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aki@rsのブログ一覧

2025年01月28日 イイね!

荷重移動量簡易計算ツール

先日ご紹介したコイルばねっとですが、自分でいろいろ値を入力して遊んでみると、例えば「線径をちょっと変えただけでばね定数がこんなに変わるんだなぁ」といったようなことが分かって、ばねに対する理解が深まると思います。
久しぶりに使って「やっぱり便利だなぁ」などと思っていたら、そういえばばねではありませんが昔エクセルで前後左右の荷重移動量について簡易計算するツールを作ったのを思い出しました。
これはこれで結構面白いので、配布用にデザインを作り直してダウンロード出来るようにしてみました。













 ・荷重移動量簡易計算ツール(クリックするとxlsxファイルのダウンロードが始まります)








このツールは本来、自動車操縦安定性講座入門第4章の2を理解するために作ったもので、左右荷重移動量の前後配分の計算式に単純に前後荷重移動量を加えたものです。
まずは第4章の2を一読いただき、表4の1~3を見ながら値をいろいろ変えてみて、左右荷重移動量の前後配分がどう変わるのか?に関する理解を深めて頂けたらと思います。
改めて第4章の2に目を通してみるとやはり専門書の記載よりも圧倒的にシンプルかつ体系的で分かりやすく、今なお自動車操縦安定性講座入門はWEB上に現存するサスペンションメカニズム解説として最も優れたものの一つだなぁと感心します。

とは言え数式に馴染みのない方も多いと思うので、第4章の2を理解するのが難しい場合はとりあえず以下の項目を色々いじってみて、左右荷重移動量の前後配分(クルマが横Gを受けたとき、全体の荷重移動量に占めるフロントとリヤそれぞれの配分)がどのように変化するかを見ながら遊んでみてください。

・重量配分(前)
・前ロールセンタ高
・後ロールセンタ高
・前ロール剛性配分(※背景色になっていますが直接入力で編集できます)

基本的にはロール軸を重心に近づけるほど、荷重移動量の変化は前後重量配分の影響が大きくなり、逆にロール軸を地面に近づけるほど前後ロール剛性配分の影響が大きくなる、ということを確認するためのものです。
注意点としてサスペンションレバー比を考慮していませんので、トレッドを変更する場合はそれに合わせてロール剛性の調整をお願いします。(例:フロントのトレッドを拡大する→フロントのロール剛性をそのぶん下げる)

なおストロークによるロールセンタの移動やアンチダイブ等のアンチジオメトリの影響などは含まれていませんが、基本的なメカニズムを理解する上では全く問題ありません。
ただ、お遊びでそれらを考慮したものを作ってみてもいいかなと思うので、どこまでの要素を含められるかわかりませんが、そのうち作ってみたいと思います。
サスペンション形式によって大きく変わる部分をどんなふうに処理しようか(笑)










追記:作りました
荷重移動量簡易計算ツール 補正追加版
Posted at 2025/01/28 13:00:31 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記
2025年01月25日 イイね!

ばねの自由長が変わると反発力は変わるか

OX3832さんのところでばねの自由長の話題が出ていました。
今日は「ばねの自由長が変わるとどんな要素が変わるのか?」について考えてみましょう!

その前に、皆さんにご紹介したいWEBサービスがあります。
東海バネ工業がホームページ上で提供しているコイルばねの検討ソフト、「コイルばねっとver1.0」です。




コイルばねっとver1.0








ちなみにこちらは公式キャラクター、ばねのことなら何でも知っている「ばねっと君」です。

「コイルばねっと」では、ばねを作るのに必要な寸法情報を入力することで、ばね定数や荷重/応力特性、形状の適切さなどを知ることが出来ます。
試しに次のような寸法で入力してみましょう。

・材料径 … 12mm(線材の太さ)
・中心径 … 65mm(いわゆるID65とかID70とか)
・自由高さ… 178mm(自由長)
・有効巻数… 5巻き
・総巻数 … 6巻き









するとバネ定数が123.48と表示されました。
単位はN/mmなのですが、出てきた数字を9.8で割ってあげると、我々が親しみのあるkgf/mmに変換できます。
したがってこの寸法だと 123.48 ÷ 9.8 = 12.6kgf/mm のばねが作れることになります。
やったね!
皆さんもいろいろ入力して遊んでみてください笑









