【Haltech】MAP Prediction / Fuel Film Model の導入
目的 |
チューニング・カスタム |
作業 |
DIY |
難易度 |
 初級 |
作業時間 |
12時間以上 |
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Eliteシリーズ(NSP)のファームウェアVer3.10から実装された、「MAP Prediction / Fuel Film Model」について作業していきます。
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インジェクターポート噴射エンジンの構造の宿命として、吸気管内部壁面に燃料が付着する事は広く知られています。
定常時は順番に燃焼室に燃料が流れ込む為問題はありませんが、吸気管圧力が急激に変化した際に、必要な燃料が壁面に吸収されたり、壁面に付着した燃料が剥離して燃焼室に流れ込んだりと、安定したA/Fを目指すにあたって厄介な存在となります。
今回の機能は、このポート内壁面に付着している燃料の量や様子を予測して、制度の高い加速増量に役立てよう!という機能のようです。
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実際に従来のTransient Throttleの時のログを見てみます。
急激なアクセル全開操作により、リーンスパイクが発生します。
「吸気管圧力が低→高へ推移する際に、ポート内壁面へ吸収される為、瞬間的に空燃比が薄くなる」という理論なのですが、見事に理論通りになっています。
また、リーンスパイクによる加速の息継ぎを嫌って、Transient Throttleによる増量を行っていますが、間に合っていませんし多すぎます。
このように、急激なアクセル操作の最中の安定したA/Fの実現は難しい為、A/Fの推移に捕らわれずに、体感でセットアップをするのが通例でした。
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「MAP Prediction / Fuel Film Model」を適用、調整後のログ。
びっくりする位安定しました。
空燃比センサーの反応遅れはあるものの、上下に値が暴れることなく目標空燃比付近に収まっているかと思います。
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詳しい事はナレッジベースにお任せするとして、ビートに適応するにあたって、自分の方で思った事を書いていきます。
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【Predicted Manifold Pressuere】
Fuel Filmの予測時に、MAPセンサーの値(吸気管圧力値)を利用しますが、センサーの値を都度読み取って制御に反映では遅すぎるので、予め「MAP×TPS」の関係性をマップにしておきましょう。という事のようです。
ビートの場合は低回転・低開度の付近のマスをなるべく細かくしておくと良いと思います。逆に高回転・高開度は荒くても良いと思います。
車両の弄り度合いで値は変わってしまう為ボカシ入れさせてもらいましたが、表の作りは大体こんな感じでいいかと。
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具体的な値は、「Long Term Predicted MAP Learning」の機能にて、学習により求める事ができます。
割と早く簡単に学習されますが、自分は念入りに3晩ほど掛けました。なるべく全域学習されるようにいろんな走りをした方が良いでしょう。
Predicted Map Timeは400ms位が良い感じだと思います。短いと学習が進みませんし、長いと余計な値が入りそうで不安です。ビート純正MAPセンサーかHaltech Elite内蔵センサーのどちらを使うかによっても変わると思います。
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ちなみに、エアコンONですと吸気管圧力は変わってしまう為、学習は涼しい夜間に行いました。今の時期日中は無理(汗
学習後もエアコン利用で「MAP×TPS」の関係性を崩さないようにする為に、学習終了後の通常時は「Long Term Predicted MAP Learning」はオフにしておくと良いと思います。
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学習完了後のマップの3D表示。
多連スロットルNA車は、アクセル低開度に負圧領域が集中する、大体こんな感じの形になると思います。
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【Transient TPS Scaling】
マニュアルにはTPS-d(スロットル位置微分)の値の10倍に設定せよと書かれています。これはTPSセンサーや配線の良し悪しで変わると思います。
自分の場合は、エンジンファンクション内の「Throttle Position Filter Scale」を「1」にしてから行いました。NSP標準値ですと強めにフィルターが掛かっていると思いますので、ギリギリまで下げて感度を良くしました。
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【Film Pooling Percentage】
ここも車両の弄り具合で値は変わりますので、具体的な値は避け表だけにしておきます。
特にインジェクターの違い(自分は多孔)が躊躇に出ると思います。
ただし、NSP標準で用意されている値で十分に走りましたので、理解が進んでから少しづつ触って、必要に応じて好みに調整で良いです。
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【Film Evaporation Time Constant】
蒸発時間定数: エンジンが温かい場合は通常 200 ミリ秒、エンジンが冷たい場合は 400 ミリ秒。との事。
ここの値を変更すると、スロットルを全開から全閉にした時のA/Fがリッチに振れる現象を調整する事ができるようです。デフォルトマップでも十分に機能しますし、リッチに振れた直後に燃料カットが結局入ります(使ってるよね???)ので、順番に後ほど調整で良いです。
ここも例外なく低回転は細かく、高回転は荒い表にしています。
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燃料カット(Decel Cut)との併用。
アクセル全閉・燃料カット直後の復帰は、少し濃いくらいが体感が良かったので、最終的にはこのようになりました。もちろんリーンスパイクは発生していません。
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今回の作業は、冷間時については考慮していません。今の時期はスグに水温が上がってしまうので無理ですね。これ以上の調整は冬に期待です。
また、インジェクタータイミングについては、インテークバルブ閉の状態で噴射完了としています。この機能を有効に活用する為には、「バルブ開状態の時の噴射を検討せよ」、との事ですが、ビートですと発進クラッチミートの時のトルクの薄さが躊躇に出ますし、オルタネーターの負荷に連動してアイドリングが不安定になったりするので、諦めています。
軽には無理じゃねーかなーと思ってます。
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急激なスロットル操作=空燃比は暴れる物、という常識を覆した、衝撃的な機能でした。もちろん数値だけでなく、走りその物の安定感に繋がるようです。不安やチューニングカーらしい粗々しさがどこにも無く、今どきのノーマル乗用車の様な挙動です。正直不気味で味気ないかも(汗
しかもNSPデフォルトで用意されたマップで割と合ってますので導入後スグ走れますし、足りない部分は学習機能が・・・
Haltechしゅごい・・・
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