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図面屋のブログ一覧

2011年07月04日 イイね!

MSアクセラにリアウイングは必要か???  核心にせまる?第7回 前下がり+リアウイングというセッティング

私がどれだけFF車でもリアウイングが役に立つかもと主張(そのように誘導してきたし、これからする予定www)しても説得力が足りないので、今回はFFとFRが混走する上にタイヤがワンメイクというちょっと変わったカテゴリーをお手本に考えていきたいと思います

日本にもここ数年やってきてますがWTCCというカテゴリーがあります
元々はFIAの定めるスーパー2000というカテゴリーだったのですが、最近ではダウンサイジングした1600cc直噴ターボで争うようになっているようです

ワークスの参戦はなくなりましたがエンジン供給は続けられ、DTMがメルセデスとアウディだけの仁義なき戦いであることを考えると、ヨーロッパで販売されているクルマ同士の代理戦争であり、90年代後半のJGTCや消えてしまったJTCC(元々これもスーパー2000だったような…)のようなものかな、と思っています

このレース、タイヤはヨコハマがワンメイク供給していますが、FFとFRが混走でもタイヤサイズは1つ240/610 R17 (ドライタイヤ)が供給されるだけです

ローテーションの関係上、前後のタイヤサイズが同一に制限されるFFユーザーと同じで、フロントを太くしてバランスを…なんてできないのです
そんなカテゴリーですが、FRは勿論、FF車両と言えども程度の差はあれリアウイングが装着されています

WTCC参戦のFF車、ぱっと見の印象ですが「レーシングカー」というよりは「チューンドカー」に近い感じです…いやツーリングカーレースって本当は市販車ベースだから「チューンドカー」ぽくて普通です、日本のハコ車最高峰「SGT」がやりすぎなだけですね

何故チューンドカーのような印象を受けるかというとWTCCのFF車結構前下がりのセッティングで「峠のセオリー」的に見えるので(笑)

この前下がりにリアウイング搭載というセッティングは一体クルマの挙動にどんな影響を及ぼすのでしょうか?


「荷重」と「質量」の話をした辺りでアンダーステア特性を軽減するには「質量」を増やさずにフロントの「荷重」を増やす必要があると書きました
フロントの荷重が増える前下がりセッティングは基本的にこの条件に合致します
車高セッティングによるフロント荷重増加はその他の条件を変更しない限り変更前に比べて定常的に発生します
FF車にとって荷重移動が使えず(むしろ減少する)しかもフロントタイヤのグリップ力を駆動力にもコーナリングにも振り分けなければならないコーナー立ち上がりでも変更前に比べて荷重がかかりグリップ力が向上します
またリアの荷重も減少していますからグリップ限界を超えた際のアンダーステア特性は弱まります
コーナークリップ付近と立ち上がりにおいてはグリップ力自体少しでも理想に近いステア特性に近づく可能性があると言えるでしょう
コーナー進入時においてもフロントグリップ力の向上は「荷重移動」で充分にフロント荷重が乗るため、「荷重(接地面圧)が2倍になっても摩擦力は2倍にならない」という法則のため効率はあまりよいとは言えませんがグリップ力は向上し、リア側の挙動がある程度の不安定さで収まる限り旋回能力は向上するのではないかと思います

前下がりのセッティングで問題になるのは進入時、直進状態もしくは小さな舵角で走行しながらブレーキングを開始し、旋回の為ブレーキをリリースし始めるまでの段階ではないかと思います
本当にまっすぐ走ってる状態はレアですが、仮に直進状態で大きな外乱の影響を受けずブレーキング出来た…と仮定してみましょう
この時前後の質量のバランスはあまり重要ではありません
市販車ではなかなかできませんが、ブレーキンバランスを的確に調整できるとすれば、前後のタイヤのグリップ力の合計が最大制動力を決定します
この段階ではリアタイヤにも充分なグリップ力が欲しい…とも言えます
また「荷重(接地面圧)が2倍になっても摩擦力は2倍にならない」という点から考えると前下がりのセッティングは前後合計のグリップ力は理屈の上では低下しますのでブレーキングには不利とも言えます
極端な例ですが、ブレーキング時にリアタイヤがグリップ限界を超えてしまえばどうなるでしょうか?
路面からの外乱の影響をうけて(先程は外乱なしなんて仮定してたのですが)ステアリングによる修正が必要になったり、ブレーキ踏力を弱める必要があります
こうなってしまうとブレーキングが充分でないまま転舵を開始しオーバースピードからグリップ限界を超え、越えた時の「荷重移動」の状況次第でアンダーステアもオーバーステアも発生します