ちなみに下のほうにばねっと君からのアドバイスが表示されます。
この寸法では全て適正なようです。

さてこのようなばねの寸法のうち、自由長と密接な関係にあるのが「有効巻数」です。
コイルばねは金属の丸棒を機械で巻き巻きして作りますが、このうち密着部分などを除いた「ばねとしてのボヨヨンという働きを持つ部分」の巻数のことを有効巻数といいます。

試しに先ほどの入力値を「有効巻数3、総巻数5」に変更してみましょう。









するとバネ定数が246.97と表示されました。
9.8で割ると約25.2kgf/mmです。
めちゃめちゃ固いばねが作れました笑









しかしばねっと君からは「有効部が少なく、ピッチが荒過ぎます」と怒られてしまいました。
えーっ、ごめんなさい…。
これだと巻きが荒すぎてすぐにヘタってしまうので、あまり良くないようです。

では次に、「有効巻数20、総巻数22」ではどうでしょうか?














今度は「タワミ量減少。自由長増加か、総巻数減が必要」と怒られてしまいました。
というか線径12mmのばねを20回も巻いたらそれだけで240mmなので、どう頑張っても178mmでは収まりません。
こちらも都合が悪いですね。

そんなわけで有効巻数というのは自由長である程度決まってしまう面があります。
ばねメーカーさんも賢明なので、7インチとか8インチとかいろんな自由長のラインナップがありますが、ヘタりにくく、作動長に問題のない範囲でしか有効巻数を設定しません。

例えば一番最初に入力した条件のばねで、自由長のみ178mm→152mmに変更したとしましょう。
しかし作動長の関係から、有効巻数5、総巻数7が必要だったとします。









するとバネ定数が148.18N/mmになりました。
これは約15.1kgf/mmのばねです。
有効巻数を減らしたのでばねが固くなってしまいました。

ダンパに装着する関係で中心径は変えたくないので、あと変えられる要素は材料径しかありません。
これを減らして、11.465mmにしてみます。









バネ定数が123.47N/mm(約12.6kgf/mm)となり、最初のばね定数とほとんど同じに出来ました。

まぁ厳密に言えば鉄の中に混ぜ物をしたり熱処理の方法を変えたりすると横弾性係数が変わるのでそこでも多少の変更が出来ないわけではないのでが、横弾性係数によってばね定数を調整するメーカーなんてどこにもないので汗、現実的には「同じばね定数&中心径で自由長を短くしようと思うと、材料径を細くする必要がある」ということになります。

ちなみに中心径を大きくするとばね定数は小さくなり、中心径を小さくするとばね定数は大きくなります。
このあたり感覚的によく分からない場合は、頭の中でコイル状のばねの巻きを戻して元の1本の丸棒にしてみましょう。
中心径が大きく、巻数が多いほど、丸棒の長さは長くなります。
その逆は短くなります。
この丸棒をトーションバーだと思ってもらって、「短いほどばねとしては固い」「長いほどばねとしては柔らかい」と考えればイメージしやすいと思います^^
また材料径についてはスタビ(アンチロールバー)などと同じで、丸棒が太ければ固く、細ければ柔らかくなります。



さてタイトルの件、自由長を変えると反発力は変わるか?ということについてですが、工学的には「ばねの反発力(ばね反力)はばね定数×たわみ量(ストローク量)で決まるため、ばねの長さは関係ない」ということになります。
ばね反力は"力"ですので単位はNやkgfです。
たまに他の要素をばねの反発力と混同される方がおられますがばねの反発力というのはこれ以外にありませんので、解説サイトなどで表現の曖昧さに違和感を感じたときは「この人、単位を分かって書いてるのかな?」と注意して読んでみてください。

でも「短いばねvs長いばね」という論争は昔からあります。
ヘタりやすさから言えば短いばねより長いばねのほうが有利です。
でも「反発力が変わるのだ!そのように感じたのだ!」という主張も多くあります。

トレースの渡海さんのコメントについての記事を書いたときと同じ結論になりますが、もしも反発力に違いがあるとすれば、個人的には「商品表記上のばね定数と実際に出ているばね定数が違う」ということだと思っています。
ただあんまり厳密に追及しようとも思っていなくて、「ボクは確かに違いを感じました、そして車高は同じに合わせました」とかいってても実際に車高が同じとは限らないし、ばねの長さ以外の要素が本当に何も変わっていないかどうかを確認することは出来ないので、あまり気にしていません。
ただ、工学的な基本知識を持った人の言うことと、まったく何も知らない人の言うことは説得力に違いがありますので、例え主張の内容が変わらないとしても工学的な基本知識は押さえておきたいですね。
ばねに関して勉強したい方は日本ばね学会が発行する「ばね」という本で学ぶのが間違いないのですが値段がチョー高くて2万2000円するので、図書館の工学書コーナーに行ってみてください。
そこそこ大きい図書館ならたぶん置いてあります。
全部しっかり読もうと思うと数年かかると思いますが、興味あるところだけをかいつまんで読むだけでも勉強になります。
かく言う僕も興味あるところしか読んでません笑

