
ポルシェ911を評する言葉の一つに「日常的に使えるスポーツカー」というものがあります。実際、週末の特別な時にのみ乗る日本のエンスージアストと違い、海外エグゼクティブの多くはいわゆる
日常の足として911を利用しています。雨の日も、風の日も乗れて、そこそこの積載性もあり、サーキット走行や高速クルージングはもちろんのこと、低速域でもニヤリとさせてくれる
懐の深さが911の魅力だと思います。
翻って、ほんの僅かな期間しか所有出来ませんでしたが、私にとってフェラーリは日常性とはかけ離れた正に
スーパーカーでした。中古のF1マチックの360モデナでさえ、私にとっては十二分に
スーパーな存在でしたが、ましてや最新の3000万円を大幅に超えるような高級スーパーカーは憧れはするものの手に入れたとしても
持て余す可能性大です。クルマに対するアプローチは人それぞれだと思いますが、私はやはり眺めているだけでは不満が募ります。特にスポーツカーは
乗ってナンボだと思っていますので、車庫の肥やしとするだけの度量を私は持ち合わせていません。そういう意味で、もちろんポルシェからランボやフェラーリに乗り換えて、スーパーな世界を堪能される方も大勢いらっしゃいますし、これらのスーパーカーがもたらしてくれる
非日常性の魅力は理解出来ますが、私の性分には合わないな・・と思ってしまいます(貧乏性なので、いざ乗るとなるとそれだけで気疲れしてしまいます)。
一方、たとえば現在所有しているRS4も十分パフォーマンス的には素晴らしい性能を持った高性能車ですが、
911のような非日常性はありません。目線は高いですし、車重も重いので、速い事は速いのですが、スポーツカーとしてはどうしても
物足りなく感じてしまいます。むしろ、スポーツカー度で言ったら圧倒的にスピードの遅いマツダ・ロードスターの方がよほど
スポーツカー濃度は濃いと感じます。しかしながらロードスターは雨の日も風の日もというワケには行きませんし、荷物もほとんど積めません。そういう意味ではやはり911の+2という
稀有なレイアウトはそれだけで価値があると個人的には思います。とどのつまり、日常性と非日常性のバランスの取り方と言いますか、ちょうどその
狭間の領域を
高い次元で愉しめるというところに911の
魅力と価値があるのではないか、と思います。まさに日常の中にちょっとした非日常をもたらしてくれる911は、私を含め多くのファンにとって唯一無二の
特別な存在なのです。
Posted at 2022/06/08 14:29:30 | |
四方山話 | クルマ