つまり前下がりのセッティングを施し、アンダーステア傾向を減少させたい、フロントのグリップ力を上げて旋回速度は向上させたいのですが、同時にブレーキングではリアのグリップ力、リア荷重が欲しいわけです
まとめてしまうと、ブレーキング→転舵→クリップ付近での理論上の定常円旋回に近い領域→コーナー立ち上がりで、ブレーキングをリアグリップ力の頂点として矢印の順にFF車にとってはリアグリップ低下とフロントグリップの増加が発生しアンダーステアが少ないことが望ましいという傾向になります

この一連の流れをダウンフォースに関連する速度(対気速度)で考えると
ブレーキング開始時が最も高くクリップを通過して加速を始めるまで減速を続けます
つまり欲しい時にリアグリップが高まり、フロントグリップに対して相対的にリアグリップが小さくなってほしい場合にリアグリップが低下する傾向をたどるわけです
非常に都合がよい話ですね
加速を始める立ち上がりからは再びリアグリップが増加し始めて、アンダーステア傾向が強まりますが、フロントのグリップ自体は低下していませんね
前下がりのセッティングであればフロントのグリップそのものは向上していますから、限界に達するまでの旋回速度は向上し、速さは得られるわけです

リアウイングを取り付ける事を前提に前後の荷重バランスを設定してやれば、「荷重」という点に絞れば速く走れる要素が増えると言っていいのではないかと思います

ここまで凄く長くて自分でも何を書いてきたかちょっと忘れていますが、このシリーズで色々書いてきたことを理由(レース車両が付けているというだけでなく)として私は
「MSアクセラ(ハイパワーFF車)にもリアウイングは必要」と主張したいと思うわけです

ただし順序としては「荷重」のみに話を限定すれば「前下がりの姿勢」によるフロント荷重が「主」、そこで生じるデメリットの対策としてのリアウイングが「従」であると考えます

よって車高を調整できない場合、FF車にとって「リアウイングは飾り」であり、抵抗以外何も生み出しません
ですから人によってリアウイングなんかいらないという主張も決して間違っていません

ですが、とりあえず私のMSアクセラの使用目的、クルマの状況においては「速くなる可能性は充分ある」のはリアウイングに懐疑的な方にも分かっていただけるのではないかなと思います

とりあえずここまで主題となっていたリアウイングと荷重の話はここでおしまいです
もう少し補足というか蛇足な話がありますので番外編として、日常ブログの合間にでもネタ不足の時にやりたいな~と思います

長文のシリーズものにお付き合い頂きありがとうございました
Posted at 2011/07/04 13:03:16 | コメント(2) | トラックバック(0) | アクセラでサーキット | 日記
2011年07月02日 イイね!

MSアクセラにリアウイングは必要か??? ちょっと昔話の第6回 図面屋がリアグリップの欲しい時

9~10年程昔、当時でも既に10年落の4WDターボに安く譲ってもらったTEINの車高調突っ込んだ程度のクルマで時間とお金の都合がつく限り鈴鹿サーキットに通い続けた「馬鹿」がいました
後の図面屋です(爆)

ランエボ、インプの新型が電子制御を備えて「4WDだって曲がる」時代に突入していましたが、そういった最新鋭装備を手に入れられない「馬鹿」は少しでもアンダーステアを抑えようと小細工を繰り返しました
今回はそんな昔話からの戦訓を1つ

とにかくS字でクルマが曲がらない(実は曲げられないだけ)と考えた「馬鹿」は乏しい知識と弄り資金でフロント荷重の増加、アライメントの変更等と、とにかくアンダーステアを消すことだけを目的に突き進みました

