前回のパンク修理の話でふと思い出したんですが、
7、8年前に印象的なパンク修理をしました。
ある日、何の気なしに某巨大掲示板を見てると、
昔懐かしい某所のゼロヨンのスレが立ってました。
その当時まだ純真無垢な10代だった私は車の免許すら持ってなかった訳ですが、
地元の先輩やら、地元じゃない先輩やらに連れられて毎週末のように観に行ってました。
その当時は最高性能のボッシュのシャシーダイナモでも測定限界が430馬力で、
ターボ勢は測定限界を超える「430馬力以上」叩き出してるのが一種のステータスだったな…
L型メカチューン(当時はNAという表現がなかった)の350馬力級も、
パワーの数値的にはターボ勢には及ばないものの、走らせればかなりいいセン行ってたなぁ…
へんてこりんなエンジンの分際でターボでもメカチューンでもイケるロータリーは素敵。
特にペリのロータリーのアイドリング音は素敵なんてものじゃない…
そこに行く途中、杉田駅近くの夜中でも行列してるラーメン屋、
「吉村家」の衝撃的な美味さとの出会いは、その後30年以上引き摺る事になったな…
などと懐かしく思いながら見ていると、
どうやら彼等は当時の懐かしさを語ってる訳じゃなくて現在進行形のご様子。
「え!? 今でもやってるの!?」と問いかけてみたところ、
「もちろん当時のように大々的にじゃないけど、ゲリラ的に細々とやってますよ」とのお答え。
「当時ギャラリーだった者だけど今度観に行っても良い?」と訊いたら、
「当時メカチューン勢がキャブセッティングしてたガソリンスタンドで待ってますよ」ときた。
当時を知らなきゃ集合場所が分からないようにしてくる辺りがニクいねぇ。
そんな訳で現地に行ってみると素敵すぎる車達が並んでいた。
S30Z、箱スカ、RX-7(SA22C)、当時は新興勢力だったFJエンジン搭載のR30も今や燻銀だ。
そしてこれらはなんと当時走ってた人達が、当時乗ってた車で今も走り続けてるらしい。
当然アップデートを繰り返してて中身は当時とは全然違ってるんだろうが、
ボディに関してはどの車も初めて見る訳じゃないのか…
そしてやっぱりペリのローターリーのアイドリング音は今も素敵。
止まっちゃうんじゃないの?と思うくらいバラついた
力強いんだか弱々しいんだかよく分からないアイドリングから
奇麗に整った、でも粒立ちのハッキリした、
甲高い音に吹け上がっていく様は本当に素晴らしい。
ひとしきり当時を懐かしんで観ていると、
1台のR30スカイラインのタイヤがパンクしたとの事。
「パンクしたの? 直したげようか?」と声を掛けると、
その時私が乗ってたレクサスIS350という貴族御用達車のトランクから
パンク修理キット一式やチャリ用空気入れやエアゲージが出てくるのも面白かったが、
その貴族御用達車オーナーの貴族(完全な誤解だが…笑)が、
自らの手を汚し慣れた手つきで直していく様子も面白かったらしく、
あっという間に人だかりができた。
そうこうしてるうちにパンク修理が完了してR30は再び走れるようになった訳だが、
そのオーナーが「ありがとう」と言いつつ差し出した1本の缶コーヒーが懐かしい。
あの頃はネジ1本締めるだけのちょっとした作業だろうが、クラッチ交換のような重作業だろうが、
感謝の気持ちを表すのは決まって1本の缶コーヒー。
それがいつしかタバコに変り、飯に変り、ビール1ケースに変わり、だんだん高額化していって、
そしていつの間にか作業を頼まれる事がなくなっていった…
つい先日も会社の若い子の車のブレーキパッドを換えてあげるよと言ったら、
そんな、ジョー。さんに換えて貰うなんて申し訳ないです…と丁重に断られた。
自分は今でもあの場所に居るつもりなのに周りはそうは見てくれない。
社会的な立場というのは相対的に変っていくものだから、
自分は全然変わってないつもりでも、
周りからは恐れ多い存在になっていってるのかもしれない。
自分ではなんでもないと思ってる事にいちいち恐縮されちゃう違和感を感じてる時に、
今でもあの場所に居続ける人から貰った1本の缶コーヒーがとても懐かしく心地良い。
Posted at 2014/05/18 02:19:41 | |
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