2009年01月31日
私の勤務先はトラックメインの整備工場です。どこのお客さんも、この不景気で大変です。少しでも燃料代を節約しようとアイドリングストップを奨励している会社も少なくありません。会社の世間体としてもエコに力入れてる風なのはプラスですし。
さて、実際にアイドリングストップはどの程度燃費改善になるのでしょう?よく言われるのは『10秒アイドリングするなら、ストップしたほうが燃費は良い』です。再始動時には多少燃料が増量されますが、その分を考慮しても止めたほうが良いそうです。瞬間燃費計があればこのあたりは数値で出せますね。燃費改善はそれだけでなく、乗り方そのものを考えないと意味ないですが、一日走り回るトラックでは、おおよそ10%ほどの改善が認められるそうです。
簡単に数字にしてみましょう。
いままでの平均燃費が9km/Lだったとして、約10%アップの10km/Lにアップしたとしましょう。(計算しやすい数字にしておきます)これで5年で10万キロ走ったとして、使った燃料は
100000÷9=11111.1L
100000÷10=10000L
差は約1111Lです。これをガソリン代に換算すると、レギュラーで11万1千100円ほどです。多いとみるか少ないとみるかは個人の考えに任せるとしても、効果はありますね。
では、ガソリン代以外に目を向けてみましょう。まず、セルモーター。負担は確実に大きくなります。セルモーターの寿命は個対差もありますが、おおよそ1万回ほどです。何もしていなかった車両が、一日10回アイドリングストップしたらセルモーターの負担は10倍です。
一日5回セルモーターを回すとして、×年間250日で1250回、8年でセルモーターの寿命が見えてきます。
これをアイドリングストップを一日20回したら、×年間250日で5000回、2年で寿命間近です。(宅配トラックなどは、運転・停止の頻度が非常に高いので、特別仕様のセルモーターですが、だいたいこの2年くらいでセル交換になります。)
では5年10万キロで逆算すると・・・
アイドリングストップ無しでは5年間はセルは持ちます。
アイドリングストップ有りでは5年間のあいだに2回セルモーターの整備・修理が必要です。
セルのリンク品が乗用車クラスで2~3万円強、2トントラックで3~4万円強、これに工賃をプラスすると、1回のセル整備・修理でかかる金額は5~6万円になります。これが2回ですから、浮いた燃料代はセルモーターの整備・修理で相殺されてしまいます(あくまで金額ベースでの計算ね)さらにバッテリーも相応に消耗しますから、燃料との差額では足が出ます。トラックの軽油燃料は単価が多少安いのですが、おおまかな計算では似たような数字でしょう。
地球規模で考えると、排気ガスそのものを減らしてCO2排出を減らし、燃料を節約するのは良い事ですし、節約しなければならないと思います。しかし、代わりに産業廃棄物(セルの廃棄部品や廃バッテリー)を産んでしまいかねませんし、ウチのメイン客層のトラック会社だと、出先でセルモーター不良でエンジンかからない!などトラブルと荷主にも迷惑かかるし、もし冷凍車だったら荷の損失は・・・と考えると、これもどうなのかな?と。
サービスエリアなどで、30分も1時間もエンジンをかけっぱなしで仮眠・休憩するのはイカンだろう?としても、10秒~20秒のアイドリングストップを無理強いするのもいかがなもんでしょうかね?私も用のない時のアイドリングは控えてますが、通常の信号待ちで、毎回ストップするほどのものでもないのかなぁ?なんて思っちゃいますが、通勤路などで、開かずの踏み切りでもあれば実施したほうが良いだろうとは思います。
たまたま、某運送会社さんでのトラブル頻度の高い修理内容がセルモーター&バッテリーなので、アイドリングストップってなんだろうなぁ・・・とか考えていたら、こんな話になってしまいました。
必要以上のハイパワーターボ車に乗ってるクセに、環境問題を語ろうとは思いませんが、エコってお金かかるんですね・・・。
*文中の数字や計算は私の考えのもので、実際にデータ取りまではしてません。普段の仕事での故障頻度は考慮してますが、必ずしも正しい保障はありませんし、アイドリングストップを否定するものでもありませんのでご了承ください。
Posted at 2009/01/31 01:47:16 | |
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