
今回は、「日本のオオクワガタの飼育と卵の産ませ方、幼虫の育て方」についてを説明します。
オオクワガタは、注意点(後述しますが)を除けば、コクワガタに次いで飼育初心者に最も向いている種類です。
飼育下での繁殖法が確立されていますが、乱獲や丘陵地の開発や森林伐採などにより野生個体の生息が危ぶまれていまして、2007年には準絶滅危惧種から絶滅危惧II類に引き上げられました。
♂です。大きさは21~79.6mmです。(飼育ギネスは93.2mmです。😳❗❗)
♀です。大きさは21~52mmです。(飼育ギネスは61.5mmです。)
成虫の飼育に関してですが、コクワガタ、ヒラタクワガタの飼育同様でして、
プラケースに昆虫マットと止まり木、木の皮を入れます。
ケンカをするので、交尾以外は1ケースに1匹ずつ入れてください。(オオクワガタの♀は、産卵期にはタンパク質を補うために♂を襲って食べることがあります…💦)
炎天下の場所は、虫が弱るので、厳禁です。
なるべく日かげで、風通しがいい場所に置いてください。
エサは昆虫ゼリー、リンゴ🍎もしくはバナナ🍌をあげてください。くさりかけたり、無くなりましたら、交換してください。
ときどき、霧吹きで水をあげて下さい。
日本のオオクワガタは冬眠します。寒くなりましたら、マットを深めに入れます。
時々、きりふきで水を与えます。
真冬の間は、毛布やダンボールをかけてください。
たまに暖かい日には活動しますので、昆虫ゼリーを入れておきます。
6月頃から本格的に動き出します。
産卵についてですが、
クワガタムシは、「木(ホダ木)に産卵する」、「ホダ木を粉砕したマットに産卵する」、「木、マット両方に産卵する」の大きく3パターンに分かれまして、オオクワガタはコクワガタ同様「木に産卵する」です。
交尾のために小さいプラケースにオスとメスを入れます。
1週間後にオスとメスを分けます。
産卵セットですが、(以下、コクワガタ・ヒラタクワガタと同様になりますが…)
卵を産ませるためのクヌギ、コナラの木を用意します。ホームセンター、通販で購入します。
メスが卵を産みやすいように木の皮を取り除きます。
木を十分に湿らせないと卵を産みません。木がすっぽり入るバケツなどに水を充分入れ、木を半日位付け込んでおきます。
つけ終わりましたら、6時間位日かげに置き、余分な水分を取ります。
プラケースを用意します。プラケースの大きさは、縦15センチ横25センチ、高さ15センチ位です。
ケースの下にクヌギマットを入れます。
マットをよく混ぜます。湿り具合はマットを握るとダンゴになるくらいです。
産卵木を2本入れます。余裕があれば3本以上入れます。
クヌギマットを産卵木が半分位になるように埋めていきます。
ゼリー、転倒防止の止まり木等を入れ、交尾したメスを入れます。
フタをします。約1カ月後にメスを取り出します。幼虫をたくさん取りたい時はメスを別の産卵ケースに入れます。
メスは卵を30~50個位産みます。卵は2ミリ位で温度によりますが約2週間で幼虫になります。
産まれたばかりの幼虫は5ミリ位の大きさです。
幼虫はクヌギマット、菌糸瓶をエサにします。
次に幼虫の育て方ですが、「個別のマット飼育」と「菌糸瓶」がありまして、「菌糸瓶」の方が大きな成虫に羽化する事が出来ます。
「個別のマット飼育」ですが、
産卵ケースからメスを取り出して約2か月後、新聞紙の上にマット、産卵木を取り出します。
マットに幼虫がいないか丁寧に探します。
次に産卵木を割ってみましょう。木を押してみて柔らかくなっていたら、幼虫がひそんでいる可能性が高いです。
産卵木は、木目にそって、慎重にマイナスドライバーで割ります。
木を割っている途中、木の中におがくずがつまったトンネルがあれば、幼虫が近いです。
トンネルにそって慎重に割っていきます。
見つけた幼虫はスプーンでやさしく取り出します。
卵を見つけた場合は、プリンカップにクヌギマットを入れ、孵化するまで待ちます。
エサとなるクヌギマットは、手でにぎって、ダンゴ状になる程度に水を加えます。
ビンやプラケースにクヌギマットをすりこぎなどで固めに詰めていきます。
幼虫を入れます。
フタとビンの間に紙などをはさんでフタをします。
約2か月位でマットの交換をします。その際、幼虫が新しいマットに早く慣れるために、古いマットを上の方に入れます。
「菌糸瓶」での飼育ですが、
多くのクワガタムシの幼虫は、キノコが生えた朽木が大好物です。それを人が作ったのが菌糸瓶です。
