今回は、「コクワガタの飼育と卵の産ませ方、幼虫の育て方」についてを説明します。
コクワガタは、クワガタムシの中で入手・飼育繫殖など色々な面で飼育初心者に最も向いている種類です。
♂です。大きさは17 - 54 mmです。
♀です。大きさは21 - 33 mmです。
♀には、卵を産むため木を削るための小さなアゴがあります。
まず、成虫の飼育に関してですが、
プラケースに昆虫マットと止まり木、木の皮を入れます。
ケンカをするので、交尾以外は1ケースに1匹ずつ入れてください。
炎天下の場所は、虫が弱るので、厳禁です。
なるべく日かげで、風通しがいい場所に置いてください。
エサは昆虫ゼリー、リンゴ🍎もしくはバナナ🍌をあげてください。くさりかけたり、無くなりましたら、交換してください。
ときどき、きりふきで水をあげてください。
日本のコクワガタは冬眠します。寒くなりましたら、マットを深めに入れます。
時々、きりふきで水を与えます。
真冬の間は、毛布やダンボールをかけてください。
たまに暖かい日には活動しますので、昆虫ゼリーを入れておきます。
6月頃から本格的に動き出します。
産卵についてですが、
クワガタムシは、「木(ホダ木)に産卵する」、「ホダ木を粉砕したマットに産卵する」、「木、マット両方に産卵する」の大きく3パターンに分かれまして、コクワガタは「木に産卵する」です。
交尾のために小さいプラケースにオスとメスを入れます。
1週間後にオスとメスを分けます。
産卵セットですが、
卵を産ませるためのクヌギ、コナラの木を用意します。ホームセンター、通販で購入します。
メスが卵を産みやすいように木の皮を取り除きます。
木を十分に湿らせないと卵を産みません。木がすっぽり入るバケツなどに水を充分入れ、木を半日位付け込んでおきます。
つけ終わりましたら、6時間位日かげに置き、余分な水分を取ります。
プラケースを用意します。プラケースの大きさは、縦15センチ横25センチ、高さ15センチ位です。
ケースの下にクヌギマットを入れます。
マットをよく混ぜます。湿り具合はマットを握るとダンゴになるくらいです。
産卵木を2本入れます。余裕があれば3本以上入れます。
クヌギマットを産卵木が半分位になるように埋めていきます。
ゼリー、転倒防止の止まり木等を入れ、交尾したメスを入れます。
フタをします。約1カ月後にメスを取り出します。幼虫をたくさん取りたい時はメスを別の産卵ケースに入れます。
ちなみに、この産卵方法はオオクワガタも同様に産卵出来ます。
メスは卵を20個から30個くらい産みます。卵は3ミリ位で約1カ月で幼虫になります。
産まれたばかりの幼虫は5ミリ位の大きさです。
幼虫は産卵木、クヌギマットをエサにします。
次に幼虫の育て方ですが、「産卵木そのままの飼育法」と「個別のマット飼育」がありまして、「個別のマット飼育」の方が大きな成虫に羽化する事が出来ます。
「産卵木そのままの飼育法」ですが、
飼育ケースにクヌギマットを追加して、産卵木を埋めた状態にします。
幼虫は初めは木の中にいますが、エサとなる木が減ってくると、クヌギマットに移動してきます。
あとは、そのまま成虫になるのを1年~1年半待つことになります。
クヌギマットは完全に乾燥させないように時々ジョウロなどで加水します。
「個別のマット飼育」ですが、
産卵ケースからメスを取り出して約2か月後、新聞紙の上にマット、産卵木を取り出します。
マットに幼虫がいないか丁寧に探します。
次に産卵木を割ってみましょう。木を押してみて柔らかくなっていたら、幼虫がひそんでいる可能性が高いです。
産卵木は、木目にそって、慎重にマイナスドライバーで割ります。
木を割っている途中、木の中におがくずがつまったトンネルがあれば、幼虫が近いです。
トンネルにそって慎重に割っていきます。
見つけた幼虫はスプーンでやさしく取り出します。
卵を見つけた場合は、プリンカップにクヌギマットを入れ、孵化するまで待ちます。
エサとなるクヌギマットは、手でにぎって、ダンゴ状になる程度に水を加えます。
ビンやプラケースにクヌギマットをすりこぎなどで固めに詰めていきます。
幼虫を入れます。
フタとビンの間に紙などをはさんでフタをします。
約2か月位でマットの交換をします。その際、幼虫が新しいマットに早く慣れるために、古いマットを上の方に入れます。
幼虫の♂♀の見分け方ですが、お腹に卵巣があるのが♀で、無いのが♂です。
最後に「幼虫から蛹そして成虫へ」です。
順調に育てば、日本のコクワガタの幼虫は卵から1年~1年半後に黄色くなり、蛹になる準備をします。
幼虫は、マットの固めた部分に蛹になるための、部屋を作るので、黄色になりましたら、クヌギマットを深めに底の方をガチガチに固めてください。
幼虫から蛹、成虫になるまでの間にケースの中をいじくりまわすと、死ぬことがあるので、なるべくケースを触らないでください。
蛹になるための部屋を作り出します。
背中がわれて、蛹が出てきます。
だんだん、蛹の色が濃くなります。
蛹になって3週間位たつと、蛹の皮をぬぎ始めます。
だんだん羽の色が色づいて、体も固まり始めます。
卵から約1年半~2年位かけて、ようやく成虫になります。
蛹の皮をぬいで、約1カ月で体も完全に固まります。
まだ体を休めているので、動き出すまでさわらないでください。
夏~秋に成虫になった場合は、冬をこして翌年の夏に、動き出します。
動き始めてから、ようやくエサを食べます。
卵を産ませるには、エサを食べてから2か月位かかります。
ちなみに、日本のコクワガタは5亜種に分類され、八丈島・屋久島・三島村・トカラ列島にそれぞれ別亜種がいまして、どちらも日本本土の原名亜種よりも赤色が濃いです。
ハチジョウコクワガタ
ヤクシマコクワガタ
トカラコクワガタ
ミシマコクワガタ
また、日本には「アマミ(リュウキュウ)コクワガタ」が生息していまして、「コクワガタ」でも本土系コクワガタとは別の種類になります。
アマミコクワガタは、奄美群島、沖縄諸島、八重山諸島に分布していまして、本土系コクワガタよりも体長は小さい(20~35mm)です。
アマミコクワガタ
これから世界のコクワガタの一部を紹介します。
世界最大のコクワガタ、ネパールコクワガタです。(チベット、インド北東部、ネパール)
最大体長は約80mmになります。
ミヤマクワガタ同様に低温種で、オウゴンオニクワガタ、タランドゥスオオツヤクワガタと同じようにカワラタケ菌糸瓶に産卵可能との事です。
個人的に世界最美のコクワガタのエレガントゥルスコクワガタです。(マレー半島、スマトラ、ジャワ、ボルネオ、フィリピン)
最大体長は30mmで、以前飼育していました。
コクワガタも世界に目を向けると、個性的な種類揃いですね。
以上で、「コクワガタの飼育と卵の産ませ方、幼虫の育て方」についての説明を終わります。