モータースポーツって他のスポーツとすごく違いますよね。
とにかく「道具の差」が大きい。
道具を使うスポーツであればどんなスポーツでも道具の差というのはあると思います、水泳で言えば水着の抵抗の差だったり、陸上で言えばシューズの差であったり、テニスで言えばラケットの差であったり。
でもモータースポーツはその差がとにかく大きいですね、同じ人が運転しても軽トラとフェラーリではタイムがめちゃくちゃ変わってしまいます。
F1など大きなレースの場合、基本的にはチームスポーツなので、クルマを用意するところからセットアップまで含めて競技の一部ですね。
個人で出場するものであっても、セットアップの良し悪しで結果が左右される以上、それが実力の一部ということになります。
ただ僕、クルマの性能を競うのってあまりスポーツ性を感じないんですよ。
いやそれは人それぞれ好みがあるので「それが楽しいんじゃないか!」っていう人もたくさんいると思うし、それはそれでいいと思うんです。
ただそれってどちらかというと「作品」を競うようなものですよね、絵画とか彫刻とかみたいに。
それはそれで競えばいいけど、僕はそこにあまりスポーツ性を感じません。
僕サーキット走るのめっちゃ好きなんです、結構走ったけどまだまだ出来てないことがたくさんあるし、「今まで出来なかったことを、練習して出来るようになる」ってすごく楽しいですよね。
散々タイムを追い求めて走って一番最後に自己ベストを更新した後、タカスのオフィシャルカーの86で初めて岸下さんドライブの横に乗せてもらったら、「この運転と比べて自分はなんて下手だったんだ」って改めて思いました。
ちょっぴり落ち込んだんですけど「まだまだ伸びしろがある!」と真正面から感じられたので、それはそれで嬉しかったですね。
先日もご紹介しましたが、フォーミュラジムカーナ立ち上げの一人であるTGRの石井さんが、動画の中でこんなふうにおっしゃられています。
(フォーミュラジムカーナ立ち上げに込めた思いを聞かれて)
「やっぱり僕自身がずーっと、大学の自動車部時代から、こういう競技だったりモータースポーツずっと好きで、そのときから大井さんにはね、大変お世話になってますけども。大学での活動であれば学生自動車連盟っていうところの大学対抗戦が一番大きな大会にはなるんですけれども、どうしても大学の資金力であったりとか体制だったりとか、僕らが入る前からずっと続いている状況によって自分たちの戦力だったり環境っていうのが決められてしまっていて、結構それが結果に直結してしまう状況があったので、それをどうしても何とかしたいなっていうのを当時から考えていて。
で、僕自身はそれが嫌だったので、あんまり部の活動には参加せずに、大井さんがやっていたディレチャレとかにプライベートでやっぱずーっと出てたんですよね。で、そっちはそっちで、やっぱり資金力が…あれ社会人と僕、学生で戦ってたので、それも大変だなーって思って、JAF戦とか就職してから全部出たんですよ、全日本ジムカーナ、ダートラ、ラリー、スーパー耐久。
そういう今、全部のカテゴリを見た中で、やっぱり学生のこういう青春のときっていうのは、他の、サッカーだったりラグビーだったり野球だったり、そういうスポーツと肩を並べられるような状況に今ないなと思っていて、それを実現するためにはやっぱり腕だけ、学生の努力だけで差が出る、結果が出るモータースポーツっていうのを何とか実現したいなと」
厳密に言えば野球でもサッカーでも「勝てるかどうか」は入る大学で変わります。
それはチームスポーツなのでそうなんですけど、でもそれが資金力や設備によって生まれた大きな差なのかというと、必ずしもそうじゃないですよね。
対してモータースポーツはそういう面が、他のスポーツに対して圧倒的に大きいです。
良いとか悪いとかなじゃなくて、そういう側面がある。
でもそれが嫌で「純粋にウデだけで勝負したいのにな」っていう人はたくさんいると思うんですよ。
