりするかたちになるからです。

両手でダンパを縮める力がプリロードと同じになった時点で、ダンパーロッドの先端についてるピストンがケース上端に当たっている箇所の接触圧はゼロになります。
プリロードが10kgfかかってるとこの部分に10kgfかかるわけですが(高圧ガス式だとガスの分でもうちょっとかかります)、両手でダンパを縮めていくことで、ここにかかる力がどんどん小さくなっていくわけです。
で、それがやがてゼロになって、さらにそれ以上の力で縮めると、ピストンとケース上端との距離が離れて、そこでようやくロッドはケースの中にずぶずぶと入っていきます。

文字で書くと少しややっこしいですが、これ、別に難しくないと思うんですよ。
特にラジコンやなんかのダンパを自分で指で縮めたりしたことある人は、言葉で言われなくても感覚的に分かるんじゃないかと思うんですよね。
プリロードがいくらかかっていても、ダンパに荷重がかかってピストンとケース上端とが離れた時点で、プリロード=「アッパーマウントとロアシートがばねを縮めていた力」がばねに与える影響というのはなくなります。















つまり、こうなるってことです。(ヒモが緩む)

でもね、これ普通に「ばねが縮む」って表現で書けば、「プリロードをいくらかけてもばねを150mm縮ませるために必要な荷重は変わらない」ってわかりますけど、ストロークという言葉を使って「ばねに50mmのプリロードをかけるとばねのストローク範囲が50mmぶん変わって100mm→150mmストロークするようになる」とか言われると、へーそうなんかな?みたいに思ってしまうケースもあるわけです。
あらかじめそのへん分かってれば別ですよ、すでにそういうことを考えたことがあるなら別なんですけど、それを初めて聞いたら「うーん、なるほど」みたいに思っても不思議じゃないわけじゃないですか。
表現次第ですごい変わっちゃうな、って。

その記事を書いた人が必ずしも7ポストリグのページを読んだとは限りませんが、言葉の影響って大きいので、改めて僕も気を付けておかねばと思いました!
ブログ一覧 | 日記
Posted at 2025/06/06 12:42:24

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この件面白いんで記事にしますね!」
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