
自動車用シートを製造するドイツの
レカロ・オートモーティブ(Recaro Automotive)社が
破産を申請した、という驚愕のニュースが飛び込んできました。同社は7月29日、エスリンゲン地方裁判所に自己破産の申請を承認された、とのこと。地元メディアの報道によると、レカロの従業員は破産申請について知らされていなかったと言います。
レカロは自動車業界で最もよく知られたサプライヤーの1つで、20世紀初頭から活動しています。同社は1906年に馬車製造業の
シュトゥットガルター・カロッセリー・ウント・ラドファブリク(Stuttgarter Carosserie und Radfabrik)として設立され、1960年代初頭までポルシェやフォルクスワーゲンのボディを製造していました。その後、
シート製造に軸足を移し、1965年にポルシェ911用に初のスポーツシートを発表、その後993世代まではレカロ製シートが採用されていました。こんな歴史もあって、レカロ製シートは「高性能モデルの象徴」となり、フォルクスワーゲン・ゴルフGTIクラブスポーツ、アストン マーティン・ヴァルキリー、フォード・フィエスタSTなど、多くの高性能車に採用されて来ました。
しかし度重なる経営難から、レカロ・オートモーティブは2020年、米国の大手シートメーカーである
アディエント(Adient)社から民間投資会社
レイヴン・アクイジションズ(Raven Acquisitions)に売却され、ブランドは存続していました。みなさんご存知の通り、アフターマーケット用シートも提供しており、FIA公認のレース用バケットシートや、急成長中のレストア分野をターゲットにしたクラシックデザインなど、さまざまな製品ラインナップを取り揃えていました。ちなみに今回の破産申請は、レカロの航空機用シート、ゲーミングチェア、チャイルドシート事業には
影響しないとのことです(航空機事業とゲーム事業は、レカロの母体であるレカロ・ホールディング(Recaro Holding)が所有している)。
一クルマ好きとしては
非常に残念ですし、もうレカロ製のシートを見る事が無いのは悲しすぎます。それこそポルシェ辺りがレカロを買い取って、今後も存続するような道筋をつける事は困難なのでしょうか?欧州には他にも、
Sabeltや
SPARCOなどのスポーツシートメーカーも存在しますが、知名度、商品供給力などはレカロに及ばないように思います。レカロはこれまで
画期的な技術をいくつもシートに投入してきており、その知的財産がこのまま失われてしまうのは自動車業界にとっては
大きな損失だと思います。ブランド・バリューとしては未だ
絶大なモノがあるハズなので、それこそ経営の手腕次第ではいかようにもなるのではないかと思いますが、考えが甘いのでしょうか・・?
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四方山話 | クルマ
Posted at
2024/08/06 14:17:46