そんなわけで今日は「ばねっと君って便利だよね」って話でした笑
ちなみに圧縮コイルばねにヒステリシスがあると思っている方もたまに見かけますが、ばねっと君のQ&Aを調べてみてください。
はっきりと否定されています。
どんな主張をしたっていいんですが、基本は押さえておきましょうね^^
Posted at 2025/01/25 12:50:51 | コメント(1) | トラックバック(0) | 日記
2025年01月15日 イイね!

プリロード:ばねのどこを使うか?

先日ご紹介したチームルマンのサイトは、Facebookの7ポストリグというアカウントで投稿された記事がまとめられたものです。
これを書いている方はとても経験豊富かつ優れたエンジニアのようで、書いてある内容にもすごく説得力がありますし、レーシングカーの開発現場に親しみのない我々にとって目から鱗が落ちるような内容も多いです。

ただ、ひとつだけ以前から気になっている箇所があります。
ばねのプリロードについての記事です。
内容そのものが間違っているわけではないのでスルーしておこうかとも思ったのですが、ばねに関わる結構大事な部分なので、今回記事として取り上げますね。
まず対象となる記事はこちらです。

101. スプリング、プレロード

一部引用します。






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バンプストロークが増えてリバウンドストロークが減ってちょうどいい感じになりました。つまりプレロードによってスプリングのどの荷重領域を使うかを選べるのです、プレロードを変えるとバンプとリバウンドのストローク配分が変わります。
(中略)
ではプレロードがマスばねシステムに影響するか?プレロードを変えても図でもわかるように伸び切ったり底付きしたりしない限りばねとしては何も変わりません、車重とバランスした点を中心に振動します。 ばねは固くも柔らかくもなりません、一本のばねのどこを使うかが変わるだけです。

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これを読んで「へーそうなんだ」とか「ふーん」と思われた方もいらっしゃると思いますが、この表現、な~んか違和感がありますよね。
分かります?

いや書いてあることは間違ってはないんですよ、間違ってはないんですけどこの書き方だと大体の人が勘違いしちゃうだろうなと思って。
つまり「どの荷重領域を使うかを選べる」とか「一本のばねのどこを使うかが変わる」なんて書いちゃうと、プリロードをかけてない状態のばねのストロークが例えば0mm~60mmとかだったとして、これがプリロードを10mmかけると10mm~70mmになるんだろうな、とか。
例えばコーナリングで1.2Gかかってる時に、プリロードかかってない状態だとバネのストロークのうちこのあたりを使っていて、それがプリロードかけると縮む範囲がちょっと変わってこの辺りのストロークを使うようになる、みたいに思っちゃうわけじゃないですか。
これ、違いますからね。
プリロードとはただ単にストロークバランスの調整であって、ばねが伸び切らない限り何も変わりません。
この記事を書いたエンジニアの方もそういう前提で書いてます。

これはサブスプリングを組んだ場合やバリアブルレートスプリングの場合でも同じです。
プリロードってダンパをクルマから取り外した状態だと「ばねに荷重をかけること」みたいに思えますけど、実際クルマに取り付けられた状態だと、プリロードをかけることで変わるのはばねのストローク量ではなくボディに対するダンパの位置関係です。
このあたりちょっと文字では分かりにくいと思うので、図解しますね。

そもそもプリロードをかけるというのはロアシートを回して0G状態におけるばねを縮めるっていう作業ですよね。
0Gというのはタイヤが離陸している特殊な状態ですが、そうではなくて、走行中つまりクルマにしっかり1G荷重がかかった状態でプリロードの有無を比較するとどうなるか、アニメーションで見てみましょう。






(スカイフック視点で動かしています)




さらにダンパ部分を拡大し、スケルトンにして内部を見ます。







これ分かります?例えばホイールハウス内にカメラを固定しておいて、プリロードを1mmだけかけてジャッキから降ろした状態で写真を撮り、再びジャッキアップしてもう1mmプリロードをかけてから同じように写真を撮る、というのを繰り返して10枚分の写真をつなげてアニメーションを作ったものだと思ってください。