クルマ速くするのが悪いって話じゃないんです、そうじゃなくて、「ウデだけで競うほうがいいな」って人はいっぱいいて、その人たちはずっと複雑な思いを我慢しながら、その人なりの関わり方でモータースポーツに関わってきたと思うんですね。
僕で言えばロードスターの足回り死ぬほどいじってますが、エンジンはエアクリからマフラーまで今でもずっと純正のままです。
足回りも別に純正が乗りやすかったら全く触る必要なかったんです、乗りにくかったので仕方なく、乗りやすいように変えましたが。
タイヤも最初は純正でした、そこからグレードアップさせたけど、何度かグレードダウンもさせました。
タイヤをグレードダウンさせるとタイムは落ちますが、その都度、やっぱり楽しかったですね。
さすがにコンフォートタイヤ使ってたときのレスポンス不足はストレスがなかったわけもないですけど、結局モータースポーツって「そのクルマが持ってる性能が100%あるうち、どこまで限界に近いところを出せるか」ってことなんで、クルマの性能の絶対値が大事なわけじゃない。
もちろんクルマの性能が上がれば運転が難しくなっていく面はありますが。
なので性能が低いほうがいいとは思わないけど、決して高くなくてもいいんですよ。
タイムは遅いほうがいいとは思わないけど、必ずしも上がり続けなくていいんです。
結局スポーツって誰と戦っても、究極的には自分との闘いじゃないですか。
頑張っていっぱい練習したら、大一番でやることは「誰かに勝つ」とかじゃなくて「自分の実力を出し切る」ことですよね。
レギュレーション違反がバレないようにズルしたり、資金力に任せて周囲より圧倒的に有利な状況を用意したりすれば、実力に劣ってる人でも勝てるチャンスがあるかもしれません。
でもそれってフェアじゃないし、相手に対するリスペクトもないですよね。
スポーツの精神があるかどうかが大事。
それは競技とかじゃなく「趣味で楽しんでるだけ」って人も無関係じゃなくて、ていうかほとんどの人がそうだと思いますけど、「自分とどう向き合うか」ってやっぱりすごく大事で、趣味と言っても真剣にやるかどうかですごく中身が違ってくると思うんですよね。
例えば大谷翔平を羨んで「彼はすごく才能があっていいよね、僕には才能がないから…」という意見があったとする。
実際、才能の差はあるかもしれませんが、僕、そういう意見ってあんまり好きじゃないんですよ。
「そんなこと言えるほど、まずお前は努力をしたのか?」と。
で、これ他人に対してだけじゃないんです、僕自身に対しても当てはまるんですね。
「あの人は速いなぁ、自分とは素質が違うんだろうなぁ」そう思う瞬間って、何かしらスポーツやってれば絶対あるじゃないですか。
その都度自分に対して「考えること、そこじゃないだろ!」って思うんですけど。
そういう意味でもスポーツの精神って大事で、自分自身と真剣に向き合うほど、やっぱり得られるものも大きいというか、自分にとって価値あるものになると思うんですね。
そういうの全部含めて、フォーミュラジムカーナってすごく良い取り組みだと思うし、アツいと思いますね。
なんというか、モータースポーツが「お金に余裕のあるおじさんの趣味」で終わってしまったらイヤだなって思うんですよ。
いろんなカテゴリあるので、どうしてもある程度の資金力がないと勝てないところがあるのは仕方ないです。
でも「お金はないけど、やる気はあります!」って若い子が、必死に頑張ればそれなりの結果が出せるようなものがあったほうが、やっぱ、いいじゃないですか。
業界全体として。
若い子は人口そのものが少ないし、その中でもクルマに興味持ってくれる子って減ってるのかもしれないけど、その中でも「走るの大好き!」っていう子はいるわけで、そういう方々が悲しい思いをすることなく思いっきり楽しめる舞台があったらこれからのモータースポーツの未来は明るくなるんじゃないかなって、やっぱり思いますよね。
現状、大学の自動車部に所属してないと参加できないですけど、こういう考え方や雰囲気が、もっともっと広がっていったらいいな。
なんて思う今日この頃です。
あぁ、おじさんになった…笑