少しずつですがS字で曲がりやすくなりました…がタイムは一向に伸びません
S字はいいけど他のコーナーでは曲がり難い感じがすることも…
「馬鹿」は「このあたりがクルマの限界かな~」と考え始めました
そんな時「馬鹿」はついにやらかしてしまいました
当時、鈴鹿に行く時は1時間程度の走行を2枠走る事が多かったのですが、2枠ともスピンしてグラベルにストップ、しかもスピンした箇所は130Rにスプーン入口とメーターが振り切る領域から「気合い一発www」で突入するコーナーでした
「馬鹿」は「こりゃタイヤをよくしない限り無理」とビビり、ジムカーナで使うようなソフトコンパウンドのSタイヤが手に入るまではタイムアップを諦め、クルマを壊さないよう「アンダーステア」な状態に戻すことにしたのです

そんな状態でタイムアップを期待せず鈴鹿を走行する機会がやってきました
「馬鹿」の思ったとおりS字はやっぱり苦しくなっています
ところが1コーナー、デグナー1つ目、スプーン進入に130Rと「アンダーステア」に戻したはずなのに気持ちよく走れます
そしてあっさり自己ベストを更新したのです
ま走り込んだ分腕が上がっていますし、スピンした感じまでは踏み込んでもクルマを壊さない事に気がついたのでしょう(笑)
それでも「アンダーステア」に戻して気持ちよく走れる区間があることに疑問は生じました

当時の図面屋は大いに悩みます
そこで今一連のうだうだやっているような事を考え始めたのです

少し考えれば当たり前なのですが、高速コーナーからブレーキを伴う進入ではブレーキングによって大きな荷重移動が発生します
フロントの荷重が増えてリアが減るわけで「アンダーステア」は弱められるわけです
ところが「荷重(接地面圧)が2倍になっても摩擦力は2倍にならない」ためフロントグリップの向上に対してリアはより多くのグリップを失ってしまいます

当時の図面屋は「ニュートラルステア」という限界時の挙動を求めてブレーキングを伴うコーナーでの最大グリップ力を「捨てていた」わけですね(汗)

そして鈴鹿のS字はパーシャルスロットルで延々と上り坂です
私は誰かと比べるわけでなく「アンダーステア」と感じていましたが、そこらで売ってるようなクルマを買ってきて転がす限りどんなクルマでも曲がり難い条件ですよね
みんな曲がり難いところを自分だけ理想的に曲がれるはずはないし、もしできたとしてもそんなクルマは「ネタ」でしかありません

4WDではありませんし、まだミニサーキットしか走っていませんが、MSアクセラにも高速コーナー進入ではもう少しリアが粘ってほしい(今ならもっとブレーキ使ってフロント荷重増やしちゃえと思える…成長したな、俺www)、低速コーナーやブレーキングを伴わないコーナーでは「アンダーでもオーバーでもかまわん」からグリップ力(旋回Gの向上)欲しいというスピンした後に少し賢くなった「馬鹿」と同じようなものを求めています

この要求にリアウイングが発生するダウンフォースの特性が完璧ではないにしろマッチする…と思えませんか?

荷重移動がある程度できる、前後の車高が調整できるならリアグリップが欲しい時に手に入りグリップ限界を上げられると私は思っていたりするのですが…その辺はまた次回ということでm(_ _)m
















Posted at 2011/07/02 12:05:35 | コメント(1) | トラックバック(0) | アクセラでサーキット | 日記
2011年07月01日 イイね!

