
■ ようやく訪れた、買ってよかったと心底思う瞬間
先日、久しぶりに都内の好きなサウナへ行きました。
その往復をFerrari 296GTSで走り、しみじみと「買ってよかった」と思えました。
購入直後は、正直この感覚には到達できませんでした。
車幅の把握しやすさだけは初日からすぐに実感できたものの、初のFerrariという名の重圧に、自分の感性も運転も追いつかず、「すごい車を手に入れてしまった」という戸惑いの方が大きかったのです。
インフォテイメント操作はステアリング上の小さなタッチパネルで行うため、操作性はお世辞にも良いとは言えず、ユーザーインターフェースも直感的ではありません。

(この十字のタッチパネルと周囲のボタンで操作します…)
その修得に気を取られ、296の「走り」の本質に意識を向けられていなかったように思います。
しかし今は違います。
音、加速、ステアフィール──そのすべてが圧倒的です。
自分の言葉で表現する語彙力はありませんが、296に関する動画レビューで絶賛されている内容は、誇張でも忖度でもないと実感しています。
高次元の車両操作性がいとも簡単に手に入り、慣らし運転中でも心地よいエンジンサウンドを楽しめます。
隣の人と会話したいときはEVモードで静かに走り、走りを楽しみたいときはエンジンの咆哮に身を委ねる──実用性と官能性の絶妙なバランスが、この車にはあります。
瞬間的な刺激では355や458など過去の名作に及ばないかもしれません。
しかし今の自分にとっては、一台で様々なシチュエーションに対応できる守備範囲の広さこそが魅力です。
オープンにしても風の巻き込みは最小限で、身長180cm弱の私の頭頂部の髪が軽くなびく程度。
会話も自然にできるほどの静粛性を保ちながら、五感で“走る歓び”を味わえます。
個人的には981ボクスター、991.1タルガ以来、約4年ぶりのオープン走行──最高です。
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■ ハイブリッドの「不安」、実際は?
購入後まもなくバッテリー上がりを経験した私が言うのも説得力に欠けますが、管理の要点さえ押さえれば、過度に神経質になる必要はないと思います。
バッテリーを満充電にしておけば、およそ2週間は持ちます。(著名なブロガーさんの記事では3週間平気という記載もありました。)
走行モードがEVまたはハイブリッドの場合、バッテリーを積極的に使うため、当然ながら残量は比較的早く減っていきます。
一方で、パフォーマンスモードやクオリファイモードでは、モーター出力を使うのはアクセルを踏み込んでターボラグを補うほんの一瞬。
それ以外の時間は余剰エネルギーを充電に回すため、通常走行中でもバッテリー残量は50%前後を維持します。
そこから100%まで充電するには、ハイブリッドモードを選び「チャージ」を指定する必要がありますが、15〜20分ほど走行すれば、あっけなく満充電になります。
自宅充電環境がなくても、ハイブリッドモードで20分程度走行すれば、ほぼ満充電となり、2週間はバッテリー上がりを防げるでしょう。
この「20分走行・2週間維持」をどの程度煩雑と感じるかは人それぞれですが、ひとつの目安にはなると思います。
自宅に充電環境があれば、よほどずさんな管理をしない限り、バッテリーに関して神経をすり減らす必要はありません。
(ちなみに私は、バッテリー残量約30%状態で2週間放置し、上がりを経験しました。)
ディーラーでは「プラグを繋ぎっぱなし」を推奨されましたが、私は過充電による劣化が気になるため、ドライブ後に満充電にし、翌日にはプラグを抜く運用をしています。
毎週末のドライブ、または残量確認を習慣化する予定です。
参考までに、以前所有していた970後期型パナメーラS E-Hybridのバッテリーは、10年経っても航続距離の低下などの劣化を感じませんでした。
適切に管理すれば、296のバッテリーも長く健全に保てると楽観しています。
Ferrari 296GTSのハイブリッドシステムは、要点さえ押さえれば、充電環境がなくてもそれほど気を使う必要はないとトラブルを経験した上で、今は感じています。
296はその優れた性能とは裏腹に、中古車市場では供給過多でリセールも芳しくありません。
スーパーカーや高級スポーツカー全体の相場下落も一因ですが、296に関しては「バッテリー管理への不安」がマイナス要因になっていると考えます。
このブログが、そうした不安を持つ方の一助になれば幸いです。
──本当に、いい車です。

納車約2ヶ月経って到着した、オリジナルと同じ仕様のモデルカー