するとどうなるかというとご覧の通りで、ボディに対してダンパケースの位置が下がります。
それによってストロークバランスが変わることが分かりますね。
また地面からの高さで言えば、ロアシートつまりばねを置いておく土台の位置が高くなるので、車高が上がります。
変わるのはそれだけです。
そもそもダンパケースしか動かしていないので、車高とストロークバランス以外は何も変わりません。

ばねのどこを使うかが変わる、っていうのは、ただ単に「ストロークバランスが変わる」というのを言い換えただけの表現です。
早い話が「プリロードかけた分だけ伸び切らなくなるよね」ってことですね。
伸び切らないんだから、その分は使わないので、確かに使う範囲が変わってはいます。
でもこの表現の意味するところを初見でそのまま受け取ることの出来る人って少ないんじゃないかと思うんですよ。
これ書かなきゃいいのに、って正直思いました(笑)
でも著者の方はダンパの人なのでこういう表現がつい出ちゃうんでしょうね。

このあたり、「プリロードをかけた状態のばねにゆっくりと荷重をかけていったとき、例えば50kgfなら50kgfぶん耐えてからその後でばねが縮み出す」といったことも分かりにくさの一因になっているかもしれません。
50kgfぶん耐えるというのは、プリロードのせいでバネが自由長まで伸びることができないので、本来かかるはずだった(しかし伸びないのでかからなかった)荷重が同じ位置で一気に解消されるためにそのように見えるのです。
タイヤが離陸しているときは荷重かかりませんからね。
でもこれはただ単にばねが伸びるのを制限したために起こることですから、その「制限した分」つまりプリロード荷重よりも多く縮んでしまえば、それより後はプリロードがない状態と全く同じです。
いまいちイメージの湧かない方は、こちらの記事も参考にして頂いて、プリロード=伸びを制限するとはどういうことか?を考えてみてください。
プリロード

そんなわけでプリロードをかけても伸び切らない限りばねのストローク範囲は変わりません、という話でした。
冒頭の記事の最後の部分で、

-----------------------------------

実際7ポストリグで加振しても何も変わりません。でもレース界の人でも7ポストリグに来て「ちょっとプレロード掛けてみようと思うんですけど」って聞いてくる人もいます、「変えてもいいですけど伸び切らない限りリグでは何も変わりませんよ」って答えますが。あくまでもプレロードは“ストローク配分の変化を伴う車高調整”でそれ以外の何物でもありません。

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と書かれていますが、それが全てです。
あ、7ポストリグっていうのはそういう試験機(めちゃくちゃ高度なロードシミュレータ)のことなんですけどね。
あくまでもプリロードは“ストローク配分の変化を伴う車高調整”であって、それ以外の何物でもありません。

というかプリロードそのものは必ずしも車高変化を伴うとは限らないので、厳密に言えば車高すら関係なくて、純粋に「ダンパのストローク調整」です。
車高が一緒に変わるのは単に作業する上でロアシートを回すほうがラクだから皆がそうするだけであって、例えばダンパを取り外してアッパーマウント下のワッシャを10mmぶん抜き、ロアシートの高さは変えずにダンパを組み直してやると、10mmぶんのプリロードはかかりますが車高は変わりません。
なので、本質的にはプリロードとは「ただのストローク調整」です。

実際にはストローク調整をすることでバンプラバーの潰れ具合が変わったりしますし、車高が変わるとトー角やロール軸などが変わってしまいますから、「プリロードを変えてこんなに変わった!ばねを縮めておく効果ってすごい!」とか思っちゃうんですけどね。
働きとしては「縮めておく」ではなくて「伸びるのを制限する」が正しいです。
でもね~、名前が「プリロード」ですからね、こればっかりはしょうがないんですけど理解を妨げるトラップみたいなもんだよなぁと常々思ってます(苦笑)
Posted at 2025/01/15 12:46:39 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記
2025年01月07日 イイね!