MSアクセラにリアウイングは必要か??? ようやく第5回 ウイングの話

ようやく本題のウイングの話です

…が、クルマ好きの方が多いので今更ベルヌーイの定理とか、コアンダ効果とか、迎角の話をしても仕方ないかな~と思ってます

いや実は簡単には書いていたのですが、これ書いているちょっと前にも停電があって消えてしまいまして(´・ω・`)
携帯に切り替えました
ということでもう面倒だしいいかな~と(^_^;)

ウイングと荷重の関係をサラッとまとめると「空気抵抗と引き換えに速度の二乗比で荷重が発生する」という感じです

アクセラにリアウイングを取り付けた場合、速度が出れば出る程アンダーステア特性となると言う事になります
…うーん、これだけではわざわざリアウイングを取り付けてみようと言う気は見た目一発勝負以外に起こりませんね~

やっぱり空力に一家言あるお方がおっしゃるように素直にフロントにカナードなりを追加する方がいいのですね

…では話が終わってしまいます

とりあえず今回は書いた内容が一度消えてしまった精神的打撃がありますので、ここで終了させて頂きます



次回のネタふりなんですが、皆さんはFF車を運転していてどんな時にアンダーステアが気になりますか?
逆にどんな時にリアのグリップが足りないと感じますか?

それらを鑑みて、速度が速い程アンダーステア特性が強くなるのは果たして「悪」でしょうか?
そして単純なモデルで考えた場合、リアウイングを取り付けた時FF車の旋回速度は遅くなってしまいますかね?

何だか宿題を出すみたいで少し気分がいいですね~(笑)
Posted at 2011/07/01 21:46:43 | コメント(2) | トラックバック(0) | アクセラでサーキット | 日記
2011年06月30日 イイね!

MSアクセラにリアウイングは必要か??? さくっと軽めに第4回 荷重の話

今回は短く行きます
なんたって結論が前回出ていますからね

FF車のアンダーステア特性を解消、改善するには質量を増やさず(できれば多少減らして)荷重を増やせば良いわけです

…あれ?当初の目的とは別の事言ってますね…(^_^;)
ま、実は色々条件がありますけどリアウイングそのものはアンダーステアを解消する為に欲しい訳ではないんです
よってこの段階では矛盾しません…という事にしておいて下さい(笑)

さてサーキットで走ってみてもう少しフロントタイヤがグリップして欲しい時、皆さん何をしますか?

私は過去、フロントのトレッドを広げましたが…これは荷重の話ではないですね(笑)

一般的な対策としてはフロントの車高を下げたり、逆に(制限がある場合)リアの車高を上げて相対的に前下がりの姿勢にします
これ、一体何が起きているかと言いますと、質量を変えずフロントの荷重を増やしているんです

これでフロントタイヤに掛かる荷重が増え、ついでにリアの荷重が減少しアンダーステア傾向が減少してくれるわけです
他にもサスペンションの部分である影響が生じますが…そちらは別の機会に

前下がりの姿勢はそうでない時に比べて加速時も減速時もフロントに荷重を与えてくれます
じゃあとことん前下がりにすれば良いかというと決してそうではありません
前回の話の一つ「タイヤは設置面圧力が2倍になっても摩擦力は2倍にならない」というのがありました

言い換えれば前後の荷重が不均衡になると、合計した荷重が同じでも前後のグリップ力の合計は小さくなってしまいます
何だか損した気がしませんか?
まあ、有り余るリアグリップを効率が悪いとは言えフロントグリップに変換できるのだからガマンできますが、FFと言えどもリアのグリップが欲しい時はありますよね?

ようやくここまで来てリアウイングに通じるフリができました(笑)
次回はウイングというかダウンフォースを生む空力パーツの話で行こうかなと思います
Posted at 2011/06/30 21:38:32 | コメント(1) | トラックバック(0) | アクセラでサーキット | 日記
2011年06月30日 イイね!

MSアクセラにリアウイングは必要か??? 長いぞ第3回 アンダーステア特性と質量

MSアクセラにリアウイングは必要か??? 長いぞ第3回 アンダーステア特性と質量厚くて(脂肪がwww)余計暑く感じるもので昼飯なんざ食ってらんね~状態の図面屋です
持て余した昼休みで第3回を書いていきます

前回は「質量」と「荷重」が違うよという基礎物理の話で非常に退屈でしたね(汗)
前回のフリから行けば本当は「荷重」の方を使ったお話を進めるのが筋ですが、リアウイングがどう働くかの前にステアリング特性から行くのが本来の順かな???と思いまして、「質量」からくるアンダーステアのお話です

駆動形式や重量配分(より正確に言えば質量配分か???)によって色々な話をするべきですが、「足跡」の傾向からすると多くの方がFFユーザーなのでここではFFのみに焦点を絞ります

FRユーザーの方にもご覧頂いてますが…私より「走る事」に長けている方が多いので問題ないですよね(笑)

今回は足回りのアライメントとか前後のロール剛性の差からくるステア特性の変化とかはすっ飛ばします
いや、すっ飛ばさせてくださいm(_ _)m
足回りの話をしてしまうとそれだけで長期連載が出来てしまうし…同業者が酒飲みながら足回りの話を始めると朝まで終わらなかったりします(汗)
私ごときペーペーの図面屋が理解しきれるような浅い世界では…orz

「FFはフロントヘビーでアンダーステアが強い」というセリフ、クルマが好きな方なら必ずどこかで目にしたり耳にしたことがあるかと思います
全くもって正解ですが、ここで言う「フロントヘビー」というのは前回でいう「質量」の事なんですね

簡単に説明しますと
クルマが旋回(円運動)する為には回転軸に向かう力が必要です
遠心力(慣性力)に対抗する力ですね
宇宙ステーションが地球の周りをグルグル回っていますが、アレの場合地球の重力がそれに相当します

クルマの場合、クルマが何らかの力を外に発揮するにはタイヤの力しかありません、タイヤの横方向へのグリップ力が回転軸に向かう力を発生させます

遠心力(F)={質量(m)×速度の2乗(v*v)}/回転半径(r)
これに対応するだけの力をタイヤが発揮しなければなりません

ようやく質量がでてきましたね
そうなんです、コーナリング時にクルマに掛る力は単純モデル上では「質量」だけ考えればOKなんです
(いまさら当たり前すぎですか…orz)
地球の上だろうが月の上だろうが、旋回に必要な力はどこに行っても同じですね、重力加速度は考慮しなくていいのですから

でタイヤのグリップ力が遠心力に負けてしまうとクルマは円運動の中心から離れていきます…宇宙ステーションであれば地球の重力を振り切る位の速度を得ると周回軌道を外れどこか遠くにイスカンダルにでも逝ってしまいます
…あれ???これではどんなクルマでもアンダーステアになってしまいます…orz
うーん、実はですね急激にグリップ限界を超えた場合は今示したのと同じ現象が起きるはずです学問的に(汗)
その場合「曲がれない」はずです、どの駆動形式でも
「ドリフトなんか見てると凄い角度で内側向いてるじゃないか!!」と怒られそうなんですが…


少し本題から外れますが、「ドリフト」って「オーバーステア」なんですかね?
私見ですが、乗ってる本人から見ればステアリング操作以上にクルマが内側を向き、カウンターステアさえ必要ですが、クルマから離れて俯瞰からその走行軌道を見たら本来曲がれるはずの軌道から外に外れている事、多くないですか?
勿論曲率の小さいコーナーに合わせて上手く集束させたりできますし、分かりやすく「アンダーステア」のように見えませんがタイヤの向きに(タイヤのスリップアングル)対して充分にクルマの進行方向は変わっていますか?
フロントはカウンターステアがあるので分かり難いですが、仮にリアタイヤだけに注目した場合、どうでしょう?

人それぞれ「アンダーステア」とか「オーバーステア」とかに対して捉え方があるとは思いますし、どれも間違ってはいない(私と違う考え方であっても現象の過程と結果、切り取って表現している部分が異なるだけで、過程と結果の区別もお互いにあいまいなところもあり事象のある時点ではどちらも正しいのです)
ハンドルを切った量、「操舵角」に対してクイックに反応するとか、ドリフトに代表される「ヨー」がどう出てくるかはちょっと置いておきます
ま、操舵角もヨーも影響を大いに与えるんですけど、あまりにケースバイケースなんで…

さてと本題に戻ります
じゃあアンダーステア特性とかオーバーステア特性とは結局何なんだよと言うことになります
実際クルマを運転していてタイヤが一気に限界を超える事は…まあ意図的に発生させるのを含めると実は結構ありますが…サーキットのような綺麗なドライ路面を走っているとそれ程ありません
多少スキール音を出しながら(この段階でスリップしています)じわじわと限界を超えます
この時に注目してみます

FF車のタイヤは前後同じサイズであることが大半です
ここからは勝手ですが経験則からいくつかの事を定義します
説明していたら簡単なレポートが書けてしまうレベルになるので割愛させて~(泣)

まずタイヤにおいてクーロンの摩擦の法則
 摩擦力F=μmg(mgはタイヤに掛る荷重ですね)
のμ(摩擦係数)は質量mが大きくなる程 小さくなると定義します
測定や経験則においてその傾向は確認されていますし、色々なデータがあれば摩擦係数を導き出す方程式もあるとは思うのですが…ちょっと私には理解できません
簡単に言えば荷重が2倍になっても摩擦力は本来のクーロンの法則の通り2倍にはならず1.5倍とか1.9倍にしかならないと言うことです
※本当は接地面に掛る圧力が2倍になっても摩擦力は2倍にならないと言う表現が正しいのですが、クーロンの摩擦の法則では面積の定義がありませんので、ものすごく簡略化しました
そもそも本来クーロンの摩擦の法則はタイヤのような粘弾性体には適応しません

もうひとつ、先程の遠心力の考え方でクルマを1つの点として定義しましたが、今度はふたつの点として捉えます
前輪軸と後輪軸それぞれを別な点としてそのふたつを剛体結合したモデルを想像してください、今回のブログに添付してある画像のイメージです
大きい赤い〇の中心がフロント車軸のセンター、小さい赤い〇がリア車軸のセンターで前後の質量は不均等で前の方が大きいとします(FFだからね)
この図はタイヤがグリップ限界を「じわり」と越えていく瞬間の状態の簡易モデルです
タイヤの限界を超える=スリップ率が発生するです
ハンドルから伝わる手ごたえで行けば、時たまステアリング反力が小さくなる瞬間を感じる「あの状況」が限界を超えるかこえないか、というか越えたり戻ったりしている状況であり今回定義している状況です
スピンするとか、煙が出るというのはタイヤの限界を大きく逸脱していると思ってください
最後にμの値をフロントは0.9、リアは1.0と仮に仮定フロント軸の荷重(から分かる質量)はリアの2倍 前後重量配分2:1 と仮定します
この場合、リア車軸が受け持つ質量をmとするとフロント車軸が受け持つ質量は2mです
摩擦係数は決して正しい数字ではありませんが「μ(摩擦係数)は質量mが大きくなる程 小さくなると定義」には当てはまっていますので傾向をつかむことはできますね

フロント軸が発揮できるグリップ力は0.9×2m×g(重力加速度で定数)
リア車軸が発揮できるグリップ力は1×m×g(重力加速度で定数)

グリップ力はフロントの方が大きいですね
この計算では1.8倍です
次にフロント軸とリア軸が受ける遠心力を考えてみましょう…って同じ円周上を同じ速度で回っていますから比率とすると質量の差がそのまま出てきます(数字自体でたらめだから計算する意味はあまりないですね)
フロント車軸側はリア車軸側の2倍の力がかかるのです

今回の計算でフロント車軸は回転速度(旋回速度)が上がればリア車軸より先にグリップを失い、回転運動を維持できなくなることが見て取れます

これがアンダーステアの発端です
続いてフロントタイヤがグリップを失った次の瞬間を考えてみましょう
タイヤが滑り始めて、回転運動から逸脱します
そうすると本来は車体という要素でフロント車軸を結合されているリア車軸に遠心力だけでなく、フロント車軸に引っ張られて回転方向から外れていく力がかかります
前後のグリップ力の限界の差が小さければその力に負けてリア車軸も程なく回転運動から外れてしまいます