菌糸瓶は、マット飼育に比べて大きく早く幼虫を育てる事が出来ます。
注意点は、孵化したばかりの幼虫には菌糸は刺激が強いので、ある程度大きくなってから(孵化して1ヶ月ちょっと)菌糸瓶に入れて下さい。
菌糸の白い部分が少なくなりましたら(幼虫が菌糸を食べつくしています)、新しい菌糸瓶に交換、幼虫を投入してください。
幼虫を入れた後、ビンの口からキノコが出てくる事があります。そのままにしておくと幼虫が窒息して死んでしまうので、キノコはこまめに取ります。
菌糸ビンは直射日光はさけて、暗くて風通しがいい場所に置きます。
キノコは暑さに弱いので、夏は出来れば、30度を超えないように注意します。
幼虫の♂♀の見分け方ですが、お腹に卵巣があるのが♀で、無いのが♂です。
これは、ほとんどのクワガタに共通しています。
最後に「幼虫から蛹そして成虫へ」です。
順調に育てば、日本のオオクワガタの幼虫は卵から半年(冬に温度管理)~1年半後に黄色くなり、蛹になる準備をします。(自然界では、2年位かかります)
幼虫から蛹、成虫になるまでの間にケースの中をいじくりまわすと、死んだり、蛹化不全、羽化不全になることがあるので、なるべくケースを触らないでください。
蛹になるための部屋をつくり、だんだん黄色になります。
背中がわれて、蛹が出てきます。
だんだん、蛹の色が濃くなります。
蛹になって3週間位たつと、蛹の皮をぬぎ始めます。
蛹の皮をぬぎ終わりました。
だんだん羽の色が色づいて、体も固まり始めます。
自然界では、卵から約2年半~3年位かけて、ようやく成虫になります。(冬場に温度管理をしますと卵から約1年ちょっとで成虫になります。)
蛹の皮をぬいで、約1カ月で体も完全に固まります。
まだ体を休めているので、動き出すまでさわらないでください。
秋に成虫になった場合は、冬をこして翌年の夏に、動き出します。
動き始めてから、ようやくエサを食べます。
卵を産ませるには、羽化してから6か月以上かかります。(羽化した翌年がベストです)
日本のオオクワガタの成虫は、飼育下で5-6年生きる個体も珍しくなく、最長で7年生きたという記録がギネスに登録されており、世界的に見て最も長寿なクワガタです。
日本のオオクワガタは、産地別の血統(能勢血統、信玄血統、久留米血統、川西血統、熊谷血統など)で愛好家に区別されています。(南下するに従って、アゴが太くなり、体格もガッチリする傾向があります。)
これから世界のオオクワガタの一部を紹介します。(素人目には判断がつきづらいですが…)
オオクワガタ亜属では最大の大きさを持つグランディスオオクワガタ(ラオス、ベトナム北部、ミャンマー、インド北東部、中国南部(雲南省、海南省)、台湾)です。
野外ギネスは♂92.0mm(飼育下95.0mm)です。
体の横幅があり、大アゴが太く、強く湾曲していまして、日本のオオクワガタなどの大アゴの内歯(内側の突起)は 大型個体になるほど前方に位置しますが、本種の内歯は、どの個体でも真ん中の付近に位置します。
タイワンオオクワガタ(台湾)です。
野外ギネスは♂79mm(飼育下84.3mm)です。
日本のオオクワガタに似た大アゴのタイプとグランディスに似た大アゴのタイプが存在します。
中国ホペイオオクワガタ(中国(黄河以南))です。
野外ギネスは♂78mm(飼育下82.7mm)です。
大型個体では主歯と内歯が重なる傾向があります。
日本のオオクワガタに近い種類です。
台湾最大級のクワガタムシのシェンクリンオオクワガタ(台湾)です。
野外ギネスは♂ 84mm(飼育下89.9mm)です。
コクワガタを大きくしたような外見をしています。
また、オオクワガタにしては気性が荒いと言われています。
アンタエウスオオクワガタ(インド北部、ネパール、ブータン、シッキム、ミャンマー、中国南部、タイ北部、ラオス、ベトナム北部、マレー半島)です。(写真はインド産)
野外ギネスは♂最大88mm(飼育ギネスは94.2mm)です。
オオクワガタの仲間で最も重厚な体型をしていて、大型であり、体の横幅が広く、厚みがあります。 オスの大アゴは特に太く、湾曲し、体色は光沢のある黒色です。
世界には他にも特徴的なオオクワガタが沢山生息しています。
外国産のカブトムシ、クワガタムシなどの放虫による遺伝子汚染が問題となっています…放虫は絶対に辞めてください❗❗
以上で、「日本のオオクワガタの飼育と卵の産ませ方、幼虫の育て方」についての説明を終わります。