
昨年秋。母の入院・手術の間1週間ほど実家にいた際、両親が誂えてくれた
黒紋付を呉服屋さんへ持参しました
昔は祝い帯を締め結婚式に出ることもあった黒紋付ですが現代は喪服のイメージが強く、なおかつ
着用できるのは一周忌法要までと呉服屋さんの若旦那に教わりました
嫁入り道具の一つで嫁いでから「お守り」として、悪いことから守ってくれるという願いを込めて嫁ぎ先の紋ではなく実家の紋で仕立てられます

背中:背紋はご先祖様・左右の胸:抱き紋は両親・両袖:袖紋は兄弟・親戚
『タンスに眠っている着物には、両親の愛が詰まっている』
とある記事に
「誰も着ていないから」「面倒だから」という理由で両親の気持に気づかずして着物を着ないとは、非常に寂しく残念なことと記されていました
一周忌は黒紋付にしよう
せっかく仕立てて貰ってあるのだから
三回忌は色紋付にしよう
お着物は、お嫁さん受け継いで欲しい
一人で着れないため、お世話になっていた美容室に電話すると自宅で着付けて頂けることになりました。1番の心配ごとクリア(*•̀ᴗ•́*)و ̑̑
小物類は夏用(絽)と2つ準備されていました

画像は100均のバスタオルハンガー。心配していましたが着物ハンガーありました(笑)
はじめて広げた黒紋付。紋の数は、1つ、3つ、5つの3パターンありますが、格式の高い五つ紋(正礼装)、さらに私の名前が記されていたと知り涙が溢れました
幼い頃から着物に親しんできたくせに。立ったり座ったり、着崩れしても多少の直しくらい出来るのに・・・。
葬儀に着用しなかったことを後悔した
バカ娘
ほんとダメじゃん・・・
父の逝去から一年、祥月命日である5月18日
着付は仏間で、まず小物チェック。お互い「変わらないね!」と言いつつ姐さん(私より8歳上)のお母様も歳を重ね・・・。人それぞれですが、悩みのない人はいないのかもしれない
終始「衿芯は?」「・・・なんのこと?」「ぜったいに、あるって!探してよ‼︎」「・・・見つけた‼︎」
「タオル持ってきて」「太ったけど要る?」
(最近とくに肥えましたがウエスト周りを平らにするためタオルで調整します。若いお嬢様方は痩せすぎでバスタオルを巻くのだとか・・・笑)
一時間半ほどで着付けが完了、やっぱり着物って良い!姐さんにお願いして良かった!
何を隠そう・・・
世間知らずな私は、葬儀だというのに時計や指輪を着けていた。「恥知らずにも程がある」といった経験をし(無知って嫌だね!)仏事に洋装は懲り懲りで「来年もお願いします」
(ちなみに法事も同様、時計を着ける場合ベルトは革製(黒)、結婚指輪以外は着けない(当たり前ですね)といったマナーがあるそうです)
心配していたPRADOの助手席は思ったほど大変でもなく(シートポジションの低い車の方が大変です)着れるうちは和服を、仏事は和装を着用したい!と強く思いました
一周忌の御本尊は
大勢至菩薩さま
十三仏について詳しくは「いろいろな 仏様」 (真言宗HPをご参照ください)

真言宗では回向の精神を重視しており、功徳を積み、その功徳を回向する ・・・
酸素マスクが外れたと連絡を受け、大喜びしたその翌日の旅立ち。通夜・葬儀(喪主)、四十九日、新盆、百箇日法要。右往左往しながら、どこか受け入れきれずに過ごした一年間、本当にあっという間でした
一人娘ゆえ、なさねばならぬこと。まだまだ未熟者ゆえ、迷うことも失敗することもあるでしょう。時に立ち止まったとしても、後ろを振り返ったとしても。分からなければ教わりながら、一歩ずつ前に歩もう ・・・
両親が誂えてくれた黒紋付、着用した姿を母にみてもらいたい。その姿を私は縁起が悪いことだとは思いません。絽の黒紋付の着用から二十数年、黒紋付のお世話にならずにいれたのは幸せなこと、そう思っています
一周忌法要後、母の施設に出向き面会。無事に一周忌法要が済んだと報告、この後お墓にお塔婆を建てに行くこと・・・
私の報告より「どれどれ、よく見せて!」「小さな頃から、たくさん着物を着たよね」「でも襟が・・・」とチェックも欠かさず(笑)
感謝の言葉、きちんと伝えていますか?
今回のお経も、父母恩重経。私が生まれてから今日に至るまで、両親に多大なる恩がある・・・
黒紋付も、その一つ「五つ紋の、格式高い黒紋付をありがとう」感謝の言葉を、自分の口から伝え「来年の三回忌、色紋付を仕立てたい!って思うの」
久しぶりに母に満面の笑みが溢れ、感謝の言葉を伝えられて本当に良かった・・・。
黒紋付に袖を通す日は、そう遠くないかもしれない。その日は一日でも遠く、穏やかに過ごしてほしいと願わずにいられません
葬儀に参列出来なかった母の代わりとしてお供えしたお花

今年は寒かったのか、蕾の状態です。お供えしたカラーの株だけ、たくさん蕾をつけていたことが不思議・・・
勢至さまが行くところは、500億の花々が咲き乱れるとお経に書かれているのだとか・・・。
花々に囲まれた極楽浄土を願い、御先祖様といつも見守ってくれている。そう願っています
2025/05/18 裕
ブログ一覧
Posted at
2025/05/19 21:09:55