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2025年07月23日 イイね!

ストラットとダブルウィッシュボーン

OX3832さんのブログで全日本ラリーJN1のスバルWRX S4が紹介されていました。
ぜんぜん知らなかったのですが、2025年仕様車はリヤサスの形式そのものがダブルウィッシュボーンからストラットに変更されたそうです。マジで!
CARTOPの記事によれば、この変更によりサスペンションストロークが拡大され、ラフな路面での安定性が向上したとのこと。

VBH型のS4はそんなにじっくり見たことはないのですが、たまたまVAG型のS4が入庫していたので、リヤサスの写真を撮ってみました。









ストロークを伸ばすにあたって、ダブルウィッシュボーンのままだとどこが都合悪かったのかな…と考えたとき、アッパーアームとボディとのクリアランスが結構厳しいイメージがあったので最初そこかな?と思ったのですが、CARTOPの記事に載っていた写真を見ていたら考えが変わりました。



ダンパの取付位置を見てみると、変更前はドライブシャフトよりも後ろにダンパがついているのですが、変更後はドライブシャフトより前にダンパがついています。
本来、この位置にダンパを取り付けようと思うとボディと干渉してしまうのですが、写真をよく見るとフェンダエプロンに大きな穴ボコを空けて無理やり収めていることが分かります。
そもそもアッパーマウントを取り付けるためのストラットタワーがそんな位置に存在しないので、ストラットタワーも新たに制作した上でここに取り付けてあるはずです。

そこまでの改造をする前提であれば、アッパーアームとボディとの干渉なんか全然問題なくて、干渉するところを切り取ってしまえばいいだけの話なので、この部分の問題ではなさそうです。
ダンパやバネを長いものを使いたい、という理由であっても、ダブルウィッシュボーンのままストラットタワーを改造すれば済んでしまうので、そこでもなさそうです。
アームロックもダンパ底突きも回避できたら、次に来るのはホイールハウス内のタイヤ天突きですが、そこまで考えたところで「あぁこれバンプ側じゃなくてリバウンド側を伸ばしたってことなんだな」と思いました。

そもそもラリー車ですからサスペンションは縮むより伸びて欲しいはずです。
その場合、問題になるのはアームの長さですね。

アームというのは円を描くように動くことから、ストロークが長くなるほどアライメントやホイールベース&トレッドの変化が大きくなってしまうので、アーム(リンク)は長くしたいです。
OX3832さんの写真とCARTOPの写真を見る限り、2025年仕様の車両はトレーリングリンク(前後方向に動かないよう位置決めをしているリンク)の位置が後側に変更され、長さもかなり長いものが使われており、またラテラルリンク(左右方向に動かないよう位置決めをしているリンク=ロアアームの代わり)もかなり長いものが使われています。
僕の撮った写真はVBH型ではないので正確な比較が出来ず申し訳ないのですが、以前、アプライドA型のVBHの下回りはチラっと覗いたことがあって、確かVAGとさほど変わらないくらいの長さだったと思います。

トレーリングリンクも伸ばした、ラテラルリンクも伸ばした、あとはアッパーアームも伸ばしたいところですが、いくら改造すればいいからと言ってさすがにメンバをボディにめりこませるのは無理があります。
まぁそれでも可能と言えば可能なんですけど(苦笑)、かかる労力や補強による重量増加うんぬんを考えると、いっそストラットにしたほうがいいよねって感じなんだろうなと思いました。
想像なので、正確には分かりません。

余談ですがアームが長くなるとバウンス(上下動)時はいいのですが、今度はロール時の対地キャンバが厳しくなってしまう面があって、ダブルウィッシュボーンであればアッパーアームの長さを調整することでちょっとマシにすることが出来るのですが、ストラットだとそれは出来ません。
なので、たぶんターマックのコーナリングスピードはちょっと犠牲になっていると思います。
「それよりもラフな路面での安定性のほうが欲しい」という判断だと思うので、あぁ、そういうコースなんだなと。
サブスプリング入れるとかなり改善されるとは思いますが、これ入ってるんですかね?
(通常使う領域は硬いメインスプリングによってロールを少なくする→ロールを抑えることで対地キャンバの悪化が少なくなる。ラリー車という特性上、あんまり硬いスプリングも入れられませんが…)

あと細かいことですが、サスペンション形式が変わるとジャッキアップ/ジャッキダウン特性が変わります。
ストラットだと基本的にジャッキダウンです。
つまりコーナリングで横Gを受けたときに内輪がリバウンドする量より外輪がバンプする量のほうが大きくなり、車両全体としてはコーナリングによって沈み込みます。
でもS4の場合、フロントは最初からストラットです。
フロントに変化がないままリヤサスペンションがジャッキアップ傾向からジャッキダウン傾向に変わると、動的なロール軸が後傾するので、ステア特性やスカッフ変化で発生するコーナリングフォースの量が変わります。(参考:GDBリヤサスの謎
なので、たぶんリヤの1G車高あるいはラテラルリンクのメンバ側取付位置の工夫で、リヤのロールセンタを少し上げてると思われます。

ちなみにサスペンション形式に関して、アッパーアームが分割されていなければダブルウィッシュボーンと呼ぶ、というのが僕の認識です。
このへんは明確な定義がなく業界の慣例?で呼ばれるだけみたいなので、人によって変わる部分はあると思います。
確かアウディR8のリヤサスは上下とも綺麗なAアームでしたね、市販車ではああいうのは実際には珍しくて、見ると惚れ惚れします。

一般にストラットよりもダブルウィッシュボーンのほうが性能が良いイメージがありますが、ひとくちに「性能」と言っても様々なので、一概に言えませんね。
ルノー・メガーヌRSやシビックタイプRがリヤサスにトーションビームを採用したとき「へー!マジで!」みたいな感じで話題になっていたのが懐かしいです。
サスペンションに求められるものにはいろんな要素があって、完璧なものが世の中に存在しないので、「何を求めるか?」によって良し悪しが変わりますね。
いやぁ面白かった笑
Posted at 2025/07/23 12:59:01 | コメント(1) | トラックバック(0) | 日記

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「@Garage K 個人的には、「グリップする」=「より大きなグリップ力(コーナリングフォースまたは加減速力)を出せる」という意味かなと思って読んでましたが^^;
この件面白いんで記事にしますね!」
何シテル?   12/13 20:54
福井のロードスター乗りです。 ロードスターは現在休眠中。 タカスサーキットをホームコースとしてサーキットアタックしていました。 GPSロガーの結果を元...
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