
ミニにはスミス製のメーターを付けている人が多いが、私はVDO派なのでスミスのメーターは付けていない。
しかし、スミス製の別の製品は持っている。
それは、ストップウォッチ。
スミスが「S.Smith & Son」という屋号だった頃の古いストップウォッチだ。
検索してみると、ミニのショップでもスミスの時計やストップウォッチを扱っているところが結構あるようだが、ミニ屋で扱っている物のほとんどがスタンダードモデルだ。
まぁ、スタンダードモデルの生産量が圧倒的に多いので、そうなるのも当然なのだが、スミスの時計には少数のハイグレード/ハイエンドモデルも存在する。
スミスは1851年創業で、当時の屋号は「S.Smith & Son」。
ムーブメントは自社で製造せず、他メーカから調達したムーブメントを搭載し、自社ブラントで販売していた。
多くがスイス製のムーブメント。
中には伝説のスイス時計工房「二コル・ニールセン(Nicole Nielsen)」のムーブメントを搭載した超ハイエンドモデルもあった。
下記URLは、2010年にクリスティーズに出品された1899年製「S.Smith & Son」の懐中時計。
https://www.christies.com/en/lot/lot-5395368
ムーブメントは二コル・ニールセン製のミニッツリピータで、しかもトゥールビヨンだ。
1904年、スミスは二コル・ニールセンを買収する。
1900年代初頭、自動車時代の幕開けとともに、スミスは自動車用メーターの製造を開始。
1907年、初のスピードメーターを販売する。
このスピードメーターを開発したのは、二コル・ニールセンだ。
ウィキペディアにこのスピードメータの画像があった。
https://en.wikipedia.org/wiki/Smiths_Group#/media/File:Regent_Street_Motor_Show,_2015_(23385987764)_(cropped).jpg
画像の下に、「Nicole Nielsen speedometer, badged for S. Smith & Son, c.1907」という説明がある。
時計マニアとしては、伝説の時計工房二コル・ニールセンにスピードメーターを開発させるなんて、と思うが、敢えてハイエンドムーブメントの職人にスピードメーターの開発を依頼しないといけない理由があったのかはわからない。
この後、スミスは自動車用メーター分野への投資を広げていく。
話を元に戻す。
私は依頼を受けて古い懐中時計の修理やメンテを請け負うが、自分では懐中時計(腕時計も)は収集していない。
しかし、古いストップウォッチは収集しており、その中の1つに「S.Smith & Son」のストップウォッチがある。
一見、何の変哲もない、シンプルな機能のストップウォッチだが、ムーブメントはオーバースペックとも思えるクロノグラフムーブメントを搭載している。
少なめに推測しても最低19石以上。
この時代に19石以上のクロノグラフムーブメントを搭載したストップウォッチは、一部のハイグレードモデルだけだと思う。
おそらくロンジン製(※)で、ロンジン製クロノグラフムーブメントの中でも上位モデルではないかと推測する。
(※)1920年代以前のロンジンは、ロレックスやオメガより格上。
ということで、いつも車ネタばかりなので、たまには車ネタに引っ掛けて時計ネタを書いてみた。
ちなみに、プロフィールの画像は、1860年製造のオールドハワード II型(2型)のフルオリジナル。
1860年というのは、日本では幕末(江戸時代)。
今から160年以上前の古い時計で、生産台数1100台以下の激レア品だ。
(4年ほど前に車道楽資金捻出のため販売済)
Posted at 2022/07/14 01:16:39 | |
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