皆様は私が以前ご紹介したアペックスのECVという部品を覚えているでしょうか?
マフラーの途中に
バタフライバルブを仕込んで
音量を調整できるようにする部品なんですが、
実はこのECVには短い期間、少量しか生産されなかったオプションパーツが存在します。
そもそもECV自体がまだ爆音マフラー全盛の頃に発売されて、
最初のうちこそ爆音マフラーの音量を絞って車検を通す目的で結構売れましたが、
すぐに陸事の検査官の間でもその存在が知れ渡ってしまい、
コレで音量が絞れたとしても車検は通せなくなるとあっという間に廃れた物なんですが、
その後に発売になったオプションパーツなど売れる筈もなく、
当時ECVを使ってた人でもその存在を知らない人も多い幻のパーツとなっています。
そのオプションパーツとはDECS ECVという名前の商品で、
通常は手動でワイヤーを引いてバタフライの開度を調整するところを、
このDECS ECVを付けると電子制御できるようになるんです。
バタフライを手動で操作する場合、走行状況に合わせて細かく調整する訳にはいきませんので、
夜間にご近所に迷惑を掛けないように車の出し入れの時だけ使うとかならば問題ありませんが、
ある程度バタフライを絞ったまま街乗りをしようとすると、
絞りすぎた状態でエンジンを回すのもちょっとアレですし、
かといって開けすぎた状態では音量も大きくなりますし、結構微妙だったりするんです。
このDECS ECVを取り付ける事によって回転数に合わせて自動で開度を調整してくれるので、
エンジンを壊す心配もなく、可能な限りバタフライを絞った状態で乗れるようになります。
ただ、このDECS ECV、元々の絶対数が少ない癖に、
知ってる人は知ってて、探してる人は探してるようなので、
たまにオークションに出品されても熾烈なバトルが繰り広げられて、
結構な高値で取り引きされてるようです。
某中古パーツ販売店でも見掛けましたが、強気すぎる価格設定になってました。
普通ならまず買おうとは思わないような値段が付いてましたよ。
また、オークションでも出品件数自体が極端に少なく、去年の2月から15ヶ月の間、
入札支援ソフトを使ってオークションを監視し続けてましたが、
その間に出品されたのは十数件だけしかありませんでした。
(動作しない物、動作が不確実な物など所謂ジャンク品も含む。)
たまたま今回は格安で落とせましたがこれは偶然と言ってよく、
コイツを普通に落とそうと思ったら、それなりの覚悟と資金が必要になると思います。
で、今回こうやってブログに書く事で更に競争率が高くなっちゃう訳ですね(爆)
って訳で早速DECS ECVを見てみましょうか?
この黒い箱の中にモーターやらプーリーやらが入ってて、ワイヤーを引っ張るんですね。
実は諸事情により暫くの間は車内騒音を大きくできないので、
今期はAuthorize RMを着けるのは止めようと思ってたんですが、
DECS ECVを入手しちゃった以上、試さない訳にもいかないので、
Authorize RMとECVとDECS ECVを纏めて取り付けてみます。
といっても作業の内容は毎度お馴染みの事ですので根こそぎ割愛させて頂きます(爆)
いつもと違うのはDECS ECVに常時電源、イグニッション電源、アース、回転信号を引くだけです。
で、コントローラーをとりあえず見やすい場所に仮付けしときます。
配線もとりあえずは適当に束ねてタイラップで留めておきますが、
後でちゃんとやり直そうと思います。
で、取り付けたら乗ってみたいですね?
って訳で乗ってみました(爆)
私一人で実験すると、思い入れが強い部品なだけに評価が偏りそうなので、
私の友人の”実験くん1号(仮名)”を呼んで立ち会って貰い、公正を期すようにしてみます。
彼はHIDのバラストの配線を1本づつ両手に持って電流を流し、
骨が見えたり、ガングロになったり、アフロになったり、粉みたいな煙を噴いたり、
駄目だこりゃと言ったり、といった過激な実験にも嫌な顔ひとつせず参加してくれる人なんですが、
この実験くん1号と一緒にDECS ECVを試してみます。
DECS ECVにはメーカープリセットの6種類のマップと、
ユーザーセットのマップ(何回転で何%開けるというポイントを4000回転以下で6点打てる。)、
任意の開度で固定する、と3つのモードがありますが、
プリセットのマップは全て4000rpm以上では全開、
ユーザーセットと固定モードでは4000rpm以上で全開じゃない場合はアラームが点灯します。
取説に書いてあるプリセットのマップを見た感じだと、
どれも早めに開けていくようなので、ユーザー設定で閉じ気味のマップを作る必要もありそうです。
って訳で、まずはプリセットの1番から試してみる訳ですが、
良いじゃん…
実際に走らせてみるとかなりきめ細かく開度を調整していて、
わざわざ自分でセットしなくてもプリセットで充分という感じです。
また、もっとカクカクと段階的に開閉するのかと思ってたら、
反応もリニアで滑らかに開度を変化させてるので、
プリセットのセンスの良さと合わせて違和感がありません。
アイドリングはノーマルマフラーより静かな状態で、
4000rpmで全開になるまで滑らかに音量が増していきます。
音量を制御してるのを知らせないで誰かに音を聞かせたら、
そういうマフラーなんだと勘違いする事でしょう。
プリセットの2番~6番は順番に音が大きくなる方向性なんですが、
単純に等倍にバタフライを開けてる訳じゃなく、
それぞれが開ける回転数、開度をちゃんとセッティングしてあるので、
好みによって音量を使い分ける事もできるでしょう。
Authorize RMの音を聞いた事がある方ならご存知でしょうが、
決して爆音ではないものの、そこそこ音量は大きいです。
それがアイドリング近辺はノーマルマフラーより静かになっちゃうんです。
それを繋いでるんですから違和感があっても当たり前という感じがするんですが、
それが違和感なく繋がっちゃってるんです。
これはなかなか愉快な感覚ですよ。
で、ついでに低回転のトルク不足が補われちゃってます。
Authorize RMは、この高回転のパワー感、中高回転のトルク感からすると、
低回転のトルク感の落ち込みは非常に少ない優秀なマフラーなんですが、
それでもノーマルマフラーよりは幾分トルクは細くはなっています。
それがバタフライを閉じる事によってある程度補われてます。
で、それも滑らかに開閉する事によって、どこかに段付きが出るような事はありません。
先程も書きましたが今期は車内の音量を上げたくないのでAuthorize RMは着けない予定でしたが、
DECS ECVと組み合わせての街乗り領域では、
今迄着けてたAuthorize Rより全然静かになっちゃいました。
で、固定モードで全開にするか、電源を切って全開にすれば(電源切れば勝手に全開になります。)
今迄通りのAuthorize RMとして使えちゃいます。
しかし、プリセットモードで動かしておけば低回転トルクが増強されるので、
敢えて全開で固定する必要性も感じられませんが…
入手が極めて困難なので誰にでもお勧めできる訳ではありませんが、
チャンスがあれば試してみるのも面白いかもしれませんよ。