
日産
モコに乗ってみました。
グレードは3種類あるうちの中間、自然給気モデルでは上位のX( オーディオ&バックビューモニター付)、ボディカラーはアーバンブラウン(PM)です。写真が撮れなかったのでメーカー公式サイトからの転載です。
○だった点
・かっこいいタッチパネルオーディオ
新型モコ/MRワゴンの売りは何と言ってもこれ、市販車としては初めて採用されたタッチパネル式オーディオです。iPhoneやiPadを思わせる使い勝手で、いかにも先進的でかっこいいです。
・Aピラーの死角の改善
先代モコ/MRワゴンはAピラーが大きく傾斜しているうえに太いため、交差点の右左折時の死角の確認に気を遣わされました。新型はピラー自体の太さはあまり変わらないように思うのですが、傾斜角が弱められてピラーが立ったようなデザインになったため、視界は改善しています。軽自動車は街中や自宅近くの狭い道、スーパーの駐車場などを走る機会も多いと思いますが、そういった状況で視界が良いことは重要です。
・室内空間の広さ
もともと室内空間は十分だったのですが、新型はホイールベースが先代比で65㎜も延長され、室内がますます広くなりました。後席にはスライド機構があるのですが、いっぱいに後ろに下げれば足元空間はリムジンのようですし、最前端までスライドさせてもなんとか座れる空間はあります。その際には荷室空間に余裕ができます。
また、前席についても上記の通りAピラーがかなり立ったデザインになって空間的余裕が出来、快適性が向上しました。乗員からフロントガラスまでの距離が遠くなったため圧迫感が軽減し、いかにも軽っぽいせせこましさが少なくなりました。
・カラフルなボディカラー
歴代モコ/MRワゴンにはピンク、アプリコット、マルーンブラウン、ミルクティーベージュ、ターコイズ、ミントグリーンなど個性的なボディカラーがラインナップされてきましたが、新型にもモコベリー、アーバンブラウン、ミルクティーベージュなど個性的でかわいらしいボディカラーがラインナップされています。
最近は軽でも威圧的に見せたいのか、黒や濃い紫のボディカラーの車が目立ちますが、いい意味で軽らしいモコのボディカラーは本当に好感が持てます。
気になった点
・シートのポジションがおかしい
ここ最近のスズキの軽に共通した傾向ですが、前席座面前端が少し低い上、シート表皮の素材がツルツルと滑りやすいため長時間座っているとお尻が前にズレて行きます。もう少し座面前端を高くするか、前端のクッション硬度を上げた方がいいのではないかと思います。
短距離・短時間走行が前提になっている軽自動車のシートに多くを望むのは酷かとは思うのですが、スイフトのように安い車であってもシートの出来の良い車もあるだけに、軽のシートの出来の悪さにはスズキのダブルスタンダードというか不誠実さが感じられて残念です。
・スペアタイヤが積めない
モコに限らず、最近はスペアタイヤがなくパンク修理キットが積まれている車が多いです。少し前までならパンク修理キットが積まれていても、スペアタイヤが収まるような丸いスペースが荷室床下にあった車が多かったのですが、モコはそのスペースすらありません。
スペアタイヤがないことは、タイヤがスローパンクチャーではなくバーストしたときに問題が生じるのではないでしょうか。釘を踏んで生じたような小さな穴はパンク修理キットで塞がりますが、バーストしたり大きく裂けたりした場合には走行不能になる恐れがあります。平時にはそういう状態になってもJAF等ロードサービスを呼べばすぐ来てくれるかもしれませんが、特に今回の震災のように道路に大きな凹凸が出来た際に、軽のハイトの低いタイヤは痛みやすく、またタイヤさえ交換すれば走れる程度のことなのに走行不能になってしまうのは問題があります。
・カーオーディオとしては不向きなタッチパネルオーディオ
長所のところでタッチパネル式オーディオがかっこいいと書いたのですが、タッチパネルは自動車のオーディオ用としては向いていないですね。カーオーディオは運転中に前方から視線を外さずに手探りでボタンやダイヤルを操作することもあると思いますが、タッチパネルだと手探りでの操作がまず不可能です。
その上全然関係ないところを触ってしまって誤動作する可能性もありますし、タッチパネルだと操作はすべてタップ&フリックとなりボタンを押した「カチッ」「プチッ」とした操作感がないため、きちんと操作できたかどうか不安になります。(「ポン」という操作音はあるのですが、走行騒音で聞こえないこともある。)
総評
一昔前まではこの車のようなハイト系の軽自動車はアクセル踏んでも走らない、アクセル踏むと燃費が極端に悪いと、完成度が低かったのですが、モコは最新型の軽らしく、パワーのない自然給気仕様でもまずまず納得できる走りと経済性を両立させています。完全停止から一気に60km/h程度まで加速するような街中主体の試乗コースだったのですが、この程度ならば速くはないがそれほど不満のない動力性能ですし、燃費も燃費計表示値で17km/L弱と優秀な数値でした。高速や山岳走行が多いとちょっと厳しいかもしれませんが、そうでなければ自然給気モデルで十分でしょうし、不満ならばエコカー減税のターボモデルもあります。
先日試乗記をアップしたデリカD:2同様、この車もスズキの車のOEMですが、モコは初代が2002年登場と既に10年近い歴史を持っている上、既に本家であるMRワゴンの販売台数を上回るに至っています。モコのデビュー当時は、「日産が軽!!??その上スズキのOEM!!??日産も落ちたなあwwwww」と驚愕した覚えがあるのですが、今やスズキにとっては、日産に完成車を供給することで不得意な都市部で拡販して新たな需要を開拓できましたし、日産にとっては人気のある軽自動車を低コストで品揃えして、今まで取りこぼしていた需要を拾うことができるというWin-Winの関係となりました。トヨタが自社ブランドでの軽自動車販売に参入することが取り沙汰されていますが、モコの成功も影響を与えているのでしょう。
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Posted at 2011/05/09 00:01:07 | |
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