皆さんこんにちは!
突然ですが車高下げてますか?
僕は善良なロードスター乗りなので最低地上高9cmは守ってます!
でも気持ちとしては地底の奥深くまで下げてます!笑
つか!ナンバーないけど!涙
若い頃、サーキットアタックしてる知り合いの方が「車高を下げたらタイムが1秒上がったよ!」って言ってたのを聞いたことがあります。
すごいなぁ、でもそれって本当かな?1秒なんて誤差じゃない?などと思ってました。
当時は笑
今となっては1秒、つまりコンマ1秒×10の大きさというのは身に染みて分かります、いやぁタイム詰めて行った先での1秒はデカいですよね…!
車高を下げると重心が下がるのでクルマの運動性能が向上するわけですが、実際はキャンバ足りなかったのがちょっと増えた分も結構あったんじゃないか?とか思ってますが笑
でもでも重心を下げるというのはスポーツカーにとってすごく重要です!
運動性能が向上するのは何故か?
タイヤが発揮できるグリップは、そこにかかる荷重が大きくなるほど、どんどん"増えにくくなっていく"特性があるからですね。
したがって4輪の荷重が均等でなく偏りがある状態では、「荷重が小さい側で減ったグリップ」のほうが「荷重が大きい側で増えたグリップ」よりも大きくなり、4輪トータルとしてはグリップ力が減ってしまう。
荷重というのはなるだけ均等なほうがいいんです。
重心を下げると、同じ縦Gあるいは横Gがかかったときの荷重移動量が減って偏りが少なくなりますから、グリップのロスが少なくなってくれます。
したがってコンマ1秒でも削りたければ車高は地の底まで下げなきゃいけません。
シャコタン万歳!
ただし気をつけなきゃいけないことがあります。
昔は純正サスのばねだけ切って車高を下げる、ということが一般的だった時代がありました。
そうすると車高が下がると同時にバンプストロークも減ります。
バンプストロークが減るとどうなるか?
ブレーキングやコーナリングですぐにバンプラバーに当たって底突きしやすくなり、底突きしている側のタイヤに過剰な荷重が乗る=反対側のタイヤから過剰に荷重が抜けることで、荷重の偏りが余計にひどくなってしまいます。
しかもタイヤには許容荷重があるので、ある一定の荷重を超えて過剰な力が加わると、発揮できるグリップ力はさらに減ります。
進入でアンダー、出口でオーバー、全体的なグリップ力も落ちてしまう上に、酷いと過荷重によるタイヤ変形で走行抵抗がめちゃくちゃ増えて失速症状まで出るので最悪です涙
ローダウンスプリングで車高を落とす場合も、ダウン量によっては似たようなことが起こります。
でもこれ厄介なのが、サーキットみたいな路面だと、場合によってはなんとなく乗れてしまうんですよね。
ただ「何となく遅い」。
そもそも車高を下げるとジオメトリ的にアンチダイブ・アンチリフト・アンチスクワット・アンチロールの働きが減ることから、そういう意味でも底突きしやすくなるので、車高短のクルマというのはバンプストロークとの闘いです。
ちなみに「底突き」といっても大きく分けて2パターンあり、(1)「1Gですでに底突きしている場合」そして(2)「1Gでは底突きしていないけど、実際に走ると底突きする場合」です。
もっと言えばウレタン製の柔らかいバンプラバーなどは、ちょっとだけ潰れた状態とギューっとめいっぱい潰れた状態では硬さが全然違うわけですが、まぁそういうことも含めて、硬くなってサスペンションがストロークしなくなるのが底突きですね。
ところでバンプストローク、リバウンドストロークなんて話をしていると「理想的なストローク・バランスというのは何対何なのか?」なんて話が出ることがあります。
「50対50が理想だ」「いや40:60だ」とか言いますが、これ、基本的には一般道を合法スピードで走る前提のお話なので、サーキット派の方は話半分で聞いてもらって大丈夫です。
例えばホイールレートの前後バランスなどは直接ステア特性に影響しますから、ばね定数の選定というのは大事です。
車高の前後バランスもロール軸の傾きに影響するので大事です。
でもバンプ:リバウンドのストロークバランスそのものは、運転特性に直接影響を与えるわけではありません。
変な話、余ってればいいんですよ余ってれば。(おいおい)
底突き/伸び切りが発生しないのであれば、割合なんてただの数字です。
とは言え安全のために最低限の余裕は確保したいのですが、まぁそういったわけで一般道を走る場合とは事情が異なるわけです。
もっと言うと例えば僕のロードスターの場合、ダンパが底突きするより前に、フロントはタイヤ天突き、リヤはアームロックがストローク限界になります。
だからダンパのロッド部分におけるストロークバランスが何対何か?ということは、そもそも実際のストローク限界と関係がありません。
前後バランスの関係でフロントはタイヤ天突きまでもかなりの余裕がありますが、リヤはどうしてもストロークがギリギリなので、
アームにパテ貼ってアームロックまでの余裕がどれくらいなのか?を管理しています。
というわけで「底突きするのか?伸び切りするのか?しないのか?」「するのであればどのくらいの程度なのか?」ということが、タイヤが本来持っているグリップ力を十分に発揮させるためにとても大事です。
ストロークバランスが何対何だ、とかいうよりも、「底突きまで何mmなのか?」「伸び切りまで何mmなのか?」みたいなことが大事ってことですね。
まぁロードスターなどの車種であれば伸び切りに関してはあまり気にする必要はありませんが、AE86のフロントやFF車のリヤなどはコーナリングで浮いてしまうことがあるので、車種によっては伸び切り側の余裕も管理しましょう。
僕がまだ純正サスペンションで走ってた頃、たまたまタカスに来てた大井貴之さんに「あのね、ブレーキを強く踏み過ぎだよ」って言われたことがあるんです。
純正サスで普通にタイヤ限界を使おうとするとブレーキングでフロントが底突きします、そのためブレーキを手加減して底突きを和らげるような走りをしたほうが結果的に速い。
「タイヤの感触的にはこれで行けるはずなんだけど…」ってことしか頭になかった僕はその場ではちょっと納得いかなかったのですが、後になってその理由が分かりました。
タイヤの声を聞くのは大事ですが、サスペンションの状態が悪いと「騙される」ことがあるので注意が必要です。
アライメントや減衰力のセッティングをとことん煮詰めて完璧な状態に仕上げていても、ダンパの底突きやアームロックなどが原因でグリップが頭打ちになっていることがあります。
サスペンションのストロークが変なところで止まってしまってタイヤ本来のグリップ力を発揮できない状態になっていないか、改めてチェックしておきたいですね!