ドライバーとエンジニア

チームルマンのエンジニアの方が、WEBサイトの中でこんなふうに書かれています。

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スプリングを変えたらブレーキング時の荷重移動量は変わるのでしょうか?
変わりません、スプリングが固くても柔らかくても関係ありません、変わるのは車両の姿勢のみです。
「サスペンションが固くてブレーキングでタイヤをつぶしすぎちゃうんだよー」ってドライバーが言ってもいいですがエンジニアがそのまんま余所で言っちゃいけません。

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まぁ厳密に言えばほんのちょっとだけ荷重移動量が変わるので、「変わりません」と言い切ってしまうのも気が引けますが、とは言えほとんど変わらないのと同じレベルですから実質的には変わりません。
でもドライバーは車両姿勢が変われば「荷重移動量が変わった!」と感じるので、そこで起きている物理現象とはぜんぜん違うことを平気で口にします。
それはそれで構いません、ドライバーというのは速く走るのが仕事なので速く走ることが出来ればそれでいいんです。
でもエンジニアは違います。
クルマをより良くするために、そこで起きていることを正しく把握しておかなければいけません。

フロント車高を上げるとステア特性がアンダーステア側に変わるのは何故でしょうか?
多くのドライバーは「荷重が後ろに移動するから」と言います。
でもエンジニアがそんなこと言っちゃいけません。
車高をいくら変えたところでホイールベースは実際ほとんど変わらないので荷重移動もほとんど発生しません。
こちらはタツゥさんが以前行った試算です。

車高変化と前後荷重の関係について

リヤ車高を10mm変えて、荷重移動したのは0.8kgfという計算結果になっています。
冒頭の話と同様、ちょっとは変わるけどほとんど変わらないレベルですね。
でも実際リヤの車高を10mmも変えれば別のクルマかっ!ってほどハンドリングは変わります。
それは何故なのか?を考えて、クルマに何が起こっているのかを理解していくことが大事です。

フロント車高に関して言えばロールセンタが上がってロール軸が後傾するので、全体の荷重移動量に対するフロントの負担割合が増えることでアンダーステアになります。
ただ、同時に初期レスポンスは上がります。
主な原因としてはフロントトーインですかね。
また先日の話との関連で言えば、ロールセンタが上がってアンチロールの働きが増えることも初期レスポンスに貢献します。
よく「フロントに5mmくらいプリロードかけるとばねが踏ん張ってレスポンス上がるよ!」とか言いますが、車高を変えずにプリロードを変える場合、(プリロード荷重を下回る範囲を除いて)スプリングの縮み量もスプリングの位置もそこにかかる力も一切何も変わりません。
で、プリロードとはまったく無関係にフロント車高を少し上げてやるだけで初期レスポンスは上がります、簡単なのでレスポンス欲しいときの現場対処としてはおすすめです。

天動説と地動説じゃありませんが、クルマに働く物理は人間の感覚や常識には反するようなメカニズムが働いていることも少なくないので、正しい知識と理解が必要です。
サスペンションメカニズムについてWEB上で学べるものとして、以前は自動車操縦安定性講座入門をおすすめしていましたが、現在は冒頭でも紹介したチームルマンのサイトの内容が充実してきて、また1ページあたりの情報量も少なくて勉強しやすいのでおすすめです。
貴島ゼミナールの後半のメカニズム説明なども分かりやすくていいですね。

本当はこういったインターネットの知識とかではなく、安部正人大先生の自動車の運動と制御とかで学ぶのが間違いないんですけど、ここまで本格的な文献となるとそもそも十分な知識を持ってないと読めないので、一般の人にはちょっと厳しいですね。
僕も買ったはいいけど最後まで読んでません…汗
インターネットの知識でも上でご紹介した3つは内容として間違いないので、まずは取り組みやすいものから始めたいですね。

まぁでも「自分はドライバー専門だからメカニズムのことなんて気にしないぜ!」って方は難しいことは考えず、とにかくいっぱい練習して速く走れるように頑張れば大丈夫です。
いくら正しい知識を持っていても、難しい計算が出来ても、速く走るためのドライビングテクニックがなければ意味がありません。
ただ、クルマを触るエンジニアは「そこで何が起きているのか?」を正しく把握することが大事です。
巷にあふれる勘違いやトンデモ論に惑わされず、クルマの物理を理解できるようになりたいものですね。
Posted at 2025/01/07 12:51:19 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記

プロフィール

「@Garage K 個人的には、「グリップする」=「より大きなグリップ力(コーナリングフォースまたは加減速力)を出せる」という意味かなと思って読んでましたが^^;
この件面白いんで記事にしますね!」
何シテル?   12/13 20:54
福井のロードスター乗りです。 ロードスターは現在休眠中。 タカスサーキットをホームコースとしてサーキットアタックしていました。 GPSロガーの結果を元...
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荷重移動量簡易計算ツール 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2025/01/28 18:05:40
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