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ＲＳ・・・ポルシェオーナーなら誰でも憧れる響き。
限定車という言葉に、妙に敏感な日本人にとっては特に魅惑的。
更には、「空冷最後の・・・」なんて殺し文句。

９１１経験者なら、ノーマルより確実に速く走れるのがＲＳ。
当然ですね、スペック上でそのようにポルシェが造っている訳ですから。

では、あなたがカッコいい９９３ＲＳオーナーだった、と仮定します！

気持ちよく自己満足の走りで、峠を上っていました。
すると、後ろから９３０ＳＣが近づいてきました。
そして同じ速度でコーナリングしてきたら・・・
更に抜かれてしまい、必死で追っても後姿が見えなくなったら・・・
（因みに、ＳＣはＥＣ仕様の２００ＰＳ、ＲＳはディーラー物３００ＰＳ）
ＳＣが偶然速いのか、自分が相当ヘタなのか？自問自答。
きっと何かイジッテいるのだろうから仕方ない、と受け流すのか？
ＲＳが負けるハズが無いから腕を上げよう、と練習に励むのか？

・・・だが、何度もそのような場面に出くわすと、
天下のＲＳオーナーとしては、ある憂鬱が湧き出すハズ。
「遅いＲＳと呼ばれたくない・・・」
そのイメージから、勝つことが当り前、負けることは許されない・・・ＲＳ。
レースではないのですから、そんなことを考えなくても良いのですが。
ＲＳという冠が許してくれない訳で、何を言っても傍からは言い訳にしか聞こえません。
そして、人前でどんなに平静を装っても、自分はダマせないのです。

スペックで完全に勝る９１１が、旧型ノーマルの９１１に置いて行かれる・・・
数字を崇拝する者においては、在ってはいけないシーンでしょう？
９１１オーナーなら、想像しただけでオソロシイ（汗）・・・ですよね。
ＲＳの憂鬱、それはいつも、優位性と同時にそこに存在するのです。

No.26

　ここのところ、ポルシェ社はレース以外でも順調に活躍しているようだ。ポルシェも営利目的の会社である以上、利益は多いほうが良いハズ。
古き良き時代のポルシェを支えたマニアの意向は無視しても、会社の存続及び繁栄のため利益を追求する訳だ。

旧来のマニアには、ＲＳ等（ＧＴｎを含む、ｎ＝１，２，３・・・）が用意されている、と言われているが、本当にそうなのか。
鋼板を薄くし装備を減らし、軽くして運動性能を上げる・・・最もな理由。（軽さを武器にすることは、ポルシェ本来の哲学であり、正しい訳なのだが・・・）
裏を返せば、少ない材料で経済的に造っている訳で、もっと価格が安くても良い訳だ、が反して、これがまた高くても売れるのである。「限定」という魅惑のササヤキが付けば一層のこと。
トーションバー９１１時代は、小型軽量・質実剛健が当たり前。コダワリが詰まっており、楽しさの点では全てがレーン・シュポルトに値したと思う。

ブランド（ステイタス性）重視の方には、廉価版、４ドア、ＡＴなどを用意し巧みなセールス・トーク。
次々に乗換えてくれる新車族など上得意様を抱え、こんなにオイシイ商売は無い。
最新のポルシェは（販売戦略上）最良のポルシェ！なのか・・・
あれだけのクルマを造れる会社は、やはり巧妙に利口である。

　最近、ポルシェにも手を抜いた造りのクルマがあると感じる。
そうでなければ、（営利目的だから）あの金額で売れる訳も無いのだ。
安くて良いものは無い、安いものはソレナリである。
そこを隠して（聞かれないから言わずして）売るから、儲かるのだ。
（良いものは高くて当然だが、「高いから良い」も成り立たない）
９１１以外は仕方ないとしても、ポルシェとして譲れない９１１において、ターボ・ＧＴｎを除くエンジンについては如何なものか。

　他社は当然のこと、ポルシェ社も営利目的の会社であることを忘れてはいけない。
マニア相手では利益の向上に限界がある、その判断も正しいだろう。
誠に残念であるが、ポルシェ社も、「本来の軽快・俊敏で楽しい走り」よりも「重厚長大でも儲かるクルマ」に熱心になってきたようだ。
　儲け一点張りで、一つも面白いクルマの無い国産某社のようにならなければ良いが・・・
車メーカーもお菓子店舗も、拡大に伴い「新たな死角」が生まれるものである。

No.25

スポーツとは、イコール、スピードを出すことではない。
スピードを出したいなら、サーキットでタイムを競えば良い、が、一般道路では、そうはいかない。法廷速度で走れ、とは言わないが、極端に高い速度で走れば危険性も高くなる。


速度を上げなくても、高揚する走りができれば・・・
それが、スポーツだ！


中低速で姿勢をコントロールできる楽しさ、９３０には、それが在る。限界が低いと表現する人も居るが、それだけではないところがポルシェ。容易にテールは流れるが、タイトコーナーでは、これを逆手に取る方法もある。つまり、（リスクも承知した）ドライバーの腕の見せ所となる。

トーションバー時代、「ポルシェ使い」という言葉が生まれたように、この種は独特のテクニックを要する。この感覚を覚えると、ハ・マ・ル。しかーし、覚えるまでに手放す人が殆ど・・・と思われる９３０、本当に残念である。

現代の優等生ポルシェは、サーキットでは（電子デバイスの助けを借りて）誰が乗っても速いが、中低速域の一般道路では刺激が少ない。
我儘９３０は、サーキットで速いとは言わないが、数字で表せない部分が（リスクも含めて）とても刺激的な奴なのだ。
単なる数字が命のスペック崇拝者には、この真意が理解できまい！

No.24