極端な言い方をすれば前後共グリップを失い円運動から逸脱しつつあるこの瞬間、タイヤは確かにクルマを支えていますが、クルマは水の上に木の棒なんかを浮かべたのと同じ力学的状況になっています
路面に対して固定されている点がないですからね
さて水に浮かべた棒のどこかに力を加えると力を加えた方向にも動きますが、重心を押さない限り回転運動も同時に始めます

この時のクルマの状況は上で説明した水に浮かべた木の棒と同じで。フロント車軸のグリップ力とリア車軸のグリップ力がそれぞれ車両中心軸に作用してクルマにヨーモーメントを発生させようとしている事になります

重心軸周りのモーメントは力×距離(この場合重心までの距離)です

前後重量配分2:1ですから、フロント軸とリア軸の重心からの距離は逆比で1:2となります

そうすると前述のグリップ力と重心からの距離から
フロント車軸から重心に作用するモーメントは1.8mg
リア車軸から重心に作用するモーメントは2.0mg
となります

図にも書き入れていますが、モーメントの合力として緑の矢印のような旋回方向とは逆のモーメントが発生します
このモーメントを受けたフロント車軸はさらに旋回軌道から逸脱する方向へと力を受け、ますますアンダーステア傾向になってしまいます

あ~長かったorz
これがアンダーステアの簡単なモデル上での発生プロセスになります
MR車等でオーバーステア特性になるのは前後重量配分が全く逆なのでご理解いただけるかと思います
「前後重量配分50:50の理想のシャシーレイアウト」という表現はこういった単純モデル上ではモーメントによるグリップ力の変化が生じない事が根拠となっているわけですね~

ただこの話、加減速やサスペンションの働き、タイヤの発熱によるμの変化等を全部無視していますので鵜呑みにするのは危険です 
走る状況、クルマのその他の沢山の要素によって状況が限定されると理想の前後重量配分も変わってしまう…と個人的に考えています
それでも条件の変化にアジャストしやすいという点ではある種の理想かもしれませんね

我々消費者は販売しているクルマを買ってくるだけです
前後重量配分60:40のFF車を50:50に改造することはとてもできません
また質量は荷重も生み出します
前輪軸荷重が減少しすぎてしまったFF車は加速時にスリップしやすくなることは容易に想像できます
単純に軽量化でFFをニュートラルステア特性が得られるようにするのは現実的でもなければ速くも走れません
じゃあ、どうすればこのアンダーステア特性を誤魔化すことができるでしょうか?

・まずはμの値が前後で同じ数値を示すように近付ける
(※)箇所のようにタイヤの摩擦力は接地面の圧力が2倍になっても2倍より小さくなってしまいます
同じグリップレベルのタイヤを使うなら重量がフロントのタイヤを太くして接地面の圧力を下げると前後タイヤのμの差が縮まります
もしくはフロントに元々摩擦係数の高いタイヤを装備することで同じ傾向を発生させることができます
でも普通は前後同じサイズのタイヤを使いますよね
また前後でタイヤのグレードを変える場合、今回の話では取り扱いませんが発熱バランスが変わって、極端な結果、アンダーステア減少ではなくオーバーステアが発生する可能性もあります
そしてこれらの方法は一般消費者にとって前後ローテーションができなくなり非常に痛いです(汗)


・質量を増やさずにmg(質量×重力加速度)より荷重をかける
荷重、(厳密には接地面圧力)が大きくなるとμは減ってしまいますが、摩擦力が小さくなるわけではありません
タイヤが壊れない限り効率は良くないですが摩擦力は一応増加します
一時的ではありますがこの荷重を増やしたり、減らしたりして前後のグリップバランスを変えることが「荷重移動」です
そして速度に応じて荷重をかけてくれるのが「ダウンフォース」なんです
ようやく前回と繋がりましたね(汗)
もう既に前回の最後で言ってますが、これらによって得られる荷重は質量と無関係なのです
だからクルマが「曲がる」、つまりグリップ力だけが増してくれるわけです(荷重移動は減りもしますけど)
次回はこの荷重の話にようやく移って行きます
Posted at 2011/06/30 17:36:46 | コメント(3) | トラックバック(0) | アクセラでサーキット